DRRV11037
2025-09-30 17:46:19
16304文字
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DRRV:1章地下道編








沈んでいた意識が、強制的に引き上げられる不快な感覚がした。急に魂が戻ってきたみたいに、肉体の重さと巡る血潮の熱さに呻くと……次の瞬間、私はハッと目を開けていた。つい先ほど自分の身に起きたことを思い出し、神経はすぐに緊張状態に切り替わる。ばくばくという心音が鼓膜を震わせるなか、私は自分の胸に触れた。さっき爆弾が破裂したところだ。なのに、なんともない。怪我はおろか、ジャケットに傷すらなかった。落ち着かなくて、私は三つ編みをそっと撫でた。

脳が働きを取り戻してくるとともに、私の意識は自分の様子から周囲の様子へと広がった。頭を上げると、黄色の梯子と『出口』の看板が目に飛び込んでくる。地下道の手前に引き戻されたらしい。どうやって?

後ろを向くと、みんなが倒れていた。
15人全員が糸の切れた人形のように倒れていた。

………!?」

ほんの一瞬だけ、みんなが死んでしまったのかと想像した。焦った私は、とにかく一番近くに寝ていた女の子の肩を掴んで乱暴に揺さぶった。

「釘山さん、釘山さんっ!!」

すべすべした紫色のジャケットの肩口を、私は固く握りしめた。同じく紫のもこもこしたツインテールから、真珠のような飾りのジェムがころりと外れ落ちる。重たい四肢はいまだコンクリートの冷たい床に投げ出されている。それでも、アイシャドウに隈取られた瞼がぴく、と刺激に反応して動いた。それは彼女が生きている証拠だった。

「釘山さん!」

まもなく目を開けた釘山さんは、30cmほどの距離から見つめる私に驚いたようだった。

「えっ何スか。釘山、プリンセスじゃなくないスか?」

彼女の濁った紫の目が、ぱちぱちと瞬きをする。

「わ、私だって王子様じゃないよ!」

慌てて否定した私は、彼女の身体の上を退いた。恥ずかしい。心配のあまり近づきすぎてしまったみたいだ。でも、トゲトゲしたピアスが怖い釘山さんも、触れてみれば生温かい普通のひとなのが、なんとなくおかしかった。

「や~それにしても、とんでもない目に遭いました。」

身体を起こした釘山さんは、両手を頭上に掲げてくっと伸びをした。

「あのあと、どうなったの?」

私は真っ先に意識を失ってしまったから、何も記憶に残っていなかった。釘山さんは答える。

「地獄絵図っスよ。次々に脱落していきました。釘山は鉄の扉を開けてる最中、後ろから爆発的なのに巻き込まれてそのまま気絶したんで、全体を把握してるわけじゃないッスけど。見た感じ誰もトンネルの出口に辿り着けなかったみたいッスね」

倒れているみんなが、少しずつ目を覚ましていた。呻き声が聞こえたり、起き上がる姿が見えたり。

「みんな、大丈夫?怪我はない?」

裁門さんは、起き上がるとすぐにみんなの確認を始めた。幸いなことに怪我人というほどの怪我人はいなかった。多少、背中を打ったとか、尻もちをついたくらいのものだった。

「オレンジ色の光と煙くらいしか、出てなかったな。ほ、本物の爆弾じゃなかったからぶ、無事そう、だね。ぁの、多分っ僕らを傷つけようって感じじゃない、の、かも?」

黒原くんがそう言ってぎこちなく笑った。

「モノクマさんはみゆたちに死んでほしいって思ってるのに?」

形代さんは、足元に落ちていた赤色のベレー帽を拾い、ぎゅっと握りしめた。

多分、死んでほしいというより殺し合わせたいんじゃないかな?だから、罠で傷つけても意味ないって思ってるのかも」

夜深くんが推測した。

それなら、モノクマが偽物の爆弾を用いた理由は説明がつく。どうしてそれで気絶したのか分からないけどもしかしたら爆弾の煙に、私たちを気絶させるガスでも入っていたのかもしれない。



もう一回、試してみませんか!?」

改瀬さんが立ち上がり、みんなの顔を見回した。力強い緑の瞳の輝きはまだ止んでいない。

「みんなが行くなら俺は行くけど

小栄くんが曖昧な返事をすると、目を逸らした。隣に小さく蹲った形代さんの目は少し怯えている。確かに私たちはひどく怖い思いをしたから、あのトンネルにもう一度飛び込むのは気が引ける。

でも、

「Why not? 罠を避けるためにステップを覚えるとき、最初は転ぶものよ」
肩を竦めて、清忌さんがすっくと立ち上がった。

「大きくジャンプしたらいける気がするよねー」
白跳さんも立ち上がる。

でも、大丈夫。

「私も賛成だよ。もう一回やってみよう?みんなで協力し合えばきっとうまくいくよ」

私も、改瀬さんたちに応えて立ち上がった。みんな、この学園から脱出したいと願っている仲間だ。心はひとつなんだ。きっと私たちならもう一度挑戦できるはず。

……!そうだよなッ!よし、もう一回やってみようぜ!さっきは初めてで罠に対応しきれなかった部分があったけど、次はもっと良い結果が出るはずだろ?」

確信とともに握りしめられたこぶしは力強い。榊くんが明るく呼びかけたおかげで、全員が再挑戦することになった。頷いてくれたみんなのことが、私は本当に誇らしかった。

そうだ。

こんな勇敢なみんなと一緒なら、次こそは、

きっとうまくいくはず───……