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土曜の夕方には戻っているよとの声を聞いたと思ったのは、火曜の夜明け前
その時予備部屋のベッドから出て行ったのか、身支度を整えた後もう一度ドアの隙間から囁いたのか
起き出した遅い食堂で、勝手知ったる飯屋のように味噌汁、魚と、蠅避けケースすみっこで生だか茹でだかわからなくなっていた玉子の笊から一つ掴みだして欠伸する、その傍で
「おーいおじさん雑巾くれ、大佐
―――じゃない隼人が吐いた」
虫がいた動いてる、など言いつつ職員が騒いだから
ええよせよせ新聞紙とチリシ使いなと古風な言い方をする食堂の担当は戦前の人だった。俺達の戦っていた時みたいに。
ここ暫く、ネーサーには迷い猫がいるという。トカゲや鬼を退治していた時のように、仮の名前を一から考えてやるほどの暇もなかった頃のように、間に合わせの名前をもらって。犬だったら俺で猫だったらあいつというざっくりしたのでもないし、そうして存在を認めてやらなければ急に思い立ってそいつらを木箱や段ボールに詰めて町役場の処分場に持ち込んでしまうほど参っている者は流石にいないようだったが。
今の二号機のお嬢さんの名前をもらってないのかと聞けば、ネオゲッター二号機は空戦リーダーだからお前の色をもらったんだよ、赤猫は火事や放火魔の隠語だしオレンジ・キャットは粗忽者のことだから合わないにも程がある、と周囲も当人もな、と。そんな応えは「お前の色を」のところで突然の臨界点が来てそれ以上入らなかった。
そんなところに先日昔のやり方で「おう隼人じゃねえか」と俺が猫を呼んでこね回したから、以降猫はとりあえずみな「隼人」で、様々な条件を満たした黒猫が「大佐」に昇格するという「遊び」が所内にできてしまっているらしい。
どうだお前もゲロ吐いて頭がさえたか美人になったか、じゃああいつが帰るまで一緒にいようか隼人
そう話しかければふわふわした白い毛玉が、人の道着の中に爪を引っ込めず探検に行ってしまうから、その冷たくつべつべした感覚と共に透き通る爪でえぐられた俺はうはっと変な笑い声を挙げる
ぐいぐい尻を押し付けて親愛の情を示す隼人にああなんて恰好てめえからしやがるなど言っていれば
そこらの因習村以上に度し難いものを目にした顔の 一文字 號
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