akinoshiroihana
2024-10-13 20:31:35
15825文字
Public
 

名刺置き場8

メモ:ゲッター以外が入ったらここにその旨書くこと



昔、猫を飼っていたんだ。
雨の昼前、登校するにはもう遅刻もいいとこな頃
傘を広げ校門をくぐれば
あの頃の、私立だって十分ケチ臭かった窓辺の薄汚ねえ白いカーテンがひるがえる向こう、
じとりと湿気た校舎、砕けたリノリウムの床を踏みしめ
なんだかその舞台にはひとり場違いな感じに表れたあれは、真っ黒な猫

まだ開き切らない、よどんだ青い目の不細工な猫は
きゃあ、と鳴いた

俺の首に縋りついて騒いたけど
こいつを預ける獣医もシェルターも知らなかったから、
慣れない車中にゲロ吐かれながら
家へ、俺たちの家へと
三千里ならぬ三百キロほど

気付けば猫の目も開いていて
おいおいなんだいこの賢そうな別嬪は
そう覗き込めばやわい温かい肉球が
キスでもする気かごめんだね、と
俺の口を偉そうに押し止めた

そんな具合なともだち
そんな具合の相棒

昔、猫を飼っていた
俺が自分で拾ったんだ