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彼方の作品倉庫
2026-05-27 15:03:56
27723文字
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利こま
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【長めのサンプル】二六時中、好日也。-ひだまり-
書き下ろしの話について、長めのサンプルです。
1話だけですが、全部で10ページあります。
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9
10
『
――
庄左ヱ門。最近何かあった?』
『えっ!? べ、別にないけど?』
『本当にぃ?』
『ら、乱太郎。急にどうしたの
……
?』
『だって最近、委員会の活動ばかりじゃない。私達と遊ぶのも断るくらいに。イベントもないのに、なんでそんなに忙しいの?』
『それは、その
……
』
『まさか学園長先生や先輩方から、何か無理難題を押し付けられているんじゃ
……
!』
『そ、そんなことないって』
『庄左ヱ門が断りづらいなら、私から直訴するよ!』
『いいって! 気持ちは嬉しいけど、大丈夫だから!』
『どしたんだ乱太郎? 庄左ヱ門に詰め寄って』
『何かあったの?』
『きり丸、しんべヱ。二人も協力して! 庄左ヱ門がまた無茶振りを引き受けたみたいで
――
』
『落ち着いて乱太郎! 確かに委員会活動はあるけど大変じゃないし、押し付けられたものでもないんだ。ただ内容が内容なだけで
……
本当に違うんだって!』
『じゃあどんな内容なの?』
『それ、は
……
』
『それは?』
『
……
ッ。
……
これは他言無用
…………
絶対に誰にも言わないって約束してほしいんだけど
……
――
』
◆◆◇ ◆◆◆◆ ◆◇◇◆
――
しかじか。
「
……
と、いう流れらしいんだ」
「なるほどよくわかりました。ちょっと父上シメてきます」
対症療法が見つかった。さっと立ち上がろうとする私を、土井先生は肩を掴んで押さえ込んできた。そんなに力を込めてないようなのに、全然立ち上がれない。さ、
流石
さすが
強い。
「ちょっと落ち着こう利吉君。どうどう」
「私はこの上なく冷静ですよ。ものすごく冴えてます。その上で父をシメると決めました。今決めました」
「目据わってるから。ガン飛ばさないで」
乱きりしんに知られたが最後、学園中に噂が広まるのはごく自然な流れだ。これはもう諦めるしかない。学級委員長委員会は、命じられた忍務を粛々とこなしているだけである。これもまぁ仕方ない。
問題は何をトチ狂
……
失礼。勘違いしたのか、学園長先生が盛大な邪推をしてしまったことにある。それは別途、後で詰めるとして。
……
もうひとつの元凶が、罰も受けずのうのうとしているなど許せることではない。
はっ、まさか今日の不在は私の帰宅催促から逃げたのではなく、この噂について問い詰められるのが嫌だったからなのでは
……
!?
父上
原因
が逃走するな。大人しくお縄につけ。あなたが始めた
噂話
物語
でしょうに。
「あの学園長先生ですよ? ちょっとでもネタを与えればどうなるかなど、簡単に予測できます。それを『うっかりしていました。不注意すみません』で済むと思います? それで済んだら
侍所
さむらいどころ
も
守
しゅ
護
ご
もいりませんし、
自
じ
検
けん
断
だん
も必要ないんですよ」
「それは
大事
おおごと
すぎるって」
「事実、大事なんですよ!! 荒唐無稽な噂を流されて! 私の世間体が、今! 現在進行形で崖っぷちスレスレなんです!!」
私がコツコツと積み上げてきた実績と評価が、一気に崩れかねない危機である。生徒からは憧れの目標として、教職員からは若手の星として。そんな好印象を目当てに仕事してきた訳ではないが、せっかくでき上がっているイメージを更地にしたくはない。しかもあの
小松田君
ヘッポコ
を巻き込む形でだなんて!
「でも私も先生方に同感だよ。君達、
側
はた
から見ていると本当に仲良さそうに見えるから。噂の根拠も皆無って訳じゃあ
――
」
「皆無ですよ皆無!! 誰が仲良くなんか
……
!」
「多分、忍術学園が満場一致で同意すると思うよ」
その言葉に、私は再び愕然とした。乱太郎に「(小松田君を除く)この学園の全員が、私達を恋人同士だと思っている」と教えられた時と同じ衝撃が襲いかかる。
あぁ
……
頭がくらくらしてきた。あまりにも認めたくない現実に、私は床に崩れ落ちた。
「嘘だぁ
……
そんな気ないのに
……
。
……
ってか、追及しつこくありません!?」
「だってこんな面白
……
じゃなくて、興味深い内容は徹底的に精査しないと!」
「いま『面白い』って言いかけましたよね!? 兎にも角にも! 私の話はどうだっていいんですよ!! その辺の道端に落ちている石ころくらい無視していいレベルです!」
「いや、実は珊瑚のような価値ある掘り出し物かもしれないし」
「いーえ、ありません! この件は生徒に注意して学園長先生を詰めて父上をシメて、平穏無事に終了です!!」
「約二名ほど犠牲になってる気がするんだけど
……
」
「酷なことを仰いますね。元凶に容赦しろと?」
そこは譲れない一線である。覚悟しておけ、暇人の頂点どもめ。暇を持て余した遊びじゃ済まないことを思い知らせてやる。
……
と、恨み節を吐き出すのはここまで。このままでは話がどこまでも脱線してしまう。どうにか軌道修正せねば。私は居住まいを正して、ひとつ咳払いをした。
「それはさておき。
……
私の本題は別です」
「今の噂でも充分メイン張れたと思うけど
……
」
「話を戻さないでください! 私が知りたいのは、小松田君についてです!!」
「え、最早それ答えでは?」
「その恋愛脳は封印してください!!
――
彼の、退職のことです!!」
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