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平和を壊す械たち
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4話✧恢械
✧スチル協力
米2ろう様
✧
ふかひれ。様
✧
つきしろ様
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彼の指差す方向に進んでいけば目的地の寧寿宮にたどり着く。ここまでの道のりにも多くの兵士が待っていたことからも、ここに皇太子がいるのは間違いないだろうと推測した。樊凌は足を速め、急いで扉に近づく。隣にいたルフレがその扉を一瞬で両断すると、目の前に広がった光景に樊凌の瞳が輝いた。
部屋の中央には、皇太子を囲んだ兵士たちが立っていた。その周囲にはすでに緊張感が漂っていたが、想定よりも早い侵入者の登場に兵士達の反応が送れる。
その一瞬の間に次々と兵士達は倒れていった。
数分も経てば兵士は全て斬り殺され、皇太子のみが残される。
久しぶりに見た皇太子の顔。今までは彼の顔を思い出しても何の感情も湧かなかった。ただ一人の人間として、好感を持っていたわけでも、嫌悪を抱いていたわけでもない。しかし、今は違う。
目の前にいる皇太子の顔を見るたびに、心の中にわだかまった嫌悪が込み上げてくる。その顔が、憎たらしく思えてならない。
樊凌はひとまずその感情抑え、後ろを向いた。皇太子を見つけたのなら次にするのはもう1人の保護。
「
…
ボクは牢獄の方に行くから、何人かはここに残っといて」
樊凌の指示を受け、グラディエーター、ラート、フィリップ、ルフレは皇太子の監視に回ることに。カラベラフィルムとシアノは樊凌と共に宦官を探すため、再び動き出した。
樊凌は、先程捕らえた兵士を再び捕まえ、道案内をさせながら監獄へと向かう。
重く湿った空気の中、錦衣衛獄の巨大な石壁がそびえ立っていた。
十数メートルの高さを誇る壁の上には、無数の刃が突き立ち、見張りの兵たちが冷ややかな目を光らせている。
「
…
やっぱり簡単には入れへんな
…
」
樊凌は呟きながら、壁沿いを歩いた。
錦衣衛獄は大明最恐の監獄だ。
普通の牢獄とは違い、ここは消される者が送られる場所。
捕まれば、裁判もなく拷問され、跡形もなく処刑される。
秘密が表に漏れないよう、ここにいた囚人は全員「死んだもの」として扱われる。
ゆえに、侵入は不可能に近い。
「どうする?」
カラベラフィルムが低く言った。
樊凌は目を細め、ある場所に向かって歩き出す。
死体を運び出す通路。そこなら、警備が手薄なはずだ。
東側の裏門。
そこは、処刑された囚人の遺体が運び出される場所だった。
想定通り、比較的警備は手薄だ。
カラベラフィルムが水を操り、彼らを同時に暗殺する。
何が起きたのか理解する間もなく兵士はみなその場に倒れた。彼らが起き上がらないことを確認した3人はそっと門の隙間に身を滑り込ませ、闇の中へと忍び込んだ。
中に足を踏み入れた瞬間、むせ返るような血と鉄の臭いが襲いかかる。
錦衣衛獄の内部は、まるで地獄だった。
あちこちに錆びついた鎖が垂れ下がっており、足元の石畳には乾いた血の跡がこびりついている。
「
……
」
耳を澄ませば、奥からかすかに呻き声が聞こえた。
この獄には、囚人の階級ごとに異なる牢が設けられている。
罪が軽い者ほど入り口に近く、重罪人は奥の地下牢に幽閉される。
さらに、極秘の囚人、皇帝や朝廷にとって都合の悪い者は、拷問部屋のさらに奥、闇の中に幽閉されるという。
樊凌は慎重に進んだ。
錦衣衛獄は単なる牢獄ではない。
ここは監視、拷問、処刑が一体化した施設であり、構造は迷宮のように入り組んでいる。
無暗に進めば、帰り道すら分からなくなるだろう。
「
…
目当ての宦官がどこにおるか
…
探さんとな。」
樊凌は牢屋の鉄格子に近づき、一人ずつ囚人の顔を確認して行った。
どの囚人も痩せ細り、目には生気がない。
「
…
おらん
……
こっちもちゃう
……
」
次々と牢を確認するが、目当ての宦官の姿はない。
樊凌は奥へ奥へと進んだ。
やがて、地下へと続く階段を見つける。
もしこの先にもおらんかったら
…
そんな心配を飲み込み樊凌は振り返った。
「カラちゃん、シノちゃん、地下も調べるで」
三人は慎重に階段を降りた。
地下はさらに暗く、空気が重い。
廊下には、壁に埋め込まれた燭台が並んでいるが、その灯りは弱々しく、陰影を深く落としている。
ここは上階よりもさらに厳重で、鍵のかかった鉄扉が並んでいた。
牢の中には、磔にされた囚人がうめいている。
手足の爪を剥がれた者、皮膚を焼かれた者、骨を砕かれた者。
訊問房。
ここは拷問による自白を強いる部屋だった。
樊凌は鉄格子越しに、囚人の顔を確認していく。
だが、どこにも目当ての宦官はいないのだ。
「おかしい
……
」
焦りが募る。
この監獄に収監されているはずなのに、どこにも姿がない。
樊凌は牢を見渡し、まだ会話ができそうな囚人に声をかけた。
『ここにおる、宦官の死刑囚はどこに行ったん?』
囚人は虚ろな目で樊凌を見つめ、しばらく沈黙した後ケラケラと笑った。
『宦官?んな囚人いねぇよ。俺は長らくここにいるが噂で聞いたこともねぇな。残念だったな、ここまで来て何も無いなんて。』
その言葉に、樊凌の背筋が寒くなった。
樊凌はその時、ようやく悟った。
皇太子が接触する恐れがあるこの監獄に彼が収監されているわけがない。
あの女達は樊凌に嘘を言っていたのだ。
では、どこに?
その時、ある名が脳裏をよぎった。
「順天府獄」
あそこは、一般の囚人が収監される場所だ。
しかし、皇太子が接触することは難しく、処刑が行われる菜市口にも近い。
樊凌は歯を食いしばった。
太陽はすでに真上にあり、処刑の刻限は迫っている。
その時、カラベラフィルムが樊凌の肩を叩く。
「リンリン殿、彼は任せて貴殿は皇太子の元に戻ってくれ。」
樊凌は戸惑いながらも、大きく頷いた。
そして錦衣衛獄を後にした3人。樊凌は寧寿宮へと戻り、カラベラフィルムとシアノは公開処刑の場へと急いだ。
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