はしびろこう
2025-08-05 12:16:46
14774文字
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讐アシュくん

カルデアに、復讐者のアシュヴァッターマンがやってきた。全年齢のやつはここに。アシュヨダの香りがします。
ちよどさん【@tiyodo.bsky.social 】とお話しした内容とかもバリバリに含まれてまする(許可済みです)


お風呂
「風呂入れてやるかー」
「いや汚れてはねえよ」
「汚れ取らんけど傷んでおるだろ」
 まあそうではあるが。
 擦り切れて擦り切れて、最後の最後に残ったのは――最後の最後まで、償いと――この人への純然な愛だった。風呂に行くぞと服を脱がされてもぼんやりと旦那の顔を見て、手を引かれればそのまま着いていく。霊薬が効いて少しばかり喉は良くなったようなので、ガサガサの指とか髪が気になったのだろう。風呂に少しばかり霊薬たらしているが、これって経皮摂取できるんだろうか。
……
 風呂の中にドボンと入り湯が跳ねて、あーあーと思ったが、指先はもうつるんとしており、これ触ったらいいレベルのもんなのかとゾッとした。
 ぼんやりした復讐者アヴェンジャーの自分を肩まで沈めるが、旦那がにこにこしてるのをずっと見ている。いまだに夢見心地であるのかもしれない。
「アシュヴァッターマン、好きな匂いはどれだ?」
 シャンプーとボディソープを並べてみせる。旦那が数回使って飽きたやつや、普段から使ってるやつである。普段備え付けのものくらいしか使わない自分のものとは品揃えがまるで違う。
 並べられてもぼんやりと旦那を見て、好きな、という言葉にだけ反応したのかドゥリーヨダナに腕を伸ばして抱きしめた。濡れたというのに、旦那に関しては良い良いと復讐者オレの頭を撫でて。
「なら、わし様が普段使っているものを使おうな〜」
 旦那が頭洗ってる間に自分の身体洗ってやるかと泡立てて身体を洗ってやるが、本当に無反応で旦那の方だけ見ている。当の旦那はぬおぉ泡立たん!もう一回だ!と三回ほど繰り返してどうにか泡が立っていた。
「アシュヴァッターマン、泡たったぞー、おい、ちょ、目を閉じろ、しみるだろう?おーい!」
 あ?と視線を向けてやれば、旦那の顔をガン見である。無論顔に泡が流れてくるのにそのままなので、目に入っているようだが目を真っ赤にしながら旦那を見つめている。
 ああ、はるか昔、一人でいた頃は旦那の幻覚とかも見たっけな。瞬き一つで消えてしまう幻だった。だからこれも、夢かと思って見つめているのかもしれない。
 目を離したら、消えてしまうと思って。
「おーーい!染みるだろう?!」
「旦那、いいから」
 一度顔面に水ぶっかけて、顔の泡を流してから顎の下を掴んで後頭部を風呂釜の縁に後頭部をつけてやる。視界が反対になろうと旦那が目に入ればいいだろう。シャンプー台のようにして頭を洗わせて、贅沢なことしてんなーと思いながら見つめてしまう。
「ん?なんだ?アシュヴァッターマン、お前もあとでやってやるからそんな目で見るな」
 お見通し。人たらしである男の真骨頂。これで脳髄まで焼かれたやつは多い。
 普段ならオレは別に、と引っ込むところだが。
……ン。したらあとで頼まぁ」
 ベッドのヘリに頭のっけて、旦那を蕩けるような目で見つめている復讐者じぶんを見てしまい、気が変わった。

 (他のやつならなんとも思わねーんだが)(自分に負けんのは、気に食わねーわな)
 20250811.