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akinoshiroihana
2025-03-22 23:18:01
12058文字
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名刺置き場10
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お久しぶりカム隼
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「恐竜博、連れて行ってやらないんですか」
〇〇日までですよ、御都合付くなら
サウロロフスの皮膚の化石に触れる"サウロタッチ"なんてのもあるそうです。
職員が担当ディスプレイから気の良い目を上げてそう聞いてくるから、隼人は微かに目を細め返した。
「きみ、『猿の惑星』を観たことは?」
「ありましたよ、故郷にも」
ああいうので人間
―――
猿猴人類博物館ていうんですけど。
午後三時、おやつどき前のシアタールーム。スクリーンの中ではテイラー船長が不時着した未知の惑星を逃げ惑い、剥製となった彼の部下の、ガラスと取り換えられた両の目玉を至近距離で覗き込む。テイラーの心の悲鳴のごときショック・サウンド
戦後教育の一環として無料で入れますから、貧しい地リュウの家の友人も連れて行ってもらえましたし、軍への入隊受付けテントもあったんじゃないかな、『三食お腹いっぱい食べられるから、給料はまるまる家に送れるぞ!』って大きい子たちに。
ですから僕たちの御先祖の遺骨が吊るされてようが、裸で変な想像で復元展示されてようが、そんな悪意ともとりません。大型種の子孫は今も知能が低いから、僕たちにも戦闘サイボーグ化されてるんですし。
「だいたい」
マシュマロをフライパンで溶け焦がしてポップコーンを放り込んでもらった手作りキャラメルバターポップコーンに汚れた指で、膝の上のぬいぐるみを抱き寄せてしまう前に、子供はウェットティッシュの箱に手をのばす。と、その小さな手を取り、手早くぬぐってくれる大人の白く硬く長い指、子供のそれよりは柔な肌の。
「地上人類がそこに見ているのは前大戦で目にしたハチュウ人類兵士じゃなくて、大方は白亜紀ジュラ紀の恐竜で、ファンタジーでしょ、楽しい幻想でしょう?平気ですよ、僕」
そんな健気な事を子供は、カムイは言う。もしゲッターロボとパイロットをかたちの残るまま討ち果たしていたら、帝国はきっと彼等戦士の剥製をも、吹き飛んだところはアクリルガラスやゴムで差し替えて、あそこに戦勝記念として飾っただろうと思いつつも。だって巨大な同胞も持たない、全身柔こいままの身体で帝国の手を煩わせ続けた戦士なんて、なんてファンタジーだろう、心躍る夢だろう神隼人は!
そんな子供の心の襞を知るや知らずや神隼人は
「植物園にしよう」
言いつつコーヒーのカップに口をつける。
お前を形作る「半分」の御先祖たちが地下に避難した後の地上に生い茂ったものの一部は、まだ生きている。花粉ではなく精子を飛ばし、ハチュウ人類と猿猴人類どころか動物と植物の境目さえつかない時代はまだ続いていたし今も存在する。ソテツだとか、イチョウだとか。
「『まだそこにあるんだ』という言葉が、彼らしくないほどに優しかったのを覚えている。
だからはっきり感じた、俺と彼は違うのだという悲しみを
それでもあの人への思いは変わらず、変われずもはや定まった、脱皮に失敗し歪んだ虫翅のように
そしてあの人の、大多数の生存を静安を選び続ける意志がいつか俺から手を離すと」
うすくらがりの底で、子供は隼人の手をぎゅっとしてみる
離さないで、一秒でもながく
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