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akinoshiroihana
2025-04-14 21:27:48
16099文字
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名刺置き場5
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●
消防士がやるように、肩で担ぎ上げようとして「違う」と誰かに制されたと思った
でかい礫が頭に当たったんだ、それに身も世もなく怯えちまってる、おぶってやれよ、かわいそうだからさ
いましがたまで電気で焼かれて爪や髪から焦げた匂いを放つ「それ」は突っ伏したきりで、どんな顔になっているかなんてわからないのに
だが、
「これ」が打ちひしがれた時を見たことがあるとも思った
何の非もないまま次々潰され吹き飛ばされる命を見ながら、一番近くにいてまだ消えないそれを支え背負って這いずるように瓦礫の間を。
「これ」の悲鳴と弱音が俺の分まで肩代わりしているようで、怖ろしいのに俺の舌はよく回ったし口角が吊り上がってしまうのが変な感じだった。ような。
長い前髪をかき上げて覗き込んでみれば今「これ」は怯えていない、一番近くにいてまだ消えていないだけで。泣き声を上げるでもなくとても静かに細い息をしている。途端、世界が轟音に包まれた。外の世界の音と俺の恐怖がもどって来ておもわずわっと声を上げる、爆発に近い勢いで砕けた建材の血肉みたいな匂い激しい振動により生じる光
「あの時みたいじゃねえか、リョウさんよ」
背中にある重み体温、声と吐息、音と匂い、俺が確かに知っている知らないもの
「リョウ」
それに応える名前は、ことばは何だ
●
あの日々において鎮痛の意味があったものは
今、麻薬にも似て懐かしくもいまいましい
次までの時間を指折り数えためいきをついたり
やっとありつけても胃をてひどくやられるまでの辛辣さがあったり
感覚を殺せたはずが口は痺れかわき何を言えばいいかまどろっこしくなり
ふと気が付けば傍らのあいつも急に来たという「眠気」にやられたと、ずるずると俺の肩口から滑り落ちかけながら必死に目を見開いていた
いっそ効かなければいいってえのに
忌々しい事に鎮痛の仕事だけはよくしてくれた錠剤にアンプルに、あいつ
あの、たまに纏っていた糖衣の甘さがふと懐かしくなって、なにやってるんだろうと思うんだ
隼人。
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