enoki181
2022-09-16 19:55:13
49074文字
Public リプレイ
 

【モノトーンミュージアム】奇妙な国に潜む影 ~呪われし地と囚われの花婿~【リプレイ】

シナリオクラフトのログ。紡ぎ手たちが因習村に乗り込んで花婿を救う話。
PL:成海さん、守部さん、柳さん、エノキ


■オープニングフェイズ

▼シーンプレイヤー:エメリヤン・ストロガノフ
[ エメーリャ ] シーン:0 → 1

エメーリャ:昼過ぎかな。狩りを終えて酒場に帰ってくる。
「イワン、帰ったぞ」
野鳥を三匹くらいぶら下げてよう。

イワン:「今日は好調みたいだね」
飲み物類の搬入をしていた。

「ああ、エメーリャ、それ片付けたら昼食にしよう。作っておいたから。君の好きなソーセージも焼いておいたよ」

エメーリャ:「ああ、捌いてくるよ」
店の裏で鳥の処理してから戻る。
食事の準備を手伝いながら、料理の腕も上がったなとか感慨深く思うんだけど思い切り腹が鳴る。
……
なんでもない、ってスンとしながら席に座る。

イワン:「ふふ……沢山食べると良い。君はいつも働き者だからね」
料理を席に並べて、こちらも正面に座る。

「それじゃあいただこう」

エメーリャ:「……べつに、イワンだって働いてるじゃねぇか」
皮の分厚くなった掌に目線をやる。申し訳ない気持ちは拭えない。
「いただきます……ん、うまい」
ソーセージを切り分けて食べると笑みが戻る。

イワン:「良かった」
安堵の表情を浮かべる。
「もう君に失敗した料理を食べさせずに済むのは、嬉しいよ」

エメーリャ:「あの飯も嫌いじゃなかった。俺は雑な飯しか作る気しねぇから、あなたイワンが挑戦しようとしてんの、嬉しかったよ」

イワン:「君はそれで良いんだ。エメリヤン・ストロガノフ。僕と君は違う人間だ。だから、それで良い」

エメーリャ:「……ん」
未だに慣れない。
本当だったら、こうして同じ席で飯を食うことのない御方であるのに。
本来喜んではいけないんだ。
「食の好みも違うよな。イワン、このソーセージ、胡椒辛いだろ」
ふは、とからかって笑う。
自分の皿にあった普通のソーセージと交換する。

イワン:「好き嫌いをするような年齢じゃないんだけども……
と言いつつ、素直に貰ってしまう。

エメーリャ:「今更俺に取り繕っても仕方ないだろ」
「そうだ、イワン、隣のおっさんがさ、夏ミカンが獲れたからって……

GM:――ドンドン!
突如、扉が強く叩かれる。
荒々しく扉が開かれ、数人の男たちが押し入ってきた。

イワン:「!?」

GM:彼らはイワンを見つけ、満面の笑みを浮かべる。

「おめでとうございます!あなたが今年の婿殿です!」
近付いてくる足取り。
無遠慮に伸ばされる腕。
どれも笑顔には不釣り合いで荒々しい。

エメーリャ:「おい!なんだお前ら……やめろ!その御方に手を出すな!」
間に入ろうとするが、数が多くて押し退けられる。
「イワン!」
手を伸ばす。

イワン:「エメーリャ、大丈夫だ。様子がおかしい。……ヒルダ様に報告を入れておいてくれ。僕はこのまま行く」

エメーリャ:「はぁ!?おい、なに……やめろ!」
揉みくちゃにされて帽子が落ちる。
伸ばした手は届かない。
……クソ!イワン!必ず助けに行く!」

イワン:エメーリャに向かって笑ってから謎の男達に連れられて行く。

エメーリャ:残ったのは荒らされた店内。
呆然としていられない。
帽子を拾い上げ、店の外へ走った。
この国の領主様、ヒルダ様の元へ。


▼シーンプレイヤー:ヘルマンクルーク
[ ヘルマンクルーク ] シーン:0 → 1

ピエール:希望の村の教会。ここが僕のお家です。
今日も神様にお祈りを捧げます。
どうか、今日も……ううん、今日はとびきりいい日になりますように。
女王様と花婿様の、結婚式の日だから!
……うわぁ!」
くるり、と振り返ると人影がありました。いつの間に!

