enoki181
2022-09-16 19:55:13
49074文字
Public リプレイ
 

【モノトーンミュージアム】奇妙な国に潜む影 ~呪われし地と囚われの花婿~【リプレイ】

シナリオクラフトのログ。紡ぎ手たちが因習村に乗り込んで花婿を救う話。
PL:成海さん、守部さん、柳さん、エノキ


▼シーンプレイヤー:ヒルデガルド・フラムスティード&クローディオ・クロックフォード

ヒルダ:エメーリャとヘルマンクルークが地下からいなくなる。
そのままクローディオに視線で合図を送った。

クロ:じゃあそれを受けてマダムの首を落とします。腕を軽く振るって血を払って元の形態に戻すよ。

「あーうるさかった」

ヒルダ:「ご苦労だったな」
息を深く吐く。

クロ:「はは、そんな労わなくてもいいよ。俺は俺のやりたいことやってただけだし」

いつものように笑ってるかな、満身創痍だけど。

ヒルダ:「そうかい。それなら良かったよ。結果的に汚れ仕事を任せることになってしまったからな」
マダム・ジャバウォックはやり手だ。ここで見逃してしまう場合、自国にもたらされるデメリットが大きいことは火を見るより明らかだろう。

クロ:「気にしなくてもいいのに」

マダム・ジャバウォック:「ハッ……アハハハ!」

突如、笑い声が響く。
クローディオが落としたマダムの口から発声していた。三つの瞳はバラバラに動き、死にゆく生き物のそれとは思えないだろう。

「ああ、ああ、全て終わったと思って……ワタクシがいなくなったとて、この村は呪われたままですよ」
「この村には混沌が渦巻き、人々は臭いものに蓋をするためならばと余所者であるワタクシに縋り、疑わしい者を自ら罰するまでになった。自分たちの中から積極的に余所者を作るのです、ワタクシのために。愛らしいでしょう?」
「ワタクシはただ、この村の秘密を解き明かしたかっただけなんですよ。愛すべき村人たちに生き生きと疑い合ってもらうために、“死に神”を存続させるために」

ぎょろ、とクローディオを見遣った。瞼は細められ、笑っているようだ。

「思い出しましたよ、同じように美しいものを愛するアナタ。この村を、村人を、美しいとは思いませんか?どうでしょう、次の婿殿、」

クロ:「黙れ」

瞬時に腕を変形させる。
コレに刃を振るう手間すら惜しい。そのまま腕の重量で叩き潰す。
嫌な音と共に色々と見てられないものが辺りに飛び散る。

「上から人を見下して、一体何様のつもりなんだか」
クロ:──ああ胸糞悪い。
どこまでも利己的で、自分に付いてきてる人たちを下に見ているその態度が何よりも気に食わない。人の上に立つなら、もう少しまともな精神を持てっての。

深いため息をついてマダムから視線を逸らす。
その先に金の髪と顔に飛び散った赤色が目に入った。

……しまった。
そういえば、今は一人じゃなかったんだ。

……ああ、ごめんねヒルダ。綺麗な顔なのに汚しちゃって」

血が飛んでない左手で、ヒルダの顔に散った血を拭う。

ヒルダ:その様子を、私はただ見ていることしかできなかった。
何かを挟む余裕がなかったとも言える。だけどこれは恐らく、それだけではない。
クローディオ・クロックフォード。軽い調子に動く誰よりも自由な来訪者。
その軽快の裏にある、あまりにも重く切実な激情を垣間見てしまい、同情や憐れみに近い感情が胸に表れた。

……気にする必要はない」

それから残された身体を見る。

「頭は潰したが……あの状態からでも復活できるとなるとこいつもどうにかした方が良いだろう」

それに何より、この村をこのままにしておくわけにはいくまい。
マダム・ジャバウォックの言った通り、この地は呪われている。

「伽藍を倒した今ならあるいは――

GM:『そして、希望の村には静かなる平穏が訪れたのでした。めでたしめでたし』

ヒルダ:「……御標が下った」

クロ:「みたいだねぇ。……静かなる平穏、かぁ。今頃地上は大騒ぎだろうし、村人を残しても静かにならなさそうだけど?」

ヒルダ:「それもそうだな。……となると解釈をしてこちらから動く必要があるかもしれん」
そう言いながら考える。
マダムの処理、今し方倒した伽藍の死体の処理、そして平穏……

