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木蔦(キヅタ)
2020-10-11 17:44:53
21169文字
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花吐き病⑦治る見込みがない長義と本丸の立ち退きを求めるまんばの話【ちょぎくに】
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数日ぶりにまんばが来る。恋を自覚したせいか、まんばがかわいく見える。少し前まで厳つい借金取りに見えてたのに不思議だ。
「どうした?本丸から出る気になったか?」
「えーあー
……
」
まんばはじっと乞うように見つめてくる。ドキドキしてしまう。思わず目を逸らす。
「いや
…
、その、そんなんじゃないよ
…
」
「なんだ、歯切れが悪いな。調子でも悪いのか?そういえばお前は花吐き病だったな。今日はたくさん吐いたのか?」
「へ??いや
…
」
まんばが心配そうに顔を覗き込んでくる。好きな子が自分を案じてくれてる事にじんわりと喜びが湧いてくる。
「本当に調子が悪そうだな、今日は帰る」
「ええ!?待って、ほら、元気だから!」
「無理するな、俺にはわかる」
わかってない!全然わかってない!
引き止めたくて、どうしようか考えた挙句、長義はぶっ倒れる。
「アー、ドウシヨー、チョーシガワルイ
…
」
「やっぱり!寝てなきゃだめじゃないか!」
まんばに担がれ、布団を敷かれて寝かされる。長義はきゅっとまんばの手を握る。
「今日はそばにいてくれないか?」
(なんか情けないけど、引き止められたからいいか
…
)
と思った矢先だった。
「甘ったれるな!!」
「!?」
「そんなヤワな精神だから病にやられるんだ!もっと気を強く持て!!」
はぁぁぁ??
精神論を言われる。たじたじ。
「寝ろ。睡眠はどんな薬よりも良く効く」
さらに自論を強制される。
寝たくない。寝たくないが、最近かなり体調が悪くなっていた所為か、自然と目蓋が重くなってくる。そのまま寝てしまう。
目を覚ますと夕方。かなり寝ていた。折角久々にまんばが来てくれたのに、もったいない事をした。
「起きたのか?」
「ひ!?」
びっくりしすぎて息を飲んだ。まんばはまだいた。しかもお玉持ってエプロンして、料理してた感じ
…
。
え?え?ゆめ?まだ夢見てる??と長義は動揺するが、ちゃんと現実。
「ほら、シチュー作ってやったから、それ食ったら寝ろよ」
「え、まっ
…
」
それだけ言うとさっさとエプロン脱いで、荷物持って出てってしまう。
「うわぁぁぁ
………
」
まんばの手料理
…
!エプロン姿かわいい
…
!まるで新婚みたいだ
…
!と布団に突っ伏して萌えをやり過ごす。
長義は考えた。
まんばに想いを向けてもらうにはどうしたらいいか。
明らかに脈はない。彼の望みはただ長義がここを出て行くことだけだ。
例えばまんばの好きな物をプレゼントするとかはどうだろうか。まんばの趣味の話で楽しく盛り上げるのがいいかもしれない。
うーんと考えるが、気付く。
まんばのことを何も知らない。
政府に勤めていて、昔審神者に捨てられたこと以外何も知らない。
慌ててこの前会った同位体に連絡する。
『偽物くんの好きな物~?そんなもの聞いてどうするの?交渉でもするの??』
「違うよ!口説きたくて
…
!」
『は!?口説く!?』
かくかくしかじか
…
『あの偽物くんに惚れた!?あの!?くっそ生意気な偽物くんに!?ふてぶてしくて可愛さのカケラもない偽物くんに!?』
「お、俺も最初はそう思ってたんだけどさぁ
……
今はすっごく可愛く見えて、なんだかすごくひた向きに見えて、きゅんってしてしまって
……
」
『大丈夫?病気じゃない?』
「もうかかってる。」
『そうだった。』
そういうことなら、と同位体は協力しようとしてくれる。
『でもそれは偽物くん本人に聞いた方がいいよ』
「え、なんで?」
『自分の好きな物について話した覚えがないやつが知ってたら怖いだろ』
「なるほど
…
」
それから長義は頑張った。まんばの好きなもの聞いたり、楽しく会話したり
…
