asa_nohi
2023-12-23 16:04:12
19198文字
Public カルジュナ
 

アドカレワーパレまとめ1

お借りしていたワードパレットを使ってのアドベントカレンダーかるじゅ纏めその1
11/27〜12/6までの10編


12/5 綿毛が芽吹くときまで
天使「伝える/光が射して/祝福」
現パロ。タンポポの綿毛の時空の二人が成長した後の話

子供の時分の話である。カルナはアルジュナに告白したことがあった。一緒に帰る道すがら、目に付くタンポポの綿毛を引っこ抜いては飛ばして遊んでいた折に、隣を歩いていたアルジュナが、綿毛を一息で飛ばしきることができると恋が叶う、と言ったのがきっかけだった。予告ホームランをするように、飛ばしきれたら想いを伝えると宣言してまで、それに息を吹きかけたのだ……結論を言うと、失敗に終わったが。
けれども、それでもカルナがアルジュナに告白をすることになったのは、その後に綿毛を手にしたアルジュナがこう言ったからだ。「もし成功したら、カルナの気持ちを教えてくださいね」――

……で、アルジュナ会長が全部飛ばしきれたから、カルナ会長は無事に気持ちを伝えられた、と……
「ああ、そういうことになるな」
藤丸と立香、そしてカルナとアルジュナだけが残る生徒会室。夕焼け鑑賞の特等席であるこの部屋で、四人並んで窓の外を眺めながらしていた昔話の結末を纏めた立香に、カルナは頷きながら答えた。隣でアルジュナが赤い顔を半分だけ手で覆い隠し、息を吐いていた。
もう十年ほどは前になる、本当に懐かしい話だが、思い出せば思い出すだけ恥ずかしいらしい。多分、もうこれ以上掘り返されたくないと思っているだろう。
何をそんなに恥ずかしがる必要があろうか、とカルナには思われるのだが、言えば噛みつかれるだけなので、とりあえずは何も言わないことにした。
二人を代わる代わる見つめていた後輩二人が、はぁー……、と、揃って幸せそうなため息を吐いた。
「そうやってくっついた二人が、今もまだこうして関係を続けてると思うと、運命ってあるんだなぁって思うよ」
「俺もそう思う。子供の頃のアルジュナ会長のその提案、カルナ会長にとっては、暗闇に光が射してきたも同然だったと思うし」
「ああ。まさにその通りだったな」
立香がしみじみと言った。それに同調した藤丸が、うんうんと頷きながら見解を述べた。そんな二人の意見をひっくるめて、カルナは頷いた。
藤丸の見解はまさに的を射ていた。醜態を曝した上に、飛ばしきれたら告白する、という自身の発言を覆してまで、気持ちを伝えることのできないカルナにとって、あのときのアルジュナの提案は、想定外だったが、まさに希望の光だった。
いずれにせよ格好悪いことは間違いなかったが、それでも、絶対に気持ちが繋げられると分かっている状況だったのだ。言わずに終える、なんていうことはしたくなかった。
過去に少しだけ思いを馳せる。その最中、立香が苦笑交じりに入った。
「にしても、アルジュナ会長ずるいよ~。カルナ会長の気持ちが分かってるのに、言わせようとするなんて!」
「なっ……、それは、そう……ですけど……
何やら反論したかったらしい。でも、自覚があったらしく、アルジュナは赤い顔を少しだけ歪めると、彼にしては珍しく、歯切れ悪く言葉を区切ると口を噤んだ。若気の至り、というものを眺めているのに等しいので、どうやら本当に相当恥ずかしいらしい。
カルナはアルジュナの心中を察すると、さて、と声を上げた。
「この話はこれ以上も以下もないのでな。終わりにするとしよう」
「ええ~!」
続けざまにそう言う。すると、アルジュナは、ほぉ……っと静かに息を吐いて肩の力を抜き、後輩二人からはちょっとだけ不満そうな視線が飛んできた。何もないことあるか。そう言いたそうだが、これ以上のことを語るつもりは、カルナにもなかった。

余談だが、夕焼けの時間が終わり、生徒会室を後にしてから、藤丸と立香は左右からカルナを挟んでこう言った。
「ね、カルナ会長! 今は何もなくても、いつか何かあったら話してくださいね! めちゃくちゃお祝いするので!」
「俺も!」
何か、と言いながら、具体的に何を指しているのか分かる気がする。両脇から盛大な祝福をする気満々でそんなことを言う二人に、カルナはちょっと考えてから言った。
「そうだな。籍を入れることになったら、おまえたちには報告しよう」
「!?!?」
聞いたアルジュナが真っ赤になっていたこの発言が実現するのは、まだあと数年先の話である。