当時のフォロー先様某漫画勝手リスペクト
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彩果
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ああ、思い出した
こういう「宝石」シリーズは果物型のヤツをガキの頃にももらったんじゃなかったかな
そう言って透き通るゼリー菓子を指の間、灯火にかざして竜馬が言う。やわい宝石が光を通すので、その澄んだ瞳を真っ赤に染める
葉っぱの形や薔薇もあったのかよお、へえ、葉っぱだといろんなハーブ?
「これ、オイラがもらったやつはうまかったけど、バラってどんな味なんだい?」
「うーん、ジャムだったらお料理に耐えて色が残る品種なのが最優先で、その季節の花よね、それで一季咲き四季咲き春咲き秋咲き
―――あ、シャルル・ド・ゴールみたいな香りやマダムピエール、ロサマダスケナみたいなピンク色のはね
―――」
女の子は綺麗なものの話になると、すぐそっちに行っちまって、オイラの話なんか忘れっちまうんだよなぁ、と武蔵はほんのわずかせつない。
「さあ、わからないけどそっちの味もべつに悪くなかったみたいだぜ」
言った竜馬は立ち上がり、部屋の隅でほんのすこしの薄い「繭」を作っている隼人に向き直る。嘗てのような冴え冴えとして他人に対する壁を作るではないが、先刻からの話に参加するでもなく、手にした書籍の世界をたゆとってまだ帰ってこない。
だから彼がどんな世界にいるのか覗き見ようとして、古びた装丁の匂いより先にふわりと来たそれに竜馬は思い出した。すんと音を立てて嗅ぎ直す彼に顔を上げいぶかる隼人の白くて細い鼻柱が触れてもお構いなしだったほどに深く、隼人の上に身をかがめて。
繭がほどける。見上げるそのおもざしの薄い唇が開き、見つけられた繭の糸口から引き出される極細の絹のようにはっきりとひとすじ、竜馬の鼻と口元を撫でる香を彼は感じて
「隼人から薔薇の匂いがする」
隼人くんが食べたのはオールドローズかしら、原種っぽい白い薔薇ね、と菓子箱の残りを覗き込んでミチルが言う。
「ああ
…お前からもするぜ、薔薇の香り」
よく匂うから秋薔薇じゃねえかな、俺とは違うやつだ、と言われた竜馬は一瞬目を丸くしたあとああ、と肩を竦める。いや食ってないよ、さっきまで庭木屋さんが来て庭を剪定してくれたから、トゲのある枝は持っていってもらうのも悪いと焚き火用に運んでたんだ、あれに薔薇の枝もあったかな、その内焼き芋でも焼こうぜ。
既に薔薇の香りのする彼は事も無げに
「だから匂うのはこれからさ」
快活にそう言って赤い薔薇を口に放り込む。そうであるから
気立ては優しいが、なにかを押し隠すのは到底うまくない、常に真っ直ぐ近すぎるほどに突き付ける、剥き出しの様な視線の主と
木立の陰ベールの奥、かすかな物音僅かなその仕草気配を拾うことができなければ終わりだというのに、それに気付いてほしいと請うかのような、気付かれた時を思い怖れるかのような、ただ静まる相手と
その花の名前を、彼らはまだ知らないのだ
そんなふうに同じ時を過ごしている、彼と彼とは。
桃色だったオールドローズには、白い花も赤もある
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