はしびろこう
2025-08-05 12:16:46
14774文字
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讐アシュくん

カルデアに、復讐者のアシュヴァッターマンがやってきた。全年齢のやつはここに。アシュヨダの香りがします。
ちよどさん【@tiyodo.bsky.social 】とお話しした内容とかもバリバリに含まれてまする(許可済みです)




 槍の戴冠戦の最中で、種火もないから少し待っててね、と言われて俺の部屋で復讐者アヴェンジャー霊基のアシュヴァッターマンが旦那に可愛い可愛いされながらベッドで丸まっている。
…………
 乾いた唇、傷ついた霊基のままでは困ると神代の魔術師から霊薬を買って、食事に混ぜるかと桃をむいていて。
「あ」
 ブツ、切れ味のいい刃物も考えもの。
 桃の皮切るつもりが滑って指を切っていた。ポタポタと――抱えていた男の身体に落ちた。
 ああーんみたいな声をあげたが黙って消毒を、と救急箱に手を伸ばせば後ろからガタガタ、と旦那が指を咥えている時に復讐者アヴェンジャーの俺が旦那に縋り付いて、旦那と一緒にベッドに転がっていた。
「ええーどうしたのだ?桃?もう少し待ってくれ」
 なにしてんだ、と覗き込めば。
 呼吸が荒く、ふう、ふ、と呼吸を荒げながら旦那に絡みついて、顔と太ももをまさぐっている。
――ああ」
 ――ドゥリーヨダナが、最後に尊厳を破壊するように破壊された部位は、左の太ももと、顔面。必死に太ももを撫でる男は、ドゥリーヨダナから落ちた血への恐怖心から半狂乱である。
「ッ……ふ、……っふーーッ」
 震える呼吸音。まあ、わからんでもねえかと思いながら旦那の指を消毒しようと手を伸ばせば、ばちぃん!!力ずくで払い除けられる。
 レベル一の力ずくなど高が知れているが、復讐者アヴェンジャー霊基の自分にビキ、血管切れそうになる。アーチャーの自分はクソギレ寸前である。こいつ、こいつ!槍の戴冠戦でカルナがずっっといないので、もしかしたら旦那独り占めできんじゃねーのかな、とか思ってちょっとイチャイチャしてえなぁとか思ってたところに来たと思えば、旦那に触ろうとするだけで思い切り手を払い除けられたのだ。
 このやろう。旦那に引っ付いてなきゃなんともねえのになんとも言わず、つーかレベル120だぞ、日常的に撫でる程度以上の腕力で軽く裏拳の一つもやったらレベル1とか一発退去させかねないのだ。キレそうになるのを旦那のまーまー、を聞いて鎮火しながら旦那の方から手を伸ばしてもらって指を軽く消毒してから舐めて霊基の修復。
 旦那から触らせる分には琴線に触らないらしく、ドロリとした目で見つめて来た。クソムカつく、自分だが。
「ん」
「まー許してやれ」
……おう」
 血が出ている男の顔と太ももを、震える呼吸で撫で回す。ドゥリーヨダナがなんでもない顔で自分と霊基違いの自分の頭を撫でて、ほおを優しく当ててやっていた。
 転がったままの身体を(復讐者オレ)の方に触る分には暴れないのでもろとも抱えて起き上がらせる。
「アシュヴァッターマン、剥いてくれるか?」
「ん」
 桃と刃物を受け取ろうとすれば、ふと、手を出しているのはオレだけではなく、先ほどまで旦那を抱えて転がっていた向こうもで、――びき。ときたが、
「えーお前フルーツ剥いてくれるのか?」
 と向こうに渡してしまった。ああそうだ、オレは旦那に頼られるのがめちゃくちゃに嬉しかった。
 スズメの百まで踊りを忘れず、三つ子の魂は百までもである。
わかっている。役割を与えられるということは嬉しいことだ。俺からすると奪われちまったことになるのだが。
 フルーツを丁寧に切ったのを俺がドゥリーヨダナに献上していた。ニコニコと笑いながら、ドゥリーヨダナが霊薬を上からかけて、手ずから食べさせようとする。
「ほら、あーん♡できるな?」
「‥‥あ、」
「よしよし」
ちゅる、たっぷりとした水分を感じさせるものが、乾いた口の中に滑り込んでいく。
唇が一瞬で皮むけもひび割れもなくなりビビった。神代の魔術はほとんど魔法であると言われたが、まさにそれだった。
こりゃ神仙の霊薬だわな。
喉が治った俺の、第一声。それでもしばらく使っていなかったからガサガサの声だが。
「スヨ、ダナ、‥」
「ーーー」
ぽろぽろと、涙が落ちて、また旦那を包むように抱きしめた。
ちなみにこれ俺の部屋である。俺のベッドでいちゃいちゃすんな。

20250720.