「クローディオ、火種になるものはあるか?」

クロ:火種。火種ねぇ。
なるほど、それなら村も静かになるか。

「腕のメンテ用の機械油ならあったかな。全部使っていいよ」
荷物から瓶を取り出して渡す。

ヒルダ:「よし」

とりあえずこの地下は焼き払う。これによって地上がどのように変わるか……それは様子を見てからだろう。

油を一帯に撒いてからマッチを取り出す。

「終わらせるぞ」

クロ:ヒルダが火のついたマッチを落とし、辺り一帯が炎に包まれる。
……燃えていく死体の山やマダムの遺体を一瞬目で追うが、すぐにヒルダの方へ視線を戻す。

「さて、俺たちもさっさと出ていこうか。走れる?」

ヒルダ:「無論だ」

そのまま駆け出し地下遺跡を抜け出す。
地上では未だ村人たちが戸惑い行き交っている。
ならば……

「地下から出火したぞー!!」

そう叫んだ。

村人:村は混乱の渦中にあった。
ひとつの声を皮切りに、あちこちで更なる叫びが聞こえ始める……
「ひい、ひいい!村が!」
「逃げろっ!早く避難しないと死んじまう!」
「女王様はどこ!?どうして私達を助けてくれないの!?」

クロ:村の出口までヒルダと走りながら、見かけた村人には声かけていくかな。立てない人が居たらできる範囲で助けていくかな。

「火の回りはまだそこまで早くない、今すぐ村の出口まで走れば間に合う!」
「君たちの敬愛する女王様は、君たちがここで死ぬのを望むはずないだろう? だから今は自分たちで逃げるんだよ」

村人:「お、おう……そうだよ!親切な兄ちゃん、ありがとな!」
「あなたにもご加護がありますように!」
村人はお礼を言うと、急ぎ足であなた達の前から去っていく。

ヒルダ:一通り村人たちが外に逃げたのを確認して、最後に私たちが村の外に出る。

村近くの丘まで辿り着いたと同時に、ずん、と大地が大きく鳴り響く。
村が……一瞬にして消えた。
恐らく地下に飲み込まれたのだろう。
家も、教会も、マダムの屋敷も、全て目の前から消え去った。

クロ:「あー疲れた……。これで『静かなる平穏』は訪れたかな?」
村の崩壊を見届けて、地面に大の字になって転がる。さすがに疲れた。

ヒルダ:「ま、呪われた地としては『めでたしめでたし』だろう」
そう言って転がったクローディオの横に座る。

……私は間もなくここを発つ。帰りを待っている者たちがいるからな。クローディオ、お前は?」

クロ:「はは、それなら早く帰った方がいいよ。ヒルダはたくさんの人に愛されてるから。エメーリャもそうだし、今はもう見当たらない人たちも先に帰らせたのかな?」

隣に座ってるヒルダの方に視線だけ向けてそのまま話すかな。

「そうだなぁ……。怪我が治るまではどこか近隣の国に入り込んで、そこからはまたいつも通り。俺は俺のやりたい通り、好きに動くだけだよ」

ヒルダ:その言葉に、数秒の間静かに目を伏せた。

「それならお前に契約を持ちかけたい」

ヒルダ:「今回のような事例があった時、やはり私一人では力が足りない。お前のような日陰の側を知る実力者が必要だ」

ヒルダ:「綺麗事だけでこの世界を生きるには、少々相手が悪すぎるんだ。協力してほしい」

ヒルダ:「無論報酬は払おう。ひとまずは……うちの離れが空いててな。人ひとりが住むに十分な広さだ。どうだい?」

クロ:話を聞いてる間、じっとヒルダの眼を見ている。
ヒルダがすべて話し終わったのを見て、口を開く。

「うん、いいよ」

「屋根があるだけありがたいのに、安全な寝床があるのは助かるなー。物音警戒せずに寝れるのはそうそうないからねぇ」
いつもの笑顔でそう返すよ。

ヒルダ:「ははっ、そうかい、それは良かったよ」

そう言って立ち上がり、クローディオに手を差し伸べる。
「ならお前も帰るぞ。青き風の国にな」

クロ:「うん。じゃあ、俺も帰ろうかな」

ヒルダから差し出された手を取って立ち上がる。

クロ:「ヒルダのそういう性格がみんなに愛されてるんだろうね。思い切りがいいというか気前がいいというか。でも荒っぽいだけじゃない優しいところ。……青き風の国に帰るのが楽しみだ」

立ち上がって、いつもの調子でそう言って笑うよ。

ヒルダ:「……

そっと視線を逸らす。

「そう褒めるんじゃない。慣れてない」

クロ:「あれ、照れてる?」

ヒルダ:「……

深い溜息をつく。

「お前こそ今子どもみたいに喜んでるのを取り繕っているのバレてるからな」
この野郎。配慮してやったがもう知らん。

クロ:「…………。そんなことないよ?」

ヒルダ:「そういうことにしておいてやる」

そう言って、二人歩き出した。
帰るべきところに帰るために。