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#LH1dr1wr
第141回ラーヒュンワンドロワンライ
お題 「甘~~~~い!!」

(古代文字に見る「カカオ」)
「ん
―――ああ、ありがとう。地上生活が長いラーハルトに聞いたんだ、嘗て『征服王』コルテスが遠征先から持ち帰ったという、本来は儀式の供物、婚儀の祝杯、戦士の飲み物だったと。ならば来月のこの包みのお返しには
―――そうだな赤まむしかユンケルでいいだろうk」
#ラーハノレトに敗北するモブ女バレンタイン
半魔は嘘などつかなかった、ほんの少々のトリビアを寝入りばなの友に延々語って聞かせ、レクチャーしただけだ、明日小娘たちが近年の商人たちにそそのかされて、弾幕のように撒くかもしれない物体についてと大まかな対応ルールについて。曰く中味には肉体の一部がひそんでいるかもしれない、三倍の対価を求める者もいるかもしれない、返礼がクッキーなら「好き」マシュマロなら「嫌い」キャンディなら「お友達でいましょう・お友達になりましょう」、サブレなら嫌いヌガーなら大好きドラジェならプリンに金平糖ターキッシュデライト
原料の豆100粒あれば見目良い奴隷が買えたかな、などと夢うつつのなか髪をくしけずられた青年は、苦し気に息を吐きシーツを掴み、父さん、などと呻きもする。興が乗って途中まで人の悪い笑みと共にその寝姿を愛でていた半魔も最後の所でへの字口になり固まった。
メロスならぬヒュンケルには色恋での好意はいまだよくわからぬ、他ならぬ自分がただひとつあれをと押し退け欲しがる情はわからぬ、もしくはかつてそうした情を暗い殺意として抱いてしまったがゆえに今もしずかにおそれる。
だから贈られるなら儀式のための貴重品や結婚式の引き出物
―――カツオブシ昆布とかバウムクーヘン的なものの方が楽だったし、なんなら今となってはそれに相応しい身であると自ら認めることはしなかったが、「戦士」としての自分への贈り物ならどんなにかと思う。だがしかし、青年が振り返り悔いるというよりさみしく思うのは、最も慕わしい、尊崇する戦士の傍に在った頃の自分は戦い方をひとかけらも知らない頑是ない子供だったこと、そのひとからは「戦士」を学べなかったこと戦えなかったこと守れなかったこと、それがために自分への世界への怒りに容易く長く囚われた事
喪失の後に、涙でいっぱいの他の何をも拒んだ透明な種子から始まりそだち光の下に帰って来た彼は、だからせめて強くありたいと、相手に返せるものも「強くなれるもの」にたどり着いてしまうのが現状で、だから
「待て、せめてこいつにしておけ、小娘子供相手にそれはあまりにむごい」
涼やかにも優しい声で珍妙な返礼を提案してくる青年と、固まってしまった少女との間に、何処からか音もなく現れた半魔が割って入り、茶色い小瓶を取り出した
「『リポ〇タン』か、あれは薬屋の柑橘ジュースなどと一緒に並んでる代物じゃないか、買ったことはないが」
「ユン〇ルよりは優しい、ただし、甘~~~~いぞ、効くかも知らん」
「ふん、
………甘~~~~い!な」
「言っただろう」
「いや?」
恋敵たちに対する貴公がだよ、我が友ラーハルト
君もそう思わないか?そう優しく聞かれた少女はあら、ええ、ええええと慌てる。これはとんだ茶番
この青年、色恋には疎いが優しさには聡い
冬の晴れた空、春は遠くないと告げる昼の風、菓子の匂い
そんな二月某日。
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