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真九龍
2025-09-10 19:48:53
48337文字
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小説
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【鳴ライ】Sweet and Crisis
鳴海×ライドウで、”二人で女装”して潜入捜査するお話。
ラストのページはあとがき、と言う名の裏設定になります。
注1:両想いな鳴ライになっています。
注2:ライドウremaster版をプレイ及びクリア済み。ゲーム本編のネタバレが含まれます。
注3:攻めの女装表現が含まれます(勿論ライドウも女装します)。
注4:間接的ですが、名も無きモブの死亡表現が含まれます。
注5:女性軽視表現が含まれます。
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─捌─
女性は、異国の生まれだった。
女性には、愛する夫が居た。
夫の贈り物である碧い宝石のペンダントネックレスを、肌身離さず身に付けていた。
四十を過ぎた頃、夫と共に日本へ渡ってきた。
日本での企業は成功し、軌道に乗った。
五十過ぎ、夫は女性に見向きもしなくなってきた。
日に日に若い女の許へ足を運ぶようになり、女性は嘆いた。
愛する夫が再び振り向いてくれるよう、女性は磨きをかけた。
どれだけ着飾っとしても、夫は老いは欺けぬものと突き付けた。
女性は失望し、ペンダントネックレスを身に付け、一本の枯れ木で自ら命を絶つ。
枯れ木は瞬く間に生い茂り、息絶えた女性の亡骸を取り込んだ。
女性の怨念は、妖樹ジュボッコとなった。
ジュボッコは自身と似た境遇を持つ女の心に付け込み、其の血を吸い続けた。
血を吸えば、己の身体が若返っていく気がする。
若返れば、愛する夫は振り向いてくれるだろう。
何十年も彷徨い続け、生き血を大量に吸収したジュボッコは変異を起こす。
足りない、足りない、血が足りない。
ジュボッコは白骨の骸と化した女性の姿を造り、若かりし頃の容姿となって女を欺き、血を喰らう。
再び彷徨ううちに、あのお茶会を発見する。
己と似た境遇を持つ女の溜まり場で、ジュボッコは生き血を啜る。
一人、また一人と。
帝都の守護者・十四代目葛葉ライドウに討たれる其の時まで、ジュボッコは女性の怨念を抱えたまま血を求める。
「
…
お茶会が狙われたのは、初老婦人や参加者との波長が合い、其処に引っ張られた
…
て感じかねぇ
…
」
「似た者同士は引き寄せられるともいうからな
…
やれやれ、女性の怨嗟は実に恐ろしいものだ
…
」
事件解決から翌日の午前十時。
鳴海探偵社では、鳴海が事件の報告書を作成していた。ゴウトは一枚、また一枚と完成していく報告書を眺めながら呟く。ジュボッコの跡に残った白骨の骸とペンダントネックレスには、残滓が留まっていた。ライドウは其の残滓を視、ジュボッコが生まれた経緯を知ったのである。
「鳴海さん、珈琲を淹れました」
「おう、ありがとよ」
「定吉さんもどうぞ」
「ああ、頂くとしよう」
名目上、此の事件は海軍との合同捜査になる為、報告書の作成には定吉も携わることになった。捜査中は閃光を撒き散らしていた二人だが、事件解決後は幾分か軟化し、張り詰めた空気が探偵所内に充満することなく、報告書を順調に仕上げていく。
今朝の新聞には、事件は無事解決したと大々的に載っていた。勿論、記事の中身はヤタガラスが手を加えたものである。異界に引き込まれたお茶会の参加者は、ヤタガラスが彼是と上手いこと言い包め、場を治めた、と、定吉の談。
「鳴海ちゃん、居るかっ?!
…
て、貴様は確か
…
何時ぞやの海軍兵
…
!」
「ブーッ!
