asa_nohi
2023-12-23 16:04:12
19198文字
Public カルジュナ
 

アドカレワーパレまとめ1

お借りしていたワードパレットを使ってのアドベントカレンダーかるじゅ纏めその1
11/27〜12/6までの10編


11/29 誘うための無理難題
セーター「袖/大きな柄/お揃い」
現パロ。ドア・イン・ザ・フェイス、みたいな

「アルジュナ。双子こーでとやらをしてみないか」
「は?」
凡そカルナの口から飛び出す類の言葉とは思えない提案がされたのは、金曜日の放課後、学期末最後の合同生徒会会議が終わった後だった。
わざわざ他の面々が出払うタイミングを見計らい、嵐のように突然もたらされたその話に、アルジュナは、まあるく見開いた目をぱちくりと瞬いた。
「えっと……なん……、双子?」
「ああ。双子こーで、だ」
言われたことが分からなかったのか、きょとんとして訊き返す。するとカルナはもう一度同じ言葉を繰り返した。
双子コーデをする。つまるところ、お揃いの服や小物を身に着けて出掛けないか、という誘い。
カルナの言葉をそのように解釈したアルジュナは、あ、と言う顔をした後で、すぐに表情を曇らせた。カルナの服のセンスが独特であるのを知っているからだ。
生徒会の面々からも度々聞かされ、自身も何度も目にしているそれは、言い表そうとするとどうしても「謎」の一言に集約される。
ニコニコ笑う太陽がでかでかとプリントされたTシャツ。ムキムキのトナカイが気になってしまうセーター。古生代の生物が折り重なって描かれた長袖シャツ……などなど。思い出せる限りを思い出してみても、一体それはどこで見つけてきたのだろう、と首を傾げてしまうような代物ばかりが頭の中を闊歩する。その印象が強すぎるからなのか、アルジュナが普段着に着ているような、普通のトレーナーやカッターシャツなどを身に着けているのを思い出そうとしても、まったく思い当たらない。
「えっと……するのは、構わないのだが……、その、ちょっと難しい気が……
だから最初、アルジュナはやんわりと断ろうとした。双子コーデとやらをするにしても、同じような見た目の衣服を持っていないと始まらないのだが、毛色の同じものを手元に持っているような気がしなかったからだ。
最悪、背丈が似ているために服の貸し借りはできるだろうけれど、アルジュナの手持ちの服は、もしかしたらカルナの好みとは合わないかもしれないし、無理をしてまで楽しむ必要はどこにもない、とアルジュナは思っている。
……正直に言ってしまうと、カルナが好んでいる大きな柄のついた服は、アルジュナの好みには真っ向から反しているから、貸し借りをするとしても、できることなら遠慮したいのだ。
「ああ。だろうな。オレが普段着るものは、おまえには似合わんだろうよ」
難色を示すアルジュナの返事を聞いたカルナは、意外にもあっさりと頷き、そう返した。あのちょっと奇抜……いや、独特なセンスの衣服が、アルジュナの好みに合わないことも、似合う似合わないで判断したときに限りなく「ノー」であることも、どうやら織り込み済みであるらしい。
そんなにあっさりと引くのなら、なぜあんな妙な提案などしたのだろう。
至極真っ当な疑問を抱きながらも、思わぬ反応に面食らったアルジュナが「すまない」とも「そうか」とも言えずにいると、カルナは「そこで、だ」と、どこか楽し気な声音ながらも真顔で言った。
「次の日曜にでも、買い物に出ないか。おまえが選べば、万が一にも間違うことはなかろう?」
「え? ああ、まあ……確かに……?」
「決まりだな」
うっかりと頷いて、ハッとしたときには既に遅かった。喜色満面の様子のカルナは、さっさと日曜日の予定を纏めた上に、「おまえと買い物デートとは楽しみだな」など、小花を散らしながら言うものだから、これはもしや、と不覚にも思ってしまったアルジュナは、取り繕う間もなく赤面した。

余談だが。日曜日のショッピングモールでは、他の同年代たちに紛れて服を買う二人の姿が、またさらに別の日には、お揃いの服を着て喫茶店でゆるりとお茶を楽しむところが目撃され、「会長たちに季節外れの春が?!」と生徒会役員たちの中で秘かに噂になったのは、また別のお話。