akinoshiroihana
2025-12-19 00:47:12
9571文字
Public
 

名刺置き場14

25年末スタート




今日は日没が一番早い日
太陽が一番南に行く日

「いま沈んでくあれが一番南ってことか?」
あれ?でも太陽が沈むのは西だから、あそこが一番南の西ってことか、ややこしい。
戦闘機を駆る為の座学を修めつつも「積乱雲ってなあに」など言い出して早乙女博士と仲間に二度見をされなどもする彼であるからそんなことをも言う。仲間の、黒髪が肩につくほどには長いままにしている青年がそうだよ暦の上でいう大雪だ、と薪ストーブ脇で背を向けたまま応えた

迷い猫がいるから、そいつが茶トラだから、悪戯好きなバカである恐れがあるからストーブの上に乗りかねないのだと、知能指数が原爆開発者並みに高くて冷静な筈の彼はそんなふうな意外な慈悲心で小さな訪問者を遇している
「オレンジキャットとかジンジャーとも呼ばれるが、この柄の奴は勇気のある友好的なバカってのがどうやら世界認識さ」
お前さんにも似てるかな

夕映えで真っ赤な部屋の中であるから、そう言われた彼も確かに朱色に染まっている。
「言ったな、それならお前だってそうだろ」
マフラーだって赤いの自分で選んでるくせに
山際で太陽の輪郭がひときわどろどろに溶けて消えていくのを背後の借景にした神隼人は、橙に照り映えるというより白い肌も真っ黒い髪もそうとわかるまま、闇に消える寸前のものすごい赤をぶちまけられたようで、それが人懐こい猫をぶら下げるように抱きかかえているのが
部屋に飾っとくのはイヤだけど、そこにあったらずっと見入っちまう絵ヅラだと流竜馬は思った