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asa_nohi
2023-12-23 16:04:12
19198文字
Public
カルジュナ
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アドカレワーパレまとめ1
お借りしていたワードパレットを使ってのアドベントカレンダーかるじゅ纏めその1
11/27〜12/6までの10編
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11/27 星を飾る役目
クリスマスツリー「一番上、あちこち、変わらない」
現パロ、2人ともショタ
「カルナ、あそこの綿、ちょっと多くないですか?」
「そうか? 他と変わらないように見えるが」
「うーん、そうですかね
……
?」
「ああ。
……
そうだな、ソファにでも乗って見てみるといい。見え方が変わろう」
「
……
あ、本当だ。あれでちょうどよさそうですね
……
」
十一月の終わりも見えてきたこの日、リビングにクリスマスツリーが現れた。一年前にその年の役目を終え、物置の中に引っ込んでいたそれを、母が持ち出して来てくれたのだ。
モミの木を模して造られたニードツリーの枝をバランスよく広げ、色とりどりの小さなボール飾りや、リボンをぶら下げ、雪のつもりの手芸綿を、バランスが悪くならないよう、部屋のあちこちからツリーを眺め回し、あれこれと相談しながら、枝の上に載せていく。
そうして、ようやく納得のいく装飾ができたところで、カルナは最後まで箱の中に残っていた、ベツレヘムの星を手に取った。
「アルジュナ、仕上げだ。これをつけるといい」
言いながら、それをアルジュナに差し出した。
この星を取り付けるのは、家族の中で、一番年下の者の役割と決まっているからだ。その理由は分からないけれども、一緒にツリーを飾ってくれた父が「これは、最年少のおまえが飾るものだ」と教えてくれたので、どうやらそういうものであるらしい、とだけ認識している。
けれども、どうやらアルジュナはそうではないらしい。彼はカルナの差し出した星を、初めて見るもののように、しげしげと眺めてから、おずおずとカルナと視線を合わせて言った。
「えっと
……
。今年は、カルナが飾ってみてはどうですか?」
「オレが? なぜだ?」
くりくりとした大きな黒目を見下ろしながら、カルナは首を傾げて見せ、続けた。
「これは一番年下のおまえが飾るものだ。父さんにそう言われているだろう?」
「そうですけど
……
でも、必ずそうしなきゃいけない決まりはないと思って
……
」
カルナの疑問にそう答えたアルジュナは、学校のクラスメートとの話を語った。曰く、その友人の家では、年上も年下も関係なく、じゃんけんの勝者に権利が与えられるのだという。
その話を聞いて、カルナはなるほどと納得した。
アルジュナのことだから、友人の家の話から「最年少が飾る」のが絶対の決まりではないらしいと知り、自分ばかりが飾っては不公平ではなかろうか、と思ったのだろう。だって、ツリーの上の星は、どんな大きさのものを用意しようと一つしかないのだから。
飾り方にもいろいろとある、とだけ認識しておけばいいものを、この弟は本当に妙なところにまで気が回る。
そう思いながら、カルナは自身を見上げているアルジュナに、ぎこちなく口の端を持ち上げて見せた。
「おまえの心遣いはありがたい。だが、父さんの言いつけは、それはそれで守らねばならん。それは分かっているだろう?」
「ッ!
…………
はい」
さすがにちょっと意地が悪い。
自分でもそう思いながらも、それでも諭すような調子で言ってみる。するとアルジュナは、はっと目を見開くと、すぐに眉を下げ、落胆した表情を浮かべて俯いた。下手につつけば、今にも泣き出してしまいそうだ。
一緒に装飾をしていた少し前まで、本当に満面の笑顔を浮かべていたのだろうか。そう疑いたくなるほどの落胆ぶりに、カルナは「さすがにちょっとやりすぎたな」と反省すると、「だがな」と続けてから、アルジュナの耳元に顔を寄せた。
「オレも、それを飾りたいとは思っていた。
……
だから、一緒に飾る、というのはどうだろうか」
「!」
本当は星の飾りに思うことは何もないけれど、今この瞬間だけは、そういうことにしておこう。
そう思いながら、こっそりと耳打ちをすると、アルジュナはばっと顔を上げてカルナを見た。相当驚いたらしい。普段は猫のような印象を受ける愛らしい目が、今は満月のようにまんまるに見開かれていた。
その黒瑠璃の視線で、まっすぐにカルナの薄青を捉えているアルジュナが、何か言いたげに、その小さな口をはくはくと動かしているのが見てとれた。カルナは自身の唇の前に人差し指を当て、「シッ!」と鋭い声を出すと、きょろきょろと辺りを窺った。ツリーを出してくれた母の気配がないか探ったのだ。
誰に迷惑のかかることでもないので、言いつけ破りをしたとしても、それを見咎められることはなかろうが、せっかくならば子供だけの秘密にしておきたかった。
少し待ってみても、自分たち以外の誰かに見られている感覚はなく、物音もずっと遠くからしか聞こえないことが分かった。どうやら、母は今、リビングの近くにいないらしい。
その確認が取れてから、カルナはアルジュナに視線を戻し、再び慣れない笑みを浮かべ、尋ねた。
「どうだ? オレもおまえも満たされる、悪くない案だと思うのだが」
「はい
……
はい! もちろんです! そうしましょう!」
聞いたアルジュナは、ぱっと表情を輝かせると、こくこくと何度も頷きそう言った。それから、すぐに踏み台代わりの椅子を取りに、ダイニングへと駆けて行った。
ちょっと前に見せていた、あの泣き出しそうな顔は何だったのだろう。そう思わずにはいられないほど、今はまた喜色満面の様子だ。
本当に、ころころと表情がよく変わる。そんなことを思いながら、カルナはアルジュナの後ろ姿を目で追った。
二人で星を持ち、ちょん、とツリーのてっぺんに載せてやる。
かくして、子供たちの秘密を隠したクリスマスツリーが完成した。
それを目にした父母や大叔父などに褒められるたび、「カルナと一緒に頑張ったんですよ!」とアルジュナは胸を張り、その後で目配せをするように、カルナを見てにっこりと笑った。同意を求めているのもあろう。けれどもそれよりも、カルナが嘘をついてまで作った、共通の秘密を楽しんでいるようにも見える。
きっと、来年も一緒に飾ることになろう
……
そうなると、真相の明かし時がない。そう思ったカルナは、アルジュナの笑顔を見ながら少しだけ考えた。
だがまあ、アレが嬉しそうならばいいか。いつかこれを飾らなくなるときまでは、ひとまずこのままにしよう。
時間にして一分ほどで、その時を先延ばしにすることを決めると、カルナはやっぱりぎこちなく口の端を持ち上げて、アルジュナに笑みを返すのだった。
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