03
「まずは相手と向きあうこと。それから自分がどうしたいのか、周りのことは考えなくていいから、自分に正直になることが大事だよ」
「どんな結論が出てどんな結果になったとしても、あたしたちはリコの味方よ」
二人はそういってわたしを励ましてくれた。
マサくんとカズイの二人の気持ちと向き合って、素直な自分の気持ちをみつけて、相手にそれを伝える。
口にすればそれだけのことだけど、小さなころから積み上げてきた関係がある以上そう簡単にはいかない。
「二人の気持ちを受け止めて、かぁ」
クミちゃんやユキねぇと別れたあと、とぼとぼと帰りながら小さく呟いてみる。
今まで居心地のいい空間だったと思っていたのはわたしだけで、二人はそんな想いを胸に秘めたまま仲良くしてくれたのかと思うと、鈍感すぎる自分に嫌気がさしてくる。
「
……どうするのが、一番いいのかなぁ」
答えはどこにも見当たらなかった。
* * *
「それじゃあどっちも関係ない人と付き合っちゃうのはどう? 例えば俺とか」
納西君はそう言って楽しそうに笑いかけた。
「おい、綾瀬が真剣に考えて相談してんのに適当なこと言うな」
「ええ~、でも悪くないと思うんだけどなぁ。スバルくんだってリコちゃんがどっちも選べなくてどっちも恋愛対象になり得ないんだったらチャンス! って思うでしょ?」
スバルくんはそれを聞くと「はぁ
……」と大きくため息を吐いて首を横に振る。
「仮にそうだったとしても、だ。弱みに付け込むみたいで良くないだろう」
「そう? ライバルは少ない方がいいからそれは否定しないけど
……リコちゃんは? この場合、俺とスバルくんならどっちを頼ってくれる?」
「ええ
……」
相談しているはずなのに、いつの間にかどちらかを選ばなければいけなくなっていて、わたしは思わず声を漏らす。
「ホントの恋人にならなくてもいいんだよ。例えばほら、その年下くんたちを黙らせるためにかりそめの彼氏を演じる~、とかさ。うん、いい案かも」
「かりそめの彼氏
……」
仮にそれを二人のどちらかにお願いしたとしても、それは正解を出すことから逃げることになってしまうのではないだろうか。
納西くんの提案は嬉しいけど、そうすることでこじれてしまったら二人に迷惑をかけてしまうかもしれないと思うと、正しい行動ではないような気がしてしまう。
「綾瀬困ってるだろう、いい加減にしろ」
「スバルくんはいつもそうやってリコちゃんのボディーガードみたいなこと言うよね」
「お前が変なことばっかり言うからだろ」
「ごめんね、そもそもわたしが変な相談しちゃったから」
口論になりそうな気がして謝ると、二人は口をそろえて「リコちゃんは悪くない」とか「お前のせいじゃない」と言ってくれる。
それくらい、答えを見つけるのは簡単な事ではないのだと実感しながらわたしは二人に感謝の気持ちを伝えた。
「よくわからないけど、そういうのって簡単に決められるもんじゃないだろ。正直に選べないって伝えるのも含めて、俺は綾瀬が選んだ答えでいいと思う」
「でもさ、選択肢は二つじゃないってことは覚えといて欲しいな。俺もいるし、それから納西くんも、トモアキくんもいるからね」
「なんで全部自分の名前なんだよ」
「リコちゃんにはいつでも俺がついてるよってことだよ。スバルくんてばこういうときまでツッコミいれなくていいからね!」
「うん
……ふたりとも、ありがとう」
わたしは二人と話しながら、家に帰ったらこのことをちゃんと伝えようと思った。
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