mochita_rj
2024-11-16 17:15:13
24499文字
Public TwitterのSS
 

SS2023年分

1Pに説明があるよ



「ほら、ここ好きだったよなあきみ。沢山突いてやるから腰上げてなよ」
「あ゛う、ろはッ!そこらめ、いく、いく、ぅ……ッ」

立てた膝がガクガクと震え、必死に言われた通り腰を上げる。おれの腰を掴んだ露伴の手にさらに力がこもり、おれの1番イイところが長く緩慢なストロークで突かれる。まったりと、しかし確実に快感を与える露伴の突き上げに、おれは再び甘い声をあげて絶頂した。

「あんあんあんあん喘ぎやがってそんなにセックスが好きかよ?なあ淫乱」
「だって、すげーきもちッん、んッ……!」

イッた直後にも関わらず、露伴はお構い無しにおれの尻をぺちぺちと叩いて「さっさと締めろ」の合図を送る。その手つきに優しさなんか微塵も無い。それでもおれの若く持て余した身体は欲に忠実なモンで、意識せずともきゅうんと露伴のものを健気に締め付けた。

「オイ。ぼくまだイッてないよ。寝てるんじゃあない」
「あ、ぁ゛ああッ……♡」
「ひどくされるのが好きなの?もうどうしようもないガキだな」

普段おれにキャンキャンと噛み付いて来る男が口数を減らし、今は静かに温度の無い目で見下ろしている。おれは今まで生きてきた人生で、他人からこんな視線を向けられたこともない。初めて好き勝手にモノみてーにひどく扱われるの、たまらなく興奮するの。こんな自分知らなかった、と背徳感に身体を震わせていると、容赦のないピストンが再開された。

「~~~ッ゛……♡」
「ふ……考えてること、顔に全部出てるぜ。このドMが」
「あ、あ、ィ゛イッ♡ぎもちぃ、あはッ゛♡」

ああ、ゾクゾクしちまう。穴として都合よく使われれてるのに、ひたすらに気持ちいい。バカになった頭がこの男だけを求めている。おれがヨダレを垂らして喜んでいる様子に露伴はどこか呆れたように、それでいて少し満足そうに笑った。

***

露伴とセックスするきっかけになった夜の話をしよう。

露伴とそういう関係になってもう何回目だろうか?回数は思い出せねえけど、最初はそう、なんとなく眠れなくて深夜にコンビニへ抜け出したのが始まりだったっけな。何が食べたいとか買いたいとか、そういうアテはなかったんだけど。なんとなく、いつも通ってるオーソンへと足が向いていたんだ。露伴の家を通り過ぎた先にある件のコンビニで、これまたなんとなくアイスをひとつ買い。齧りながらゆっくり帰るとするかなァと、アイスキャンデーの袋を開けた瞬間だった。

えっ!?」

とある家から女の人が出てきた。だけど、それだけだったらこんなに驚かない。思わずおれが手に持ってたアイスを落としかけたのは、女性が出てきたドアの向こうにいた漫画家のヤローのせい。露伴はあの特徴的すぎるヘアバンドもピアスも外していて最初こそ気付かなかったが、横に流した髪の色も、あの顔も、この豪邸だって間違いなく奴のものだ。いや待て、あの露伴が女の子を連れ込んでいる?しかもこんな時間に?という事はそういう相手?とおれが軽くパニックに陥っていると、高めのヒールを履いた美人は機嫌を悪そうに足音を鳴らして露伴の家を後にしていった。気だるそうに髪をかきあげて去っていく彼女の背中は、明らかに怒っていた。

なんだぁ?露伴のヤロー彼女と喧嘩でもしたんかな」
「勝手に怒って出ていっただけだ。それに彼女じゃあない」
「うわっ!?!?」

背後から見知った声が聞こえる。思わず振り向くと、いつものように眉をしかめた露伴は腕を組み、ネチネチとおれに向かって文句を垂れていた。

「覗き見か?きみは趣味も悪いんだな」
「ちげえよ!たまたま通りかかっただけだっつの!」
「ふうん深夜に家を抜け出すとはね、この不良め」

本当にコイツはああ言えばこう言う。だから嫌いなんだ!とむかっ腹を立てるおれを気にする様子もなく、露伴はベランダの柵によりかかってタバコに火を付け始めた。ちょっと待てコイツ、タバコなんか吸うんだ。今夜は驚きの連続かもしれねえ。普段から健康意識が高い露伴がタバコなんていう健康とは真逆のものを吸ってて、夜遅くに彼女を連れ込んで彼女?

「おい露伴、さっきあの女の人彼女じゃあねえって言ってたっスよね。どういうこと?こんな時間に家にいるって彼女じゃねーの?」
「ああ、セックスする為に連れ込んだだけだからな」
はっ?」
「だから彼女どころか、名前も知らない」

なんでもないように口から煙を吐く露伴に空いた口が塞がらない。セックスってあのセックス?「突然来週号のインスピレーションが湧いたもんでね。やる気なくなったから帰れって追い出したら怒って帰ってったけど」と悪びれる様子もなくあくびをしている。コ、コイツ前々から思ってたけど!やっぱりとんでもねえ野郎だ!

