asa_nohi
2023-12-23 16:04:12
19198文字
Public カルジュナ
 

アドカレワーパレまとめ1

お借りしていたワードパレットを使ってのアドベントカレンダーかるじゅ纏めその1
11/27〜12/6までの10編


12/1 アドベント・ディナー
クリスマスソング「口ずさむ/お決まりの/うきうき」
よく食べるショタナさん時空

「カルナ。クリスマスプレゼントに欲しいものはありませんか」
「ない」
十二月。一年の最後の月が始まったこの日、奇妙な合いの手を入れながら、お馴染みのクリスマスソングを口ずさむカルナに尋ねてみると、間髪入れずにお決まりの答えが返って来て、アルジュナは、ふぅ、と小さく息を吐いた。
本当に欲しいものがないのか、それとも、留守がちな両親に代わってあれこれと世話をしているアルジュナに迷惑をかけたくないのか。その真相は分からないが、カルナは年齢の割には物欲がない。
だから、誕生日でもクリスマスでも、欲しいものを尋ねても、必ず「ない」と言うのだ。試しに、新しいゲームが出る、好んで読んでいる本の最新刊が出る、そんな話をしても「小遣いをためる」と、本当に子供らしからぬことまで口にする。そして、そうまで言われてしまうと、アルジュナとしてもそれ以上つっこんで訊くことはできなくなってしまうのだった。
本当に、今年も今年でどうしたものか。
ソファに寝そべりながら、曖昧な歌詞をほにゃほにゃと適当に歌うカルナを見やり、アルジュナは腕を組んだ。
プレゼントに適していそうなものは、大体贈りつくしてしまっている。これからの時期に使いそうな防寒具も、色違いでお揃いのマフラーを贈ったし――それはもうすごい喜びようで、今年も既に嬉々として使ってくれている――、手袋もその前の年に贈った。それ以外となると、大抵のものは自分でどうにかすると言っているから渡せないし、この年頃の子が好きそうなものにも興味はない……
思い浮かぶもの全てにバツ印をつけ、アルジュナは、むむ、と眉根を寄せた。
もうこうなってしまうと、あと考えうるものは食べるものぐらいしかない気がする。例えば、お気に入りのお店の少しいいお菓子だとか、そういう類……
そこまで考えてアルジュナはハッとした。食べるもの。そうだ、その手があった!
カルナの食欲は大人並みにあるし、そもそも食べることが好きだ。形に残る品物に拘って考えずとも、彼の食べたいものを贈る方法もあるではないか。
そう思ったアルジュナは、ぱんっ、と手を打った。急に響いた鋭い音に驚いたカルナが、歌うのをやめてアルジュナを振り向いた。そのまんまるに見開かれた薄青を見つめながら、アルジュナは柔らかに「それでは、」と話しかけた。
「質問を変えましょう。クリスマスに、何か食べたいものはありますか? 当日、プレゼントにそれを作りましょう」
……食べたいもの?」
なんでもいいのか? と、続けてカルナが尋ねた。思った通り、話題に食いついた。拍子抜けするほど上手く事が進んだことに、ついふきだしそうになりながら、アルジュナは頷いた。
「もちろん。私が作れるものなら、なんでもいいですよ」
「分かった。分かった、のだが……、どうしようか……
身体を起こし、ソファの上に胡座をかくと、カルナは神妙な顔つきで考え込み始めた。時間が経つにつれ、眉間のシワがどんどんと深くなっていく。
そんなに決めきれないほどいろいろあるのか。それにしても、何もそんな難しい顔をして考え込まずとも……
質問を変えてから数分。未だカルナは、難題に出くわした学者のような様子で、低く呻くような声を上げている。その様子を見ながら、答えを待っていたアルジュナは、ついに堪えきれずにふきだした。
「そんなにたくさんあるのですか」
静かに尋ねてみる。すると、カルナはこくんと頷いた。
「選べないほど?」
もう一度尋ねる。カルナは再び頷き、続けた。
「おまえの作るものはどれも美味いから、選べない」
おや、これは随分と嬉しいことを言ってくれる。返ってきた理由に少しむず痒い心地にさせられながら、アルジュナは「ならば」と、やんわりと微笑んで言った。
「食べたいものを全部言ってごらんなさい。せっかくですから、一品ずつ作りながら、カウントダウンをしましょう。そうすれば、どれも贈ることができるでしょう?」
「! いいのか!」
「ええ、もちろんですとも」
アルジュナの提案を聞くや否や、カルナはソファの上に立ち上がった。その目はキラキラと輝いている。絞りきれないリクエストを全部叶えてもらえる、それが嬉しくて仕方がないらしい。
「恩に着るぞ、アルジュナ! オレはやはり運がいい」
「いいえ、どういたしまして。……それで? リクエストは?」
「ああ! カレーとシチューとグラタンとミートソースパスタとザッハトルテと唐揚げと……
子供らしくない言い方をするカルナを促すように、アルジュナが尋ねると、カルナはうきうきとした様子で、食べたいものを挙げ始めた。その多岐にわたる範囲と、数の多いこと!
一日一品叶えたとしても、列挙されるものを全て作るためには、クリスマスの前ぐらいまでかかるかもしれない。それぐらいカルナの中にあった候補の数は多かった。
さて、これは何から作ってやったものか。
冷蔵庫の中を思い出し、今日からの献立を考えながら、アルジュナは次々飛び出すリクエストを聞いていた。