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木蔦(キヅタ)
2020-10-11 17:44:53
21169文字
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花吐き病⑦治る見込みがない長義と本丸の立ち退きを求めるまんばの話【ちょぎくに】
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ちょぎくに
「珍しく偽物くんが入れ込んでる」
「アレだろ?新人の
…
」
「朝から晩まで付きっきりって聞いたよ」
「あの熱の入れようはアイツ以来だよね。アイツが出張中でホント良かった
……
。じゃなきゃその新人くん今頃
……
」
「先輩方、俺のこと呼びました?」
「うわっ!帰ってたの!?」
「ついさっき。それよりそのお話、詳しく聞かせてもらえない?俺の国広がなんだって?」
「アーイヤ、ソノ
…
」
「ちょっと新人シメてくる」
「わー!待て待て!早まるな!俺の個体には珍しい『できない』くんだから!」
「『できない』くん?」
「そ。何でも器用にこなす山姥切長義に珍しく、覚えが悪い、作業が遅い、ミスが多い、の"仕事ができない"くん。他部署で上手く行かなかったからうちに回って来たんだって。」
「うわぁ
…
ちょっと同情する」
「でもほらうちも
……
仕事できるできないに関わらず、その
……
」
「すぐ辞めるやつが多いよね」
「誰のせいだよ」
「国広の魅力が罪深いよね
…
」
「アッこれ本気で思ってるやつ
……
」
「出来の悪さは同情するけど、国広に甘えるのは話が別だよ。どうせ一緒にいたいから、手取り足取り教えてもらおうとわからないフリをしてるに違いない」
「お前にかかれば全て偽物くんをつけ狙う悪者になるな」
「先輩方はさすがに信用してますよ、奥さんにGPSで監視してもらってますので」
「ハァ!?お前か!うちのに悪知恵与えたのは!!この前サプライズでケーキ買って帰ったら全部バレてたじゃないか!!」
「っていうかGPS監視付きじゃないと信用してもらえないの俺達??」
「こうしちゃいられない!この時にも国広に毒牙が迫ってるかも!行かなきゃ!」
新人長義は何をしても駄目、馬鹿にされて部署を転々として来た。山姥切長義としてとても屈辱。後ろ指差されるのもつらくて仕方ない。
しかも今回の上司は写しである山姥切国広。写しに従うのは心外。
しかもこのまんばはスパルタだった。アレやれコレやれそれはするなこれはだめだ、一から十まで口を出す。とても息苦しい、目障り、これで本歌を屈服させたつもりかと新人長義は思う。
「ここはこの前も言ったぞ。手作業はミスが入りやすいから避けろ。この機能を使って
……
」
何かと馬鹿にして、自分の優位さをアピールしてくる。ここ数日間ずっとマンツーマンでやってきたが、これほど口うるさい上司は初めてだ。
「ちょっと席を外すが、この仕事をやっておけよ」
まんばはいなくなる。
くそくそくそ、目に物見せてやる、と仕事をこなす。あれだけ馬鹿にされたら黙っていられない。仕事ができないと思われているようだが、ぎゃふんと言わせてやる、と長義は思う。
しばらくしてまんばが帰ってくる。
「終わったか?」
「ああ」
まんばの前に書類を出す。完璧な内容だろうと得意顔。
「ここ、ミスしてるぞ」
「ハァ!?」
見ると本当に違ってる。悔しい。また馬鹿にされた。重箱の隅をつつくように指摘してくる。
「うん、うんうん」
まんばは何やらひとりで頷いてる。
「なかなか筋がいいじゃないか。ミスもここひとつだ。今まで指摘したことはちゃんと守れてる。レイアウトも見やすいように綺麗、データも過不足ない。」
まんばが書類をパラパラとめくってそう言う。
「初めての仕事でここまでできたら及第点じゃないか?」
新人長義はびっくりする。
そんなこと言われたのは初めてだった。
じわじわと胸に何かが広がっていく。
「ふ、ふん!今更煽てても遅いよ!」
「遅くても早くても、お前はもううちの部署の刀なんだから、馬車馬のように働いてもらうぞ。うちは人手が足りなくて忙しいからな」
じゃあ、次はこれを頼む、と新たな案件を渡される。
「頼りにしてるぞ」
まんばはそう言っていなくなる。
新人長義の中でまんばの先程の言葉がリフレインしてる。あの写しには自分が必要らしい。なんだかこそばゆい。
「国広!!」
バンッと音を立てて部屋に同位体が入ってきた。
