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akinoshiroihana
2025-04-14 21:27:48
16099文字
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名刺置き場5
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Boma ye
抜けだした先の地下闘技場の闇プロレスで、そこでなりの勝利の栄冠に輝く青年を祝福し、うら若い美女(初対面)が飛び付いてキスの一つも交わしてかまわなそうな距離に忽然と現れた男はしかしそんな言葉を口にした。青年も幼い頃から何度も聞いたプロレスのテーマ曲で流れた謎のフレーズ、体を揺らして無心にとなえた「ぼんばいえ」、その実、あれが意味しているのは「やっちまえ」「殺せ」なんて物騒な代物だと教えてくれたその彼が
———
御用心。
止めはしっかり刺せ、お冠だぞと。
サングラスに映る、背後でパイプ椅子を振りかざした相手選手のピンクの巨躯に振り向くでもなく、aye captainと號は後ろ蹴りを放ち、吹き飛ぶその姿にではなく、届かないサングラスへと可愛いぶったキスの仕草をした
幼い頃の歌の意味を「知りたい」と思った事が無いわけではない。だが彼はそれを探し求めるよりいつか与えられるのをぼんやり待つ程度には指針を持たずに焦がれ焦げ尽きかけていたのだった
蹴撃の反動で傾いだ体を汗まみれの身体を彼は抱き止めてくれるだろうか、くれなきゃヤバい、と思いながら
●
どうしてこうなったといえば、そうだな、あー、う~~~ん?
軒先からアジサイがいい具合に咲いてんのが見えて、あれを手土産にして邪魔する理由にもすりゃいいやと思い付き
その時点まで手ぶらかよオッサン
いんだよ花盗人は何とかって昔の人も言ってらあ
ありゃあ上手い歌でも読まなきゃ勘弁してもらえねえって狂言だぜリョウさんよ
で、(投げ渡されたタオルを受け取りつつ)
花を折りながらひょいっと見上げたらよ、しっかり色付いてるのにお前ら完全放置のスモモが頭上で鈴なりになってんのに気が付いて、はあしょうがねえな、ここはひとつ俺が収穫していってやらねえととバケツ借りて実をもいでたらよ
恐竜帝国は土日祝日関係なしに来んの、あんたも知ってんだろ
常ならぬ気配に男が休暇中でさえ携帯する銃に手をのばして窓際の壁に寄れば、雨にけぶる木立をゆっさゆささせている影があり。猿は撃つのを嫌がる猟師も多いから自分達で始末しようとトリガーに指がかかってみれば、きわどく躱した相手は男の嘗ての同僚で、変わらぬ友で、なんならそれ以上のなにがしかかもしれない御仁であり
久々の休暇、雨の音にコーヒーの香り、そこに乱入するなにしやがんでえとの抗議の銅鑼声、しとどに濡れた花、ぴかぴかの宝石みたいな、バケツから溢れそうな赤、それらを目にし、かすかに笑む神隼人
だったらこれは不問になってしまうかと、號は肩をすくめた
旧早乙女邸の庭には、桃園は無いが李は実るらしい。死ぬときは一緒と言い交わした約束が触れがたいものになってしまっても、毎年花は白く咲き赤い実を結ぶという
●
その夜、流竜馬はあたたかすぎる春の夜風に覚えず寮の部屋の窓を開け放った。先にベッドに入った巴武蔵は高鼾のままだった
人類がこのままだと地球は竈か温室のようにあつくなり、花冷えの頃もなにもなくなってしまう、とは小高いところに建つ早乙女研究所の、早乙女達人達三兄妹の父が憂えた言葉だったが、竜馬にはまだ遠い言葉だった。春眠暁を覚えずで、重い冬の毛布もなにもなく眠れる麗らかな季節の到来だった。
だから神隼人が午後ふらりと出ていこうとした時にも窓から声をかけたものだ
「また出掛けちまうのかい、桜はこんなきれいだしそろそろ満月も近いのに」
四月三日の水曜、月齢は十、ニ。隼人はその誘いに驚いたか呆れたような顔になり、「かひなくたたん、なこそおしけれ」とかなんとか小さく笑って言ったきり戻らない。
週末には満月、いつもより赤い月が昇るという
あれはどんな句だったかな、ああそうだ、こんな夜のことじゃあないのかな、よくわからないけれど、なかなかなついてくれないやつだ。そんなふうに竜馬は思った。月明かりの下、明日には散りそめそうな満開の花がかすかな赤く色付くせいだろうか
はるのよの
ゆめばかりなるたまくらに━━━
寮の下の階で柱時計が深夜を告げる
一九七四年 四月四日
今日からはじまる長いものがたりを、彼らはまだ知らない
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(東映ではリョウが学校成績的には上設定らしいので)
「あいつは細い割に重いんだ」
そう言う彼に、なるほどハヤトはクイックシルバーだからな、そりゃ重い、と膝を打つ相手
「おまけに毒さね、水銀ってんなら」
悪いね、とどこから聞いていたのか本気ではないながら、新たに彼と彼の愛機につけられた渾名を警戒している風ではあるハヤトに対し、
「いやでも、浅間山と同じ噴火で有名なポンペイは塗装の派手な発色のために別の金属で中毒の歴史を作ったそうだぞ、ポンペイアン·レッドとかいったらしい」
赤も白も銀もそのへんはおんなじさ、ああいいさいいさわかった、などと続きつつ遠ざかる会話に、ジャックは、テキサスマックのパイロットは、まあひどくいちゃついた、自覚の乏しい茶番を見せられたと思った。
*
別次元、別の彼
「ワッリイ、社会科にはウトくって。」
●(入院編ワンシーン)
「隼人の足は、いろいろあるけど、今、足の裏の筋肉が無愛想かな」
「無愛想」
「そう、顔の方のいつもの仏頂面がかわいいくらいに」
わざと愛想ないこっちとちがって、どんな顔もできないで困りつつも頑張っているんだと思うといたいけかなあ、などと言いつつその長い足を逞しい太股の上に抱えあげていつものマッサージに入ろうとする彼に、道理で最近そっちにやたら優しくしやがると思ってたんだ、だの、浮気者、だのいう理不尽なじゃれかたがあった。
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