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akinoshiroihana
2026-02-03 23:24:27
18106文字
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ノーマルぷらいべったーゲッターネタ倉庫4
2021-22
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長っ尻だった夏がようやく去り切り、秋が来たと思ったら、もう冬が気のせいじゃなく迫って来ている
いつもならば生物全般の世話に手厚くもうるさく、怒りっぽい弁慶が騒ぎ出す物件でもあるから口にしない方が間違いなく吉なのだが、
父親によるスパルタ修行で猛犬と戦わされたこともあり、野良犬に襲い掛かられれば躊躇もなくその首をすっ飛ばす彼でさえ、
猿化させられた一般市民(恐らく罪無き学校の先生)を血も凍るような啖呵とともに生体解剖してしまった彼でさえ、
つまり他生物全般に分け隔てない仲間意識だとか庇護欲、愛玩欲さえも抱きにくい生き方をしてきた彼等であってさえ、
『モフモフが恋しい』
いつになくそんな事を思わざるをえなかった。あまりに早く訪れたひややかな物寂しさに対して。
「『犬の子のどこもやはらか野分なか』とかかい?」
「うわーやめてくれすげえ感触まで想像する」
共同部屋の勉強机の後ろ、テレビの前に出してきた炬燵の天板に突っ伏し、竜馬は呻く
「どっかの気合の入ったクズ野郎が研究所前まで猫捨てに来てくんねえかな、猫用ミルク、あのシリンジ?ってのでやると、母親のオッパイだと思ってこっちの胸とかフミフミしてくんのがカワイクってさあ」
「それはちょっとした山登りってやつだぜ
……
アッよせそういうの」
体操経験者的にぎゅっと締まりつつ鍛え上げられた体躯の隼人は、半ギレしている弁慶の手伝いで猫(元気がクラスメイトから安請け合いしてもらってきてしまった)を世話した時、何やらあったようだが多くを語らず、ぶるりと身を震わせる
だが、恐竜帝国も、百鬼帝国も、将来的に隼人一人が遭遇することになるのをまだ彼らは知らないアンドロメダ流国でも、どんなに血も涙もない外道な実験や改造手術、交配を行おうと、モフモフしたものは作ってくれそうにない。
「天竺鼠帝国とか攻めてこねえかなあ
……
」
「俺はやだぜ、さすがに絶対気が咎める」
できることとやって楽しい事ってのは別物さね、と、たまに白衣を纏い、そこに赤い汚れを点々とさせ、マスクを外して苦し気に息継ぎする身でもある隼人が顔をしかめたのはラット的なものの方を連想したのか。丁寧に(もしくは丁寧すぎていっそ偏執的に)筋を取っていたみかんを竜馬の顔の横に置いてやったのも、食指が動かなくなったからだろうか、こういうのは傍目には時として、薄気味悪いほどの甲斐甲斐しさとも見えかねないのだが。
「今となっては」きちんと爪を切り揃えたその白くも節ばった長い手指から、柑橘類がほの苦く甘く香った。それを、すんっ、と音をたてて嗅ぎ、はあ、と息を吐きだし、冬が来るなあ、と竜馬はもう一度思った。
「やっぱ天竺鼠帝国来ねえかなあ」
「だからやめろって」
(了)
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