「あれ?国広は??」
「室長なら出て行ったよ」
「すれ違ったか!」
名前で呼び捨て。一体なんなのか。
「室長に何の用?どなた様??」
「君が新人くんかな」
「そうだけど」
そう言うとにっこりとドヤ顔で同位体が言う。
「いや用という用はないけどね!妻の国広が世話になったね!新人くん」
その一言で全て悟った。こいつは敵だと。
そして同時にまんばに惚れてしまったと気づく。あのたった一言で長義の心を奪ってしまった。
「どうもこちらこそ!どうやら気に入られたようで室長がなかなか俺を離してくれなくてね!なかなか困ったものだよ!」
宣戦布告だった。
「あー室長、そっちに旦那行かなかった?」
「長義か?見てないぞ。ああ、そういえば今回の新人、本格的にうちで受け入れることにするから、お前の下につかせるな。面倒見てやれよ」
「んー構わないけど、すぐ辞めるんじゃないかな」
「そこをなんとかしてくれ」
「室長の匙加減だと思うよ」
「??」
なんやかんやあった。(中略)
ヾ(・ω・ )ノナンヤ カンヤヽ( ・ω・)ノ゙
ケホケホと新人長義が花を吐き出す。
「花吐き病にかかったみたいだ」
新人長義の片恋相手は部署全員が知っている。当の本人以外。
「大丈夫か?」
まんばが新人長義に近づく。ぴきっと何かの音が響いた。部署全員、そちらに顔を向けるのは控えた。
「俺は室長が好きだ、だから俺のこと好きになってほしい」
じっと新人長義がまんばを見つめる。まんばはきょとんとしてる。
部署内にどす黒い空気が滲み始める。全員ry
「花吐き病は両想いにならなければ折れてしまう。そうだよね?」
まんばの手をぎゅっと握る。顔が近い。
全員ry
「わかった、責任は取る」
「え!?」
全員がまんばの返答に驚いた。
全員が全員、長義(夫)を心配した。
「長義」
じゃあ行こうと新人長義を連れ出そうとしたまんばが、ふと振り返り、夫を呼ぶ。
「今日は遅くなるから」
パタン。
「ねぇどぉおもうぅぅう!?今の浮気!?浮気宣言!?」
「し、知らないよ!」
わーわー騒ぐ。
「でもできないくんが花吐き病だったなんてな
……
」
「元気出しなよ、治ったら戻ってくるってきっと」
「ううう
……
」
「でも偽物くん、手の掛かるやつは放って置けないタイプだし、意外と押しに弱いしな。ほらお前っていう前例もあるから。」
「俺は仕事できなくないよ!?」
「いやお前メンタルよわよわじゃん
…
。室長いないと生きていけないタイプだし。そういうの放って置けないんだろうな性格上」
「ううう
…
」
「このままなし崩しに体を重ね
…
」
「っひ」
「おい、さすがにそれは脅し過ぎだぞ」
「ごめんごめん」
「国広〜〜!」
ダッシュで出て行ってしまう。
「ほら、また修羅場になったらどうするんだ」
「いや悪かったって思ってるって」
「あいつなら刃傷沙汰になりかねなくないかな??」
「
………
」
サァァとその場にいた全員が青ざめる。ありそう。
「国広!!」
霊力を辿っていくと、なぜか職場のパソコンの前にふたりがいた。
「これは?」
「不可」
「こいつなんかいいぞ」
「不可」
「これはどうだ」
「ふーかー!」
ふたりで何かを見ている。
「な、何してるの
…
?」
「何って、こいつの相手探しだ」
「???」
「政府に登録されてる刀剣のデータベースで、こいつの相手を探そうってわけだ。立派な職権乱用で、プライバシー侵害だが、刀ひとりの命がかかってるから神様も許してくれるだろ」
※良い子は真似しないでね!
「俺は!室長が良いって言ってるんだよ!」
「俺は既婚だからダメだ。相手が決まるまで帰さないぞ。なんせお前の命がかかってるんだ」
「あーも〜〜!!」
長義は天にも登る気持ちになった。まんばが自分に操立てしてくれてる。しかもきっぱりと断ってくれた。
しかも神様とか言ってて可愛い。
これから新人長義のお見合いの日々が続くのだった。
ちなみに花吐き病はまんばの気を引くための嘘だったので、旦那にシメられた。
ちょぎくにハピエン〜!
お付き合いありがとうございました!お疲れ様でした!
・一度盲目くんのライバルを出したかった。
・この後できないくんはまんばの下で仕事ができるようになっていくわけですが、チームリーダー任せられるというレベルになった時に本丸配属が決まってしまい、いなくなります。
・盲目くんとできないくんはまんばの役に立とうと競い合うので仕事が捗ります。
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