。着々と病状は悪化する中、距離を縮めようとした。
「そろそろ本丸を出る気になったか?」
しかし二言目にはそれだった。
ここを出たらもうまんばと会えない。会いにきてもらえない。だから必ず拒否した。
そろそろ起き上がるのもつらくなってきた。もう先も長くないだろう。
部屋でぐったりとしているとまんばが来た。こんな姿見せたくないのに、と思っていたら、すぐにまんばは出て行ってしまう。
今の姿はかなりやつれてる。まんばの前では服で隠したりしていた。
今それをたぶん見られてしまった。幻滅されたのでは、と思った。
しばらくするとまんばが戻ってくる。
「朝から食べてないんだろ。そら、飯だ」
まんばがご飯を差し出す。作ってきてくれたらしい。
長義は感動する。まんばのご飯
…
。
「食べれないのか?食べさせてやる」
支えながら起こしてくれて、はい、あーんまでしてくれる。
感動
…
。
まんばの顔を見つめる。ああ、好きだなぁと思う。こんなに優しくて、気遣いができて、献身的なまんばに惚れない要素が見当たらない。
そう思ったら、口からぽろりと漏れていた。
「好きだ」
「え?」
「あ
……
」
まんばはびっくりした後、ふっと笑顔になる。
「そうか、俺も好きだ」
ブワァァと長義の周りに桜が舞い散る。嬉しすぎて感情が爆発してる。
腹から込み上げてくる何かがあって、マズいと思い、まんばに見せないようにして、吐いた。
それは先程食べたご飯、ではなく、白銀の百合だった。
「え
……
??」
「な、治った
…
!花吐き病が治った!」
まんばは呆然としている。
「あ、あんた
……
」
「やったよ!ありがとう!国広!!俺は完治したよ!!!」
まんばを抱きしめようと手を伸ばす。
「あんた、卵焼きに恋してたのか!?」
「はぁ?」
「だって卵焼きを食べた後で、急ににっこりして、好きだと言ったじゃないか。俺も卵焼きは好きだから、気持ちはわかるが、まさか恋するまでとは思わなかった」
「違う!違う
…
!!」
「何が違うんだ」
「俺が好きなのは、そうじゃなくて
…
!」
「あんたの好きなやつには興味ない、それよりも病気が治ったんだから働けるよな?」
「 興 味 な い
…
」
まんばはニッと笑う。悪そうな笑みだ。
「うちに来ないか。ちょうど人手不足なんだ」
ChogiKuniHappy(?)End!!Yeeeeeeeeah!!
ながーいことお付き合いありがとうございました!お疲れ様でした!
まんばの所為で予定が狂った部分があるので、分岐で書きたいと思います!
■どうでもいい設定
・長義くんはその⑦の時点で自本丸のまんばに恋なんてしてない。花吐き病に感染したのは⑥の時点。ずっと体内で病が潜伏していた。
・「本丸解体できないから、ボイコットしてる刀を説得して~」というのがまんばの仕事だった。でも途中から上司に「もうそこまで意固地なら折れるまでいてもらおう」という方針に変わったため、まんばが通う必要はなくなっていた。
・まんばが①の長義と付き合ってたのは「ふたり、昔関わりがあったんでしょ~?付き合っちゃえば~~?」とセクハラすれすれジョークを上司に飛ばされ、まんば的には非常に腹が立ったので「上司に言われたから付き合っちゃった★テヘペロ」っていうのをやってみて、鬱憤を晴らした。(具体的にどうやって鬱憤を晴らしたのかはご想像にお任せします)
・まんばは忙しい合間を縫って通ってる。暇そうに見えるけど、仕事出来るのでかなり忙しい。
・まんばは本丸の元初期刀で、かなりしっかり者、真面目、初期からいる所為で何でも卒なくこなしてしまう、云わば完璧キャラ。そして初期刀ということもあり、世話焼きの体質。だけど捨てられた一件があったため「人生どーでもいい」と結構放任主義になる。
だけど目の前に、主に捨てられ、恋刀に捨てられ、自暴自棄になった刀が現れる。まんばは性質上、ダメ男を放っておけない。
仕事方針が変わったのに長義の元へ通い続けた理由はそれ。
まんばはダメンズに弱い。
・まんばは無自覚ですが、ラストでは既に長義くんに惹かれています。ただし、自 覚 す る ま で は 長 い で す 。
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