はしびろこう
2025-08-05 12:16:46
14774文字
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讐アシュくん

カルデアに、復讐者のアシュヴァッターマンがやってきた。全年齢のやつはここに。アシュヨダの香りがします。
ちよどさん【@tiyodo.bsky.social 】とお話しした内容とかもバリバリに含まれてまする(許可済みです)



バトル
「マスターを守るのだぞ」
 スヨーダナさまたいせつなあのひとに、そう言われたことを覚えている。
 
 プシュッーー何かが抜けた音、パチリと目を覚ます。
 頭が吹っ飛んだはずなのだが。
 首をさわる。
 再生するには早いし、くっつけたにしても、傷ひとつない。
 首を傾げながら、ぼんやりと思考を回す。
 なんだったか、それ以外。
 周回に、スヨーダナ様が呼ばれて。
 俺はまだ、れべるが足りないので後衛で。
 スヨーダナさまが、みてまなぶといいって。
 でもまだれべるが足りないから、見ながら、後ろでますたあを頼んだぞと、細面の小柄な少年を任されたのだ。
 そして、スヨーダナ様が倒したナーガの体が暴れて(蛇のようなあの神くずれは、とても丈夫だ、動かなくなるまで時間がかかる。)
 ――マスターを、守ろうとして、抱えて地面に伏せさせてーー自分の頭が吹っ飛んだ。
 そこから記憶がない。
 ――ドク。

 スヨーダナ様、スヨーダナ様。
 俺はあなたの頼みを聞けたでしょうか。
 スヨーダナ様。
 また隠れてしまわれるのですか、
 俺の、いないところに――

――あ、あ゙、あ……
 
 また、また――俺は、ああ、あれは、幻、だったのか。
 
「アシュヴァッターマン!!!」
 ブショッばっかん!
『バーサーカーの腕力で開けないでーー!』
 斜め上の、箱から子供の声、そして目の前のしろい縦長の箱からスヨーダナ様が飛び出す。
「!!あ゙」
 体を包むように抱きしめてくれて、起き上がった箱の中にもう一度戻る。んぐ、ぐ、う。
「よくマスターを守ったな……!!」
 絞り出すような声。どうやら少年は無事だったようだ。願いを聞き届けられたならばよかった。もぞもぞ、座りのいいところを探して腕を回す。
「ごめーーーん!!アシュヴァッターマン大丈夫だった?!」
 さっきの、ますたあの、声。視界は幸せなことにスヨーダナ様でいっぱいで、でも大丈夫、と多分見えているだろう腕を振る。
「でも、お前、頭吹っ飛ぶのはダメだぞ」
「?」
「可愛い顔をしてもダメだ」
「んん?」
「仕方ないよ、レベル一のままでしょ。あそこの適正レベル九〇だよ」
「うぬううう」
「うう」
「それにかわいいからしばらくこのままがいいってわがまま通してるのはドゥリーヨダナだよ」
「あーこら!言うな!」
「う」
 れべるがあがると、スヨーダナ様の役にたてることがふえるし、弓の自分に力負けするようなこともなくなると思うから、れべるは上げたいのだが。
 スヨーダナ様がのぞまないなら、それでもいいのだ。
 本当は、れべるがたかいスヨーダナ様に、弓の俺がつけてる所有印を、俺もつけてみたいけど。
 ちゅ、抱きしめてもらったところに、必死に吸い付いてみる。やっぱりつかない。
 でも、良いのだ。
 スヨーダナ様が望まないなら。
「じゃあせめてレベル四〇はどう?再臨しないってことでさ。そしたら少しは身体丈夫になるかもだし」
「んぬぬぬぬ」
「救護室からもレベル少し上げろって言われてるんだよ」
「仕方あるまい、再臨前までだぞ」
「!ン!」
「ほら、喜んでる」
「んもー……しばらくこのままでいいというのになぁ」

 れべる四〇まで上げてもらった!
 嬉しい。
 からだが軽い気がする。
 少しだけ、視界があかるい。
 スヨーダナ様が、また少しはっきり見える。
 種火をもらってから、また後衛に連れて行ってもらった。
 首が取れるのはダメ、とのことだったから。自分もできます、って知ってもらわないと。
「ます、た」
「ん?」
 手を繋ぐ。手をゆらゆらと揺らして、重心の把握。重さ、は、多分今の俺と同じくらいだろうか。ナーガとか、竜の頭が飛んできたら抱えて――いや、まだ抱えて飛び上がれるほどじゃないかもしれない。
 物理的なものが飛んできたら、今度は。
「あ゙ーーーっ」
 前衛、スヨーダナ様の叫び声が聞こえる。ああ、今度は弓の自分が大型の竜の首を叩き潰したようで――頭部がこっちに吹っ飛んできた。
「うわああああ!!!またーーー!!!」
「ん」
 手を繋いで、遠心力で軽く体の後ろに収める。
 俺の体の前、手の届く範囲へ飛んでくるなら、大丈夫。安心させるように肩を軽く叩いて、片足に乗る。
 躍り出るように見えたかもしれない。
「ふッ!!」
 手を軽く前へ。転がるように飛んできた頭部があたる瞬間に体重と肘を体の中心に落とし、指を接触させながら回転させてを変える。

 ――それは一瞬。少しばかり皮がむけて擦れる範囲が広かったので火傷をしたが、それだけである。
 後ろで目でもつぶっているかと思ったますたあを振り返れば、驚いたことにこちらをしっかりと――顛末をしっかりとみていたようだった。
 ほおを擦って、意識も大丈夫なのを確認する。
 
「さすがわし様のアシュヴァッターマン!!」
 
 遠くで、スヨーダナ様さいあいが、誇るように歓声を上げてくれたのを、とても誇らしく、愛おしく、嬉しく思った。
 この数千年で、いちばん。

 
 ちなみに夜伽の時に、そっと、――そっと首筋に跡を残そうとしたら、弓ほどはっきり大きくはないが、きちんと印がついて、満足感を抱えながらおやすみなさいした。
 
 20250331.