はしびろこう
2025-08-05 12:16:46
14774文字
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讐アシュくん

カルデアに、復讐者のアシュヴァッターマンがやってきた。全年齢のやつはここに。アシュヨダの香りがします。
ちよどさん【@tiyodo.bsky.social 】とお話しした内容とかもバリバリに含まれてまする(許可済みです)


はみがき

「あーん」
「あ゛」
「うん、よしよし」
 ドゥリーヨダナが目の前で口を開ければ、あ、と口を開けた復讐者の俺の口の中を検分。怪我が残っていないことを確認する。
「さすがキャスターの薬はよく効くなぁ」
 撫でるように優しく頬に手を添え、親指を口の中へ。復讐者の俺は大人しく口の中を弄られている。あの頃感覚あったかどうかも思い出せないが、おえ、とえずきながら口を開いたままだったので喉の奥を押せば嘔吐反射は起こるようだ。
「さて、ご飯食べたら歯磨きしようか」
「あ、」
 よくわかってもいないようだが、ドゥリーヨダナに手を引かれれば是非もないとばかりにトテトテと体のバランスを取れれば御の字とばかりな体重移動で足を動かした。
「あんよがじょーず、あんよがじょーず」
「やめてくれねーか‥」
「何をいう、まだ万全というわけではあるまい。薬も全部飲ませてはいない、いきなり腹に入れてさらに荒れても困るしな。なあアシュヴァッターマン?」
 目線はうつろだ。胡乱げな目線がこちらに向く瞬間だけ研ぎたての刃物のように煌めく。お前は誰だと、言うように。
 全盛期のお前だっつーの。それすらわからないほど、精神が磨耗しているのだろうが。
 ドゥリーヨダナが洗面台に連れてきて、少し身を乗り出せ、と泡が顎をつたってもいいように背中を軽く押せば、目線は一度ドゥリーヨダナに戻り、鏡など興味もないとばかりに男の顔を見つめている。見つめすぎて穴が開くというならば、デカ目の穴がぽっかりと開いていることだろう。
「そのままだぞー」
 たっぷりと歯磨き粉を新しい歯ブラシに盛って(そんなにいらねーだろ間違いなく)口の中に突っ込んだ。シャカシャカと動かす間にシトラスミントのすっきりした香りが泡と共に落ちてくる。
 口の中をどうされようとかまわないとばかりに、泡をバタバタ洗面台に垂らしながらである。少し前傾させた旦那の判断は正しいと言わざるを得ない。
「ガラガラペッだぞ〜」
 泡まみれになった口から歯ブラシを引き抜き、少し上を向かせて水をうっすらと開いた唇へ。
 口から溢れる歯磨きの泡と――
「ごっくん」
「やるとおもった!」
「あーーもーーアシュヴァッターマン!メッ!だぞ!メっ!」
 怒られたことはわかったらしいが、こてんと頭をかしいでしんなりと全身で悲しみを表現したので、ドゥリーヨダナは頭をなでなで、タオルで口の周りを拭いてやって。
「いいか?歯磨き、ハミガキだぞ。覚えておけ」
「あ、い、――ぎ」
 唇の形を模倣して、なんとか声を出したようだ。
「そうそう、それでぇ」
 
「あ、っ――!?!」

 唇を重ね合わせ、舌を突っ込むのが見えた。
 あ。復讐者の俺が暴れねえようにいつの間にか指絡めてる。
 ぬっちゅぬちゅぬろぬろずるるるる、えらい音がするが、待ってくれ旦那。
「旦那ァッ!そいつ童貞だからぁッ!」
 慌てて引きずり剥がすが、旦那はあん♡みたいな声出してから舌を舐めずる。どのくらい童貞アヴェンジャーが動揺したかといえば、引き剥がした俺に縋り付いてくるレベルである。
「あーんまだ途中であったのに」
「えっらい音したが?!なんの途中だって?!」
「お口キレイキレイできたかなーって♡」
「あ、あ゙……
 腕の中で自分が震えている。そのあと。
 ――ぶしゃっ。
 鼻血、昏倒。
「あー、寝てしまった」
「寝たんじゃなくてキャパオーバーしたんだよ!!!」

 20250804.