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akinoshiroihana
2025-04-14 21:27:48
16099文字
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名刺置き場5
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どうだい、具合は
「すごいな、すっかり人気者じゃないか」
「ああ、女からの見舞いの品が姉さーーー家族からだって確認したがる子や、回復期初期だからって介助だって立ち上がりに3人くらいで抱き付きに来てくれる子にはね」
「おっと」
白衣の天使たちは早くも彼の強い警戒心に触れてしまったらしい。箔紙とセロファンに包まれたどこぞの高級菓子をとりどりにはべらせて寝台にいる隼人は、さしずめ黄金と宝石を抱いて洞窟から出てこなくなったドラゴンか、などと竜馬はちらりと思った
「俺が窓の外を眺めたくなるのは晴れの日と雨の日どっちか、こっそり聴く深夜放送は何曜日で誰が司会か、そういうことは興味ないんだよあのお姉さんたちは。きゃっきゃ言うだけでとんだ見世物さ、ただの」
いまだに俺の足のサイズひとつだって知らないんだろうなあとすこし拗ねたように呟く彼に、歩行訓練用に見繕ってきたまっ白い運動靴をこれから取り出してみせるのは、それがシンデレラ·フィットなんていう言葉がふさわしい程に足先を包んでしまい、病窓の友人の心をどれほど盛大に揺らすことになるか、竜馬はまだ、知らない。
●
朝食の席で
あまりにつやつやとまるいので櫛切りにした柑橘類かと手を伸ばしたハヤトが感触で間違いに気付き、ぺろりとゆびのはらをなめた
「こんな実がしっかりした桃缶もあるんだ」
何処から来たんだい国内か外国か、ハヤトの見たことの無い好きな仕草だったとリョウマはただただそう考えた
まだ世界は広く
恋をその名で知らない短い日々
*
いやだね朝っぱらからとんだ野蛮だ。テーブルに爬虫人類が居合わせたなら、さぞかし猿めと笑われちまっただろうよ。
そんなことをいった彼は最後の日々に、白い蜥蜴の王子を守り、育て、愛されそして殺された。
●
春
この頃合
うかれた桃色の花の木がどれも散ったあとでこいつらがくるんだ。いや、ほんとは真冬から咲いてたが。白くて細いのがひょろりかすらりか、霜の朝も知ったこっちゃないって顔して、鼻を近付ければなんともいえない、ああ花だなっていう香りが冬の冷気を纏って甘いのかそっけねえのかわからないまま鼻の奥、そこから繋がる目の奥、脳味噌の奥まですいと洗うように匂った
そんな後、春うらら、実はこいつらがぼちぼちおしまいになる季節、白と黄色が庭先を染め揺れる
この花に赤はない
そこに俺の色はない
陽光 春風 土の匂い
水仙の花 烏竜館
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