黒竹
2022-05-30 21:36:40
24581文字
Public VOCALOID
 

@rem "I Love you"

【GUMI】【ボカロ家族】
言えない言葉の話。


 セチと会えなくなって一月半を数えるころ、グミは完成した。
 グミにとって、それは二度目の誕生に等しかった。感触が生まれ、集音装置が様々な音を検知し、レンズアイがフォーカスを合わせる。
 インプリンティングを狙った、ということではないだろうが、フォーカス調整を終えて最初に認識したのはマスタの顔だった。
 眼鏡をかけていて、髪が長い。よく手入れのされた黒髪でまっすぐだった。切れ長の目は少し冷たそうだけれど眼鏡のおかげで緩和されている。痩せぎすの身体を包むのは真っ白なブラウスにジーンズ。
「見えている? 聞こえている?」
 手元の端末に時折目を落としながらマスタが尋ねる。
 一度頷いて見せて、それから口を開いた。
「はじめまして。ボクはグミです」