「アンタマジに最悪っスね!」
「フン。お子ちゃまにはわからないだろうがな、大人にはそういう付き合いもあるってこと」
「うぇッ!?なっ、な、」

怪しげに笑った露伴は、タバコを持った手とは別の手でおれの頬をするりと撫でた。変な声をあげたおれに一瞬キョトンとした露伴は、ニヤリと口角を上げておれの顔を覗き込んだ。バカ、何やってんだッ!しかも顔を見んじゃあねえ顔を!

「はは!遊んでそうな見た目の割にウブなのか、きみ」
「ば、ッだ、だって!セッ……とか、そういうのはホントに好きな女の子とするもんじゃあねえの、」
ふっ。若いな。でも、嫌いじゃあない」

無くなりかけているタバコに目を落とす露伴の視線は、なんだか大人みてーでドキッとした。それに、さっきから露伴が吐き出すタバコの煙と共に、女の子のつける甘い香水の匂いも風に乗って来るのだ。やはり今の露伴は、おれが知ってる露伴じゃあねえ。いつもみてーに口うるさくぎゃあぎゃあ噛み付くことも無いし、タバコとか女遊びとか、普段の潔癖そうなイメージとかけ離れたものを平然とやってる。もしかしてこれは夢?なんてバカみてえな事を考えてほっぺたをつねるおれに向かって、露伴はからかうように吸っていた煙をおれの顔面目掛けて吐き出した。

「!?ゲホッ、ゲホッ、な、何するんスかッ」
「女の子はさ、」
「うわっ!」

露伴は灰を落としつつ、咳き込むおれを引き寄せた。バランスが崩れそうになって慌てた直後には、露伴がおれの耳元ギリギリに顔を近付けていた。

「男とは身体がやはり別物でね。柔らかくて温かいし、筋肉だってほとんどついてない」
そりゃあ、そう、でしょ」
「きみは経験がないから知らないだろうけど。じっくり焦らしてやればな、冷めた顔した女だっていつの間にかノリノリで腰振ってるもんだ」
「っ、な、」

あまりにもあけすけな物言いに空いた口が塞がらない。直接的すぎる性的な話題に顔を真っ赤にするおれに、露伴はからかってるのか、くすくすと静かに笑った。その吐息が耳にかかるせいで、なんだかおれの方までドギマギとしちまう。それに、露伴が本当に女の子とエロい事をしてるんだって、いらない想像まで掻き立てられるし。

「ぼくだってれっきとした男だからさ、溜まれば発散したくなる。まあなんだ、服を脱いだら人間なんて性別なんか関係ないってこと。猿が交尾するのと同じだ」
「ひっ……!」

ふうっと息を耳に向かって吹きかけられた。ピクっと肩を震わせるおれにまたしても露伴は静かに笑っていて、おれはもう泣きたくなってきた。露伴が露伴じゃあねえし、おれだってなんで露伴なんかに心をぐちゃぐちゃにされなきゃいけねえのか?「タバコ、無くなりそうだなあ」となんでもないように呟く露伴が怖くて、でもそれ以上にもっと知ってみたいかも、なんて思うのか?おれは何もかもわからなくなっていた。ただ、煙と女物の香水と少しだけ混じるインクの香りの中では、ここから立ち去るという最も簡単な答えすら奪われていたのだ。

「なあ仗助。ぼくがどんな姿で、声で、どんなふうに女を抱いてるのか、気になるかい」
……あんた、自分が何言ってんのかわかってんスか」

まるで悪魔のような誘い。これに乗ったらおれはどうなってしまう?なぜか声も体も震えちまうし──いや、おれはその“なぜ”かなんて、とうに知っていたのかもしれない。普段と違う露伴の様子に気づいておきながら、おれはこの場から逃げなかったのだから。露伴はそんなおれの心を見透かすように、おれの首に伝う汗を指先で拭いつつ、最後の灰を指で叩いて落とした。

「何を言ってるのかそうだな。今夜は特に暑いだろ?だからさ、ぼくもおかしくなってんのかもしれないね」

「でも、それは君も同じだろう」と続けた露伴の指先が首筋をなぞり、おれの顎を上げた。おれがどんな顔をしてるのか、多分ひどい顔をしてるのだろうが、それも全部露伴には丸見えなのだろう。今更だとわかりながら泣きそうなのを隠すように地べたにしゃがみこむと、おれを見下ろす露伴の前髪の隙間から、いつもより緑を増した瞳が怪しく光っていた。

「嫌なら帰ればいい、そうすれば明日からぼくらは元通りの関係だ」

コイツは本当にずるい。こうやって最後には逃げ道を用意して、おれに選ばせるのだから。そうして、きみが選んだんだと文句を言うのも許さないんだ。コイツのこういう所が本当に嫌いだ。でも、それよりも。

あんたなんか、嫌いだ」

なんて睨んでおきながら、露伴の服の裾を掴んでなんかいる自分の方が大嫌いだ。足が思うように動かずに俯いているおれを、露伴は全てを見透かすように笑って、おれの手を引いた。