6話✧自械




──帰路の途中。

ふと、先程の言葉が頭をよぎった。

『ラートさんって、面倒見良いですよね。なんだかお兄さんみたい』

……

その瞬間、思い浮かんだのは──名付け親であり、隣人であったあの械の顔。

パキッ──

耳の奥で、あの日の嫌な音が鳴った気がした。

足が止まり、ラートはそっとポケットに手を入れる。指先が触れたのは、今もなお残るあの日の破片。

なぜ、彼はあの時、自分とフィリップを庇ったのか。
なぜ、命を賭してまで守ろうとしたのか。

ラートは、ずっと考えていた。

けれど、彼と自分とで、あまりにも考え方も性格も異なっていた。
分かり合えるはずがない。
そう思ったこともある。

だが──

……俺が、あいつに見えたのか)

その答えが、もしそうであるなら。
ならば、いつかは分かり合える日が来るのかもしれない。

少なくとも──神と太陽の話を理解した、あの少年の言葉ならば。
信じてみる価値はあるだろう。

木々の隙間からこぼれる朝日が、黒の聖堂服をやわらかく照らしていた。
光を吸い込んだ布地が、穏やかな温もりを伝えてくる。

その光を見上げて、ラートは目を細めた。

……今日も、いい陽だ。」

小さく呟くと、彼は振り返り静かに歩き出す。

その背に、太陽の光がやさしく降り注いでいた。

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*6話 「自壊」✧ 終*