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サブさぶれ
2026-05-09 17:43:58
20837文字
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ワンドロワンライ
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ワンドロワンライまとめ
sgaoワンドロワンライのお題で書いた作品まとめです。
覚えているものはタイトルと一緒にお題とかかった時間も記録しておきます。
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夏宵
お題「夏宵」※前編時空です
夏がこんな季節になるなんて、思いもよらなかった。
首筋にぺたりと張り付く髪の毛を剥がし、ついでに隣を歩く人に目をやる。
出会ったばかりの異国の女の子。スグリの世界に突然現れた、強くてかっこよくて特別な存在。夜空に輝く星々よりも、真夏の太陽なんかより眩くて、ブルーベリー学園でも四天王とチャンピオンしか持っていないテラスタルまでできちゃう、とんでもない人。なのに気取ったところが一つもなく、自分にもワガママ放題の姉にも明るく優しく接してくれる。会ったばかりのスグリを「友達だ」と言ってのけた、本当に「わや」な人。
初めてできた友達をどうにか楽しませようと、スグリは必死で頭を回して会話を紡ぎだした。
「今日はあんま食べれなかったけど、りんご飴以外にも美味しいのいっぱいあんだ。ねーちゃんは焼きそば好きなんだ。ソースが濃くてしょっぺぇの。俺が一番好きなのはりんご飴だけど、アイスも美味しいんだよ。キタカミ産のミルク使ってて、一応、名産品」
「名産品なんだ。美味しそうだね」
「うん! 桃沢商店で売ってる普通のアイスより味が濃いっつーか、本当にミルク! って感じでオススメ!」
学園でも姉と姉の友人などの一部の人としか話さないから、普通の友達がどんな会話をして楽しんでいるのかさっぱり分からず、当たり障りのない話題しか選べない。スグリが持ち合わせてるのはキタカミの話だけ。パルデアがどんな場所なのか知らないが、この地方でも辺境の地と称されるド田舎の特産品の話などしてもアオイは楽しくないんじゃないか。不安に駆られる。
星明りしかない夜道の中、彼女がどんな顔をしているのか分からなかったが
——
正確には彼女の表情を知るのが怖かっただけなのだが
——
スグリを否定せずに話に乗ってくれたということは、アオイもそれなりにこの会話を楽しんでくれているという証左だろう。スグリはそう思い込み、怖れとときめきで揺らぐ心をどうにか安定させようとした。
「あとはかき氷も美味しいよ。アオイは何味好き? 俺はメロンとかブルーアローラとかがいいな」
「かき氷って食べたことないんだ。こっちになくて。ブルーアローラってどんな味なの?」
「うーん
……
。アローラ味? 何て言ったらいいんだべ。でも美味しいんだよ。絶対食べてほしい」
祭り囃子が遠ざかっていく。アオイのコロコロした愛らしい声が聞き取りやすくなってくる。なのに、どうしてだろう。もっと近くで聞いていたいと、もっと近くで顔が見たいと思ってしまう。
ワクワク、ドキドキ、ズキズキ。色んな音を奏でて痛む心臓が、勝手に次の言葉を吐き出した。
「
……
オモテ祭り、林間学校の期間中さずっとやってっから、また明日も行かない?」
「え?」
「い、いやだったら全然! また、一緒に来れたらって思っただけだし
……
」
「ううん! 誘ってくれてありがとう。時間大丈夫だったらまた行こうね!」
肯定してくれた。また行こうねって言ってくれた。
ぬるい風が竹藪を揺らす。草木のざわめきなんて目じゃないほど心臓が高鳴る。火照る顔はきっと、ポーラエリアの海に飛び込んでも収まってくれないだろう。
彼女を公民館に送ったら、家に帰る前にりんご園に行こう。カジッチュを捕まえて、祖母が自分たちの帰省に合わせて買ってくれていた蜜入りりんごを使ってカミッチュに進化させよう。そして、朝になったら「これがりんご飴みたいなポケモンっこだよ」と教えてあげるんだ。彼女はきっと「すごいね」って笑ってくれる。褒めてくれる。アオイの笑顔は、頭上に光る三角形よりも明るくスグリの心を照らしてくれるに違いない。
「明日はもっと、楽しくなるといいなぁ」
坂道をくだるペースに合わせて夜が更けていく。きらめく藍色が濃くなっていく。きっと明日も、その次も、アオイと一緒の楽しい夏が過ごせる。人生で一番最高の夏になる。彼女ならそうしてくれる。そう、信じていた。
だけど。なのに。
——
だからこそ。
夏が、こんな季節になるなんて思いもよらなかった。
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