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木蔦(キヅタ)
2020-10-11 17:44:53
21169文字
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花吐き病⑦治る見込みがない長義と本丸の立ち退きを求めるまんばの話【ちょぎくに】
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数日ぶりにまんばが来る。恋を自覚したせいか、まんばがかわいく見える。こんなにかわいいんだから、誰かに取られてしまうのでは、という考えが浮かんでくる。
審神者に恋刀を寝取られたことがフラッシュバックする。
(盗られる前に、自分の物にしないと
……
)
そんなことで頭がいっぱいになり、まんばを押し倒す。まんばを抱かなければという脅迫概念に駆られる。
無理矢理押さえ込んで、首筋を顔を埋めた、瞬間だった。
壁まで吹っ飛んだ。
「っかは
…
!」
頬と背中がじんじん痛い。まんばにふっ飛ばされたらしい。
「いきなりどうした?菌が脳にまで回ったか?」
けろっとしている。きっと自分が何されたのかわかってない。
(清らかすぎるだろ
…
!!)
襲われたことに対してもっと別の反応があるはずだが、まんばは心配そうに長義を覗き込むだけ。
(純粋さがまた愛おしい
……
!)
胸がきゅーんとする。
(中略)
「本丸を出る気になったか?」
「何度言わせるんだ、俺はここを出る気はない。そもそもここを出てどこへ行けって言うんだ。もうすぐ折れるのに」
「政府にくればいい。雇うぞ」
「え
…
!?」
そういえば本丸の仲間達の仲には政府勤務を望む者もいた。もしも政府に行けば毎日のようにまんばに会える。同じ部署ならば四六時中一緒にいられる。
「行きたい
…
!」
「そうか、そう言ってもらえると有り難い。人手が足りなかったんだ。」
長義は本丸を連れ出され、住む場所を与えられ、政府と正式に契約を交わした後、部署で紹介される。
そういえば、まんばは以前花吐き病だったと聞いた。治した相手がどこかにいるはずだ。
山姥切長義が二振りもいる。写しに惹かれる性質があるから、彼らのどちらかがまんばの相手かもしれない。
じっとふたりを観察する。
「新人くん、どうしたの?なんか睨んでない?」
「別に気にするな」
「気になるなぁ
…
困ったことがあれば言ってね」
そのうちふたりは妻帯者だとわかる。
(いや結婚する前に国広と恋愛関係にあったのかもしれない
…
)
それとなく探りを入れてみる。
「ねぇ、くにひ
…
偽物くんって、花吐き病だったんだって??片想いの相手は誰だったの?」
「へ?
…
ああ、違う違う!あれは偽物くんの勘違い!」
「勘違い?」
「偽物くん、前日にべろべろに酔っ払って、肴のツマの菊まで食べちゃって、次の日二日酔いで吐いたんだよ。それを本人が花吐き病だったと勘違いしてるだけ。」
それを聞いてホッとする。
(それにしてもなんてかわいいんだ、菊を食べちゃうなんて
…
!しかも勘違いするなんて!!)
頬を赤らめ、とろんとした目でそっと菊に手を伸ばし、まるでキスするようにそれを啄むまんばの姿を長義は想像する。妖艶。
その後、菊を吐き、花吐き病かもしれないと眉をハの字に歪め、慌てるまんばを想像する。純真。
(可愛すぎるだろ
……
!)
「あのさ、偽物くんと付き合ってた男とか、恋してるやつとか、いないのかな?」
「はぁ??偽物くんに??いないいない!少なくともこの政府内にはぜーぇぇったいいない!」
「なんで言い切れるの?」
「偽物くん、生意気で、図々しくて、一緒にいるとイラつくことばっかり言うし、かわいくないじゃん!」
長義は思う。それは恋だ、と。彼はまんばに恋している!自覚してないだけだ、やはりまんばはモテモテ
…
でもここでそのことを指摘して自覚させてやることもない。
にこやかに笑って、そうか、とだけ言う。
「偽物くんのこと、みんなそう思ってるから」
ほぼ全員ライバルだった。ひとりくらい自覚してて虎視眈々と狙っているかもしれない。
「教えてくれてありがとう。よくわかったよ」
にこやかな笑顔でお礼を言う。
やっぱり早く自分のものにしないと、という気持ちが湧いてくる。この前は力で負けてしまった。あれからどんどん病状が悪くなっているから、最早勝てる見込みはない。
しかし良いことを聞いた。まんばは酒に弱いらしい。酔ったところを襲えばあるいは。
「国広、帰りに一杯やっていかないか?」
「いいぞ」
ふたりで仕事帰り、店に向かう。まんばは酒を飲み始める。長義はこっそりノンアルを頼んだ。どんどんどんどん飲ませる。
まんばは酒が強かった。
(べろべろに酔うってどんだけ飲んだんだ??)
何杯も水のようにまんばに消えていく。
何十杯も飲んでようやくまんばの頬に赤みがさしてくる。目もとろんとしている。想像以上にかわいい。
「国広、大丈夫?」
「ん、まだ飲む」
「いいよ」
まんばが酒を呷って、くてんとなる。
大★成★功
「し、仕方ないな、国広の家がわからないから、ホテルにでも
……
」
言い訳のようにそう呟く。まんばの意見は聞かず、ホテルへ。
ベッドに寝かせて、いざ、と思った。思ったが、
「俺は眠い!寝かせろ!」
健やかな寝息が聞こえ始めた。
無理矢理脱がそうとしても振り払われる。キスしようと覆いかぶさっても、気配で察知したのか突き飛ばされる。
鉄壁すぎる。
でもこうやってまんばの処女は守られてきたんだなと思うと少し安心する。そしてまんばの隣で寝る。
翌朝、長義は起きて吐き気を催す。洗面所で存分に花を出していると、まんばがやってきた。服が乱れてて色っぽい。寝癖がついてるのはすごくかわいい。
「まさか、俺、昨夜
……
」
「え、あ、いや、」
「俺があんたを襲ってしまったのか!?」
( ° ω ° )!?
「すまない、しかも孕ませてしまうなんて
…
」
「違うよ!?むしろ俺が襲う側だよ!?」
「襲い受け?」
「違う!!俺は突っ込む側だ!!」
「とにかく傷物にしてしまったんだな
…
」
あ、これは良い流れ。なぜかまんばは関係を持ったと勘違いしている。このまま黙っていれば思い込んでくれそう。
と、思ったが、長義はそんなわけには行かなかった。嘘をついてまんばを手に入れても全然嬉しくない。手に入れたとしても体だけの関係(未遂)だ。
「違うよ、昨夜は何もなかった。ふたりで仲良く同じベッドで寝ただけ」
「そうなのか?」
「そうだよ」
まんばはうーん、と考える。恐らく昨夜の記憶を辿ってるのだろう。
「お前がここまで連れてきてくれたんだな、ありがとう」
まんばはにこっと微笑む。
まるで天使の微笑み。胸がいっぱいになる。かわいい。ちゃんと真実を告げてよかった。そうでなければまんばの
困った顔を見続けていたはずだ。
「いや喜んで」
「ん、頼もしいな」
(まんばはこの一件から長義くんを恋愛対象として少しだけ意識し始めるんだけど、結局ラストは変わらない。)
分岐にお付き合い頂きありがとうございました!お疲れ様でした!
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