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「カズイと仲直りしなきゃ」
わたしはそう思いつつ「わかんなきゃわかるまで考えろ」と言われた手前、なかなか連絡もできないまま日々を過ごしていた。
「リコってば浮かない顔だね、なんか悩んでる?」
わたしの悩みに誰よりも早く気づいてくれたのは、こっちにきて趣味のつながりから友達になったクミちゃんだった。
ひょんなことから仲良くなった美容師のユキねぇとモデルのクミちゃん、それからわたしの3人は時々こうして集まって美味しいスイーツを食べながら趣味の話で盛り上がっている。
今日もその流れで集まったのに、わたしの表情が暗かったらしくクミちゃんは心配そうにわたしの顔を覗き込んだ。
(うぅ
……優しい
……)
爽やかなシトラスの香りがふわりと近付き、クミちゃんがわたしの顔を覗き込んだので、その優しさにわたしは胸がつかえたようになる。
「ちょっと、弟を怒らせちゃったみたいなんだ」
「ボクたちが聞いても大丈夫な事だったら相談のるよ? なんだか思いつめてるみたいで心配だもん」
「クミちゃん
……あのね」
わたしはマサくんに言われたことと、それを話した時のカズイの様子をぽつぽつと話していく。
「マサくんは弟の親友なのに、どうすればいいのかなって思ったんだけど
……」
「でも、肝心の弟くんは相談に乗ってくれなかったんだ」
「そう。「マサのヤツ」って言ってたし、わたしのせいでカズイとマサくんが喧嘩してないかも心配になっちゃって
……」
ふぅ、とちいさく息を吐くと肩に力が入っていたのが自分でもわかるような気がした。
「リコの弟くんたちって一歳年下?」
「そう。だから今年受験で、こっちの方の大学を受ける予定みたい」
「そうなんだぁ。それで、来年からは一緒に住むかもって話なんだね」
「うん。合格したらそうなると思う」
だから、答えが見つからないまま逃げるようなことはしたくないと思ってはいるけど、カズイが何を望んでいるのかわからない以上、そこから先に思考が進まない。
「
……どうしたらいいのかなぁ」
クミちゃんは腕組みをしてうーんと可愛く唸り、それからパッと顔を上げた。
「でもボク、弟くんの気持ちちょっとわかるような気がするな」
「え、クミちゃんが? どうして?」
「だってリコ、ボクが男でもあんまり気にしないでしょう? 弟くんもきっとそんな感じなんだろうなぁって想像したら、ちょっぴり気持ちわかったよ」
「なるほどねぇ、マサくんって子もそうだけど、弟くんもちゃんと意識して欲しいのね」
二人はそう言って納得したように目を合わせた。
「リコ。マサくんが意識してっていうのは一人の男として、リコの恋愛対象になりたいってことだとボクは思うんだ」
「
……うん」
「それを聞いた弟くんが怒ったのは、親友に抜け駆けされそうになったから、よね」
「え、カズイは弟なのに
……?」
「でも、ステップ・ファミリーなんでしょう? だったら、可能性はゼロじゃないよね」
本物のきょうだいじゃないから、結婚だってできる。
それは色々な人に言われてきたことだし、自分でも考えたことがないわけじゃない。
わたしたちがそうなったことで親がどう思うか、という所でいつもその思考は停止してしまうけど、それくらいカズイとは仲が良いという自覚はあるから。
「弟やその友達、っていう枠組みから一度外して考えてみるのはどう?」
「そっか
……うん
……考えて、みる」
わたしは溶けてきた氷をかき混ぜて、アイスティーと一緒にもやがかかったようになっていた気持ちを飲み込んだ。
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