07
翌週の土曜。
二人は近くのホテルに泊まって希望する大学の説明会に参加したり、キャンパスの見学をするために上京してきた。
「迎えなんかいらねーのに、ねーちゃん過保護かよ」
「俺がお願いしたんだよ。少しでも一緒にいたいって」
「だからさぁ
……マサ、もうそういうのシャレになんねーから」
駅にお迎えに行くと、二人はこの間会った時と同じようにそんな会話をしていた。
「今回は何校くらい回るの? うちだけじゃないって言ってたよね」
二人は志望学科がそれぞれ違うので、それぞれいくつかの説明会を回ると聞いていた。
「俺は今日まとめていくつか。ねーちゃんのトコが本命だけど説明会だけ受けて他行く」
「俺はキャンパス見学にも参加する予定です。部活動の様子も見てみたいですし」
「それなら一緒に行動するわけじゃないんだね。明日は?」
「明日
……も別行動だな。夜ホテルで合流って感じ」
「そうなんだ」
ホテルに荷物を置かせてもらったらそれぞれ別行動になると知って、わたしは少しだけがっかりしてしまう。
「そう落ち込むなって。夕飯は一緒に食おーぜ! もちろんねーちゃんのおごりで」
「えええ
……まだバイト代入ってないのに
……」
「カズイ、おばさんにお金預かってなかった? リコさんも一緒に食事するようにって」
「マサ、そういうのすぐバラすよな」
「ありがとうマサくん、すっごく助かった」
マサくんの笑顔とは反対に、カズイはぶすっとふくれている。
「ねぇカズイ? おねえちゃんにちゃんとお金渡そうね」
「ちぇー、つまんねーの」
カズイがふざけて、わたしが怒って、マサくんがそれをたしなめてくれるといういつものやりとりに、いつもの関係。
それが楽しく感じるほど、この関係が終わってしまうことが少し怖く感じてしまう。
「
……ずっと、こうやって三人でいるのはダメなのかな」
「ダメじゃねーって。いいに決まってんだろ」
「カズイの言う通りです。関係がどう変わろうとリコさんが望めばそれは叶うんですよ」
ふとこぼしてしまった言葉を、二人はスルーせずに受け止めてくれる。
わたしがマサくんを選んだとしても。
わたしがカズイを選んだとしても。
もしくは、そのどちらも選ばなかったとしても。
ずっと三人で過ごすことが叶えられるのなら、それだけでいいと思ってしまう。
それが二人に対して誠実な答えではないとわかっているのに。
「説明会はわたし関係ないし付き添いはホテルまでで良さそうだね」
ホテルまで二人を送り届けて別れると、途端に暇になってしまう。
特に予定も入れていなかったので久しぶりにショッピングモールでも見てみようかと歩いていると、さっきまで使っていたグループではなく、個人のほうからそれぞれLIMEのメッセージが届いていた。
内容は、どちらも明日一緒に過ごしたいというもの。
[マサと過ごすなら断っていいから]
[カズイと約束しているなら、無理にとは言いません]
「
……これって」
答えを出せ、ということなんだろう。
義弟で、ちょっと意地悪だけどいつもそばにいてくれたカズイ。
カズイの親友で、いつもわたしの気持ちを汲んでくれるマサくん。
どちらも大切な存在に変わりはないけど、どちらか一人を、それも異性として
選ばなければならないとしたら、やっぱりわたしは
……
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