ヘルマンクルーク:あれ、不思議。
さっき通ったはずの長椅子の並びに、一人の青年の姿がありました。
丸い帽子に真っ白な仮面、そして大きな鳥の足。
「ピエール!おはよーございます!」
そう、見慣れたあの悪魔の姿です。

ピエール:「あ、はい、おはようございます」
ぺこり、頭を下げる。足音、聞こえなかったなすごい、どうやって来たんだろう。
……じゃなくて!今日はあなたと遊んでる暇はないんですっ!」

ヘルマンクルーク:「あーっ!逃げないで、逃げないでください~!」
ピエールに寄っていって
「今日はお祈りや歌よりももっと楽しいものを持ってきたのです!ほんとですよ?」

ピエール:「お祈りも歌も大事なんですよっ!神様に捧げるものなんですっ!」
彼、其達だから信仰が違っても仕方ないんですけどそれに、いっつも不思議なものをもっててわくわくするしううん
……何もってきたんですか」
自然と足が止まった。

ヘルマンクルーク:「……!気になりますよね?フフー!」
マントを手品の布のようにして、しばらくひらひらさせた後に、わっと中から何かを取り出して。
「じゃじゃーん!この村にはないお菓子です!お砂糖のおいしいヤツ!」
そこには小さな砂糖菓子が二つ、かわいらしく包装されている。
「これ食べて夜までゴロゴロしましょうよ~」

ピエール:「わぁ……!」
ぱっと瞳を輝かせ、顔を近付けて。
けれど、はっとして首を横に振る。
「だめだめ!だめです!今日はこれから用事があるんですよ!」
言ってから得意気に胸を張る。
「今日、とうとう結婚式にお呼ばれしたのです!」

ヘルマンクルーク:「エー、せっかく二人分買ってきたのに残念です……ワタクシは泣いちゃいます……
大げさに泣き真似をしたあと
「ま!そんな日もありますよね!」
うーん、次はいつ来ましょうか。
そう悩んでいると、遠くから慌ただしい足音が聞こえてくる。

ピエール:「え、え、なかないで……
慌てたのに、すぐ元気になったみたいでムスッとする。
「もうっ、心配したのに!」

GM:「おーい、ピエール!早く来いよ!」
外から元気な声がピエールを呼びます。
村でピエールと同じ歳くらいの子供たちです。
「女王様と花婿様、二人がくるまで時間がないぞ!」
「ご馳走、お前の分まで食っちまうぞ!」
くすくす、愉快そうな笑い声。
外から派遣されたピエールは、なかなか村に馴染めませんでした。
こうやって認めてもらえることがとても嬉しくて。村の一番大きな行事に呼んでもらえることが嬉しくて。
ピエールは元気に返事をします。

ピエール:「はい!今行きます!」
「だから、もうあなたに構っている暇は……あれ?」

ヘルマンクルーク:「……
場所は教会外。ステンドグラスの前。大きな木の上。
ヘルマンは何かをひらめいたようでした。
結婚式、いいことを聞きました!
でもまだ人手が足りなさそうですね?
フフ、これも楽しそうです!


▼シーンプレイヤー:ヒルデガルド・フラムスティード
[ ヒルダ ] シーン:0 → 1

アリア:糸電話が震える。裁縫師組合からの連絡だ。
「こんにちは、ヒルダ。突然ごめんなさいね」
「近くにある“聖なる希望の村”は知っている?そこの統治者である女王、マダム・ジャバウォックに悪い噂が流れているのよ。異形、または伽藍かもしれないわ。調査をお願いしてもいいかしら?」

ヒルダ:「これはこれは親愛なるアリア嬢。”希望の村”でしたら丁度調査中なんですよ。少々うちの民があの村に巻き込まれてしまいまして。ですので喜んでお引き受けいたしましょう」

アリア:「まあ……後手に回ってしまったかしら」
「気を付けて、あの村は余所者に排他的なの。この時期、年に一度行われる、女王と花婿の結婚式だけは警戒が薄れるから……ねえ、まさか、」
糸電話の向こうで小さく息を呑む音が聞こえる。

ヒルダ:「ええそのまさかです」
ははっと笑って脚を組み替える。

「ご丁寧に招待状もいただいておりますので、調査は滞りなく進むでしょう。どうぞ良き御標が降りることをお祈りいただけると幸いです」

アリア:「……そうね、ええ。貴女によき御標のお導きがありますように」
その言葉を最後に、糸電話が音を発しなくなる。

ヒルダ:さて、”希望の村”の風習にマダム・ジャバウォック、そしてここに来て裁縫師組合の依頼と来たか。

ここまで来るとどう見ても異形案件のように見えるが……現実というのは狂った御標よりもおかしいことがいくらでもある。

「関わりたくはなかったが……うちの民が拐かされてるのなら話は別だ」

そう独りごちてから、立ち上がる。

「エメーリャ、聞いてるんだろう? 隠れる必要はない。お前も着いて来い」

エメーリャ:物陰から足を踏み出す。
イワンの件を報告して一度立ち去ったと見せかけて、隠れていた。この人の元が一番情報が集まってくる。
「頼み込んででも着いて行くつもりでした」
決意を込めた瞳でヒルダ様を見つめる。

ヒルダ:「良い心意気だ。お前の主人取り返すぞ」
ただ婿に迎え入れられるだけならまだ良い。だがその婿は毎年現れ、そして一つの例外なく誰も帰ってこなくなる。

異形だろうとそうじゃなかろうと、異常事態には変わりない。

「私の領民に傷でもつけてみろ。その村焼き落としてやるからな、マダム・ジャバウォック」


▼シーンプレイヤー:クローディオ・クロックフォード
[ クロ ] シーン:0 → 1

クロ:訳あって前の国から逃亡し、聖なる希望の村に転がり込んで約三日。よそ者に厳しいという噂の通り、まあ馴染めないよね。
……日陰者界隈では血塗られた希望の村って呼ばれてたけど、そのあたりが関係あるのかなー?