…
ちょっと風間さん!!此処に来るなんて聞いてないよ?!」
珈琲で小休憩、と思いきや、風間が鳴海探偵社に突如来訪し、空気が一変する。
「こんにちはー!あら、貴方は確かあの時の」
「ブーッ!
…
ど、どうも
…
ご無沙汰しております」
更にタヱまで訪ねてきて、鳴海探偵社の中は瞬く間に二転三転する。
二人は今朝の新聞を読み、居てもたってもいられなくなったくちだ。
風間は事件捜査の権限を奪っていった定吉にいちゃもんを付け、タヱは怪異の匂いを嗅ぎ取ったのか、事件の真相を詳しく聴くべく鳴海を問い詰めている。
「喧しいことこの上ないな
…
」
「なあ、ゴウト」
「ん?」
「風間さんとタヱさんにも珈琲を淹れたら、落ち着くだろうか
…
」
ライドウは困惑しながら、来客には珈琲が必要か、とゴウトに問う。確かにライドウが淹れた珈琲は美味い、絶品だ。風間の怒りとタヱの猛攻が珈琲で治まり、鳴海と定吉も助かって、騒々状態の鳴海探偵社は静けさを取り戻す、かもしれない。
「ふむ
…
其れはうぬ自身で決めるがいい」
「
………
─
…
淹れてくる」
ライドウは珈琲を準備すべく、騒がしい執務室を後にした。暫くして、二つの珈琲をトレイに乗せて、再び戻って来た。風間とタヱに淹れたて珈琲を飲んでほしいと催促すると、二人は珈琲の香りを嗅ぐや否や、精神が和らぎ、珈琲を堪能し始める。
「流石は十四代目葛葉ライドウ
…
珈琲で怒りを鎮めるとは、見事也」
其の後、珈琲を飲み終え、吐きたい事は一通り吐き出した風間は帰り、タヱも鳴海の口の堅さに根負けし、渋々鳴海探偵社を後にした。鳴海と定吉は、嵐が去ったと言わんばかりに報告書を書き上げる。完成した報告書は定吉が責任を以って、名も無き神社へ届けに行った。
気が付けば、午後十二時。丁度、昼食の時刻である。
「はあー
…
やっと終わったぜ
…
」
「鳴海さん、お疲れ様です」
中央に設置されたテーブルに突っ伏す鳴海を、ライドウは労わる。彼の左手に視線を送ると、包帯が巻かれている。
昨日、全てに決着を着け、鳴海探偵社に帰宅後、ライドウは急いで鳴海の左腕と両足を診た。左腕は罅模様の傷が奔り、慣れないパンプスで疾走し続けた両足は至る所に靴擦れが生じていた。イッポンダタラにディアを施してもらったとは言え、あくまでも一時的な処置に過ぎない。傷口を消毒し、傷薬で手当する必要が有る。ライドウは救急箱を取り出し、鳴海の処置にあたった。
「何時もと逆だな」と、苦笑しながら、鳴海はライドウの右頬に貼付薬を貼る。
「無茶をさせてしまい、御免なさい
…
」と、ライドウは申し訳なさそうに謝罪した。
暫しの間見つめ合った後、二人は抱擁し、口付けを交わす。背後から痛い視線を感じるも、無視して口付けを続けた。所謂良い雰囲気になってきたのだが、強烈な疲労には抗えず、二人揃って鳴海のベッドに倒れ込み、何事も起こる事無く朝まで思いっきり爆睡したのは此処だけの話。
「うーん
…
昼飯どうすっかなぁ
…
ライドウ、何か作れそうか?」
「昨日買い出しに行ってないので、食材は有りませんよ?」
「
…
良し、食べに行くか」
「なら、食べ終わった帰りに買い出しもしましょう」
「(うぬらのご飯中は待ちぼうけを喰らうかもしれんが
…
)我も行くぞ」
思い立ったが吉日。
鳴海とライドウはお馴染みの衣装を纏い、鳴海探偵社を後にするのであった。
─了─
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