明日日本からパンダがいなくなってしまうので急遽。
竜隼が中3の時に初代パンダが来てるんですね
パンダを見に行く話from鬼になったあいつ
この線香臭いのがぞっとしねえ
転校時に作ってもらったきりだった学ランがあっという間によ
ああこれ、国鉄で通学してる奴らの付けて来る煙草の臭いともはっきり違ってら
学生服の襟元を開き一息つこうとした隼人が、ぬくもった制服の中からも匂ってきた斎場の香にため息をついた
イサムの今の住民票は御徒町あたりにあったから、火葬許可が下りたのは新宿ならぬ台東区であり、小さくなった彼の終の棲家が整うまでは、隼人の元に身を寄せることになる。生家とその周辺に連絡を取るにあたり、大人びた面差しの隼人が頭ごなしに「叱られ」、子供として強く諫められた後で、それでも彼の友人の引き取り手は速やかには現れなかったので。
「制服じゃない、お前の身体に染み付いているんだよ、」
ほら、肌自体に線香の臭いが染みて焦げ臭い。昨日はちゃんと寝たのか?研究所に帰ったらちゃんとゆっくり風呂を使うんだぞ、言いつつ竜馬が戦友の長い黒髪をくしゃりとかき混ぜられたのは、役所の手続きにアパートの解約にと走り回った隼人が駅前のベンチに深々と腰掛け、たいそう長い脚を投げ出し疲労をあからさまにしているからで。顔にだけは意地でも出さないで苦笑いを寄越すそのひときわ白い顔に竜馬は頷いてやらなかった。幼い妹が逝ったとき、寝ずの番で線香を絶やさず明かしたあとの朝の自分のからだもこんな臭いがし、舌を這わせてみれば汗ではない燃え焼け焦げたものの味がしたと、口にはしないが。
そうだ、精進払いをしないか
「うん?」
ここから『百果園』とやらに寄ってイチゴか何かの串を買って、つぎの駅近くの動物園まで歩くんだ
「お上りさんかいリョウさんは」
ああそうさ!パンダを見てみたいから案内してくれ
「ははっ」
一番の目玉なんだろう?そこまでにゾウやキリンの前を通ったらきっと、線香の臭いも上から重ね塗りされるさ
「お前
…」
ああいうのは大きなウ〇コを観客の前でも平気でするんだ
「」
それで堪らず今夜のお前はきちんと風呂で髪まで洗うわけさ
「!!」
さあ行くぞ、だがイチゴ屋はどっちだ?そう差し出された手に、しばし返す言葉も失っていた彼は
台無しなお誘いだよ、と隼人は笑った
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