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mochita_rj
2024-11-16 17:15:13
24499文字
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SS2023年分
1Pに説明があるよ
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煙草のきしべ
付き合ってない
真夜中のコンビニを通り過ぎ、曲がり角を右に。この通りをまっすぐ行けばおれが通う学校。だから、日中であれば、学生達がぞろぞろと歩く大きな道。さすがに日付けが変わるギリギリのこの時間には、おれ1人しか歩いていなかった。
「よ」
「ん」
目的地に着けば、やはり例のごとく奴はいた。おれが挨拶にと軽く手を上げると、あちらも煙草をくわえたまま、ちらりと視線を寄越した。
「きみも飽きないよな。わざわざこんな時間に、こんな所まで来てさ」
「飽き
…
はしねえっスね、不思議と。あんたといると、案外落ち着くっていうか」
「ふうん
…
まあいいさ。隣、来れば」
「さんきゅ」
くわえていた煙草に火をつけながらそう言う露伴の隣に立ち、広いテラスの柵におれも肘を置いた。チラッと横目で露伴を見る。いつものヘアバンドもピアスも外しているから、パッと見は岸辺露伴だとはわからない。最初はおれもそうだった。確か、たまたまコンビニで見かけたのが始まりだったけな。煙草を1カートン買って帰ってる男がよく見たら露伴で、健康志向の露伴が煙草を買うのが意外だなと、なんとなくつけて帰ったのだ。
「吸わないのか?」
「あ、ああ。もらうっス」
「ん」
考え事をしていると、煙草1本と共に、品のいいジッポを差し出された。ライターじゃあなくて、こういう洒落たものを使うあたり、なんか芸術家って感じがする。でも葉巻とかじゃあなくて、コンビニに売ってるような、普通のおっさんが吸うような煙草を愛用してるのは面白いかも。くふ、と笑いを込み上げながら火をつけると、露伴の口から吐き出される煙と同じ匂いが漂った。
「露伴さ。おれが煙草吸うの、止めねえの」
「
…
なんだ急に。きみ、不良なんだろ?今更そんなの気にするのか」
「いや、なんか
……
あんた、普段口うるせえからさ。ガキが生意気に煙草なんか吸うんじゃあないよ!とか言いそうってか」
「
…
くく。なんだそれ、ぼくの真似のつもりか?」
「結構似てるっしょ」
「本人に言うなよ」
ふぅ、と1度肺に入れた煙を吐き出す。じんわりと満たされたような感覚に目を閉じていると、本当にこの時間は外にいても何の音もしなかった。ただ露伴が好んでつけるらしい寝香水とかいう、いつもの香水とは違う香りがふわりと鼻をくすぐるから、やっぱり露伴は今おれの隣にいるんだって実感する。だから、まるで露伴とおれだけがこの街に住んでるって言われてもおかしくねえみたいな、そんな変な気分を毎回感じていた。
「話は戻るけど。なんで露伴はおれの煙草を止めねえの」
「その話、そんなに重要なのか?」
「まーうん、ずっと気になってたしよォ〜
…
」
「そうか
……
まあ、今思いつく理由は、早くきみに大人になってほしいと思ってるのかも、かな」
「大人?」
思いも寄らない返答に、おれは首を傾げた。よく意味がわからねえというおれの表情を汲み取ったのだろうか、露伴は煙草を指で挟んでまた言葉を続けた。
「きみはガキのくせに何でも背負ってる。きみが大人になっちまえばさ、ぼくはきみの事を気にかけなくて済むだろ」
「
……
ん?」
それって、今はおれの事を気にかけてるって事?でも、露伴にとっておれは近所のクソガキで、嫌いだと思われてるはずだ。
「わからないんだよ。ぼくがきみの事を考えると、なんでこんなにも胸がざわつくのか」
「ろは、」
「きみが世話の焼ける子供だからか?それとも、」
急に焦ったようにつらつらと話し始めた露伴に、一旦落ち着けよと言おうとしたが、おれにはできなかった。おれを見る露伴の表情が、まるで泣きそうに見えたからだ。
「
…
早く大人になってくれ、仗助。そしたらぼくの中にある答えが、見えてくる気がするんだ」
ぽつりと呟く弱々しげな露伴の口調は、自分がどこへ迎えばいいかわからない、といった不安を如実に表していた。目の前で泣きそうになっている年上の大人を抱きしめてやりたくなったけど、多分、それをするべきなのは今じゃあ無いのかもしれない。おれは恐らく露伴が探ってる答えを知ってる。だけど、ガキのおれには、露伴の隣で煙草を貰って、少しずつ歳を重ねることしかできないのだから。
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