「はー、まあいいけどね。前の国で稼いだ分は残ってるし」

しかしこうも話し相手がいないと暇だ。血塗られたの気配も今のところはなさそうだし、特に面白い人もいないし。
……なんて思いながら過ごしてると、村の入り口が騒がしい。やれ花嫁が来ただの、祝宴の準備だの。
村人の賑わいを見るにいいニュースと見た。この話題に乗っかっておけば、いい感じにこの村でやり過ごせるかなー? と交流用の話題作りがてら、人だかりができてるもんだからとりあえず覗いてみる。

そこには村人に取り囲まれるように、金髪の青年が一人。

「やあ、そこの金色の髪が美しい君。そのたたずまいからして貴人の方かな? それにしては手が働きものの手だ。普通の貴族と違うところを見ると訳ありと言ったところかな? 清濁併せ吞んでいそうだが、それでも前を向く瞳が実に綺麗だね」

青年の手を取って笑顔で話しかけるよ。
しょうがないじゃないか、そこに綺麗なものがあるんだから。

イワン:「……すまない、どこの誰かも分からない方、今は君の言葉を受け取る暇はないようだ。逃げた方が良い」

クロ:「うん?」

GM:クローディオの手が引きはがされる。
「なんだこいつ」
「少し前に来たっていう余所者だって」
「何しに来たんだ」
「結婚式の前にわざわざ?」
冷たい目線とひそひそ話が降り注ぐ。

クロ:「え、何? 俺なんかしちゃった感じ?」

うーんこの空気は嫌な予感がするぞー?
具体的に言うと村八分とかあの辺の空気がする。

GM:「花婿様に手を出すとは!この不敬者!」
複数人の村人に連れて行かれ、地下牢に放り込まれてしまう。

マダム・ジャバウォック:――そして、7日後。
地下牢に、コツコツと足音を響かせながら階段を降りてくる音が響く。

「アナタがワタクシの婿殿に手を出した不届き者だねェ……よくないねェ」

みっつある瞳をそれぞれバラバラに動かし、真っ黒な余所者を眺める者。

クロ:「ああ、もしかしてあなたがこの村の領主、マダム・ジャバウォックかな? 手を出したなんてそんなそんな。俺はただ美しいものを褒めただけですよ?」

こちらを品定めするような三つの目玉に特に物怖じすることはない。
真面目そうだし、ちょっと対話すれば何とかなるかな?

マダム・ジャバウォック:「アァ、お目が高い。ワタクシと同じ審美眼を持っているようだ。今年のワタクシの婿殿は美しかろゥ?」

「フム……美的感覚、そして、話が合う婿殿というのもいいかもしれない。今まで重視したことはなかった価値観だよ」

……ヒトというのは、一年このままでも生きている生き物だったかなァ?」

笑顔で首を傾げ、どれも独り言のようにつらつらと。

「婿殿に迎えるなら、顔を確かめておきたいねェ。大事な子供にも引き継がれる顔だ。顔を見せてくれはしないかい?」

クロ:あ、これはだめだな、話が通じないパターンだ。ついでに婿殿って言ってるな。
……そういえば婿殿になった奴は姿を消すとかなんとか。
ってことは、今年があの綺麗な金色の髪の子か。ふーん。

「あはは。マダム、あなたにとって大事な子供なら俺はやめた方がいい。とてもじゃないけど、遺伝させられるような顔じゃないからさ」

そのためのコレだからね、と顔を隠す布を指さす。

マダム・ジャバウォック:「ふぅん?」
笑みが消える。不機嫌さを隠すことはしない。

その時、階段の上からマダムの名を呼ぶ声がした。結婚式の準備が整ったのだという。
……寝室では顔を見せ合うのがマナーだよ。あと一年、その間に覚えておくれ」
踵を返し、階段を登っていく。

クロ:完全に足音が消えたのを確認して、ため息をつく。
うーん、一年ここに置くつもりなんだろうな、あの様子だと。こんなところで飼い殺しなんてまっぴらごめんだっての。

占い師の重苦しい衣装を放り投げ、右腕のギミックを作動させて鉄格子を破壊する。
派手な音が響くが無視。右腕を戻して人が来る前にさっさとずらかる。

「そもそも寝室に連れ込むのはお互い合意の上ってのがマナーなんだけどねぇ」