木蔦(キヅタ)
2020-10-11 17:44:53
21169文字
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花吐き病⑦治る見込みがない長義と本丸の立ち退きを求めるまんばの話【ちょぎくに】




長義は万屋に来ていた。審神者の付き合い。待ってる間は暇で、そこらへんのベンチに座る。
もう片方の端には先に同位体が座っていた。

ふう、と息をつく。
何も暇潰しがないから暇だ。本でも持ってくればよかった。
ちらりと隣の同位体を窺う。そちらも暇だろうに、なんだか楽しそう。
暇だし、と思って話しかけてみる。
「ねえ、」
「え?俺?」
「そうそう。君は何しにここへ?」
「ちょっとした任務でね」
「それにしては楽しそうだけど」
「そう見える?」
「見える」
よくぞ聞いてくれました、と顔に書いてある。聞かなきゃよかったかもしれない。
「今日の任務は恋刀と一緒なんだ」
「へぇ?」
「なかなか一緒にならないから嬉しくてね。今はそこの甘味処にいるんだけど、ちょっと時間がかかるからって追い出されちゃった」
同位体が指差したのは2軒隣の店だ。イートイン・テイクアウト、果ては部屋の貸し出しもしている。
「あそこの甘味、美味しいらしい。俺の恋刀が言ってた」
「へぇ、じゃあ俺も買って帰ろうかな」
「おすすめだよ。ああでも行くのは少し後にしてほしいかな」
「なんで?」
「今俺の恋刀がいるから」
???
「なんで??」
理由が読み取れない。どういうことだ。
「俺の恋刀が今どれを買おうか悩んでるんだ」
ああ、それでレジが混み合うから、待たせることになるという配慮か、と長義は思った。が。

「商品見ながらあれでもない、これでもないと思い悩んでる姿が可愛すぎて、君が惚れたらマズイだろ!!」
「はぁ??」

突拍子もないことを言われた。

「俺の恋刀はかわいいんだ!たくさんの山姥切長義が想いを寄せてる!鈍すぎて本刃は気付いてないが、既婚者・未婚者問わず、虜にしてしまう!ようやく長い時間かけて振り向かせて恋刀になったのに、ライバルを増やしたくない!というか他刃に見せるのもいやだ!」
「は、はぁ……
同位体が熱い。やっぱり聞くんじゃなかった、と後悔する。
「お、俺も想いを寄せてる刀がいるから、惚れることはないと思うけど」
「誰!?」
「言わなきゃだめかな」
「俺の恋刀を街で見かけて一目惚れしてないか確認したい」
「心配性だな!?俺の想いびとは、本丸の偽物くん。両想いのはずなんだけど、何故か交際に応じない。どう?安心したかな」
「安心した……でも俺の恋刀に惚れちゃだめだよ。山姥切国広なんだ」
なんという偶然。本歌は写しに惹かれる傾向でもあるのか?

「俺の国広は可憐で純真無垢で素直で、しっかりしてるのにどこか抜けてて、美刃で、誰からも愛されるタイプなんだ

長義は想像する。小柄で、目がくりくりで、守ってあげたくなるような華奢な山姥切国広。
それはみんな虜になるかもしれない。

「待たせたな」

彼の待ち人がようやく来たようだ。

「全然大丈夫だよ、決まった?」
「ちょっと買いすぎてしまった」

来たのは極の山姥切国広だった。
紙袋を抱えて、仁王立ちしている。

可愛さからは程遠かった。確かに美人ではあるが、可憐で純真無垢はどこら辺が??と思った。誰もが好きになる?嘘だろ??

いや、外見じゃない中身だ。中身がいく人もの山姥切長義を射止める天使のような性格なんだきっと。

「俺も店内で待ちたかったな」
「あんたうるさいから」
「え!?俺、国広が選ぶ物に何も言わないよ!?」
「いや視線が」
「甘味に対してこだわりないよ!?」
「いや俺をじっと見つめてくるじゃないか。すごくうるさい」
「だって悩んでる国広がかわいくて

しっかりしろ同位体!!
この性格のどこに惹かれたんだ!!

どうやってこのふたりが恋仲になったのか気になる。というか恋刀にうるさいと言う山姥切国広はどうなんだ??

長義はドン引きする。

「ん?そちらは?」
「ああ、さっき会ったばかりで、世間話に付き合ってもらってたんだ」
いや惚気話だ。

目線で同位体が『惚れちゃだめだよ』というメッセージを送ってくる。絶対に惚れない。

「そうか、うちの(部下)が世話になったな」
「く、国広!うちの(夫)がなんて!」

( °ω° )ポカーン

なんだか齟齬がある気がしたが、流すことにする。
「課のみんなへの土産も買ったから帰ろう」

手繋いでいいかな、などとイチャついて帰っていった。

「長義、お待たせ!いつものお腹の薬が見つからなくて!どうしたの?なんか疲れてない?」
「いや、何でもない」
「ならいいけど」
「そうそう、主、あそこでおやつ買ってかないかな?」

先程の甘味処を指差す。お土産で買ったらまんばが喜ぶかなぁと考えた。

「いいよ、ただあんまり国広に与えすぎないようにね」
「なんで?」
「この前スイカ食べ過ぎてお腹壊したばっかりでしょ」
………ほどほどにしとくよ」

ちょぎくにハッピーエンド!お疲れ様でした!お付き合いありがとうございました!


皆様おわかりだと思いますが、花吐き病②に出ていた長義くんと審神者です。
②はまんばがCoCの動画見て、腹を植物が食い破ってくるって思い込んでた話ですね!

花吐き病シリーズでは②だけ孤立してた。
今回の話で繋げたかったわけではなく、ただ単に⑥⑦の長義くんのことを知らない同位体がいなくて、②を採用した。

彼は山姥切長義の中で有名になり過ぎたのだ……

花吐き病④が終わった時点で「こんな強い山姥切国広の相手はどんな強者なんだ!?」っていう反応が多かった。

「極んばの相手は意外にもダメンズ」っていう設定のはずだったんだけど、そのダメンズがかなりの強者に変貌を遂げてて、書いてる私も笑ってるww

ちなみに今だから言うけど、

花吐き病⑥(審神者のNTR)は長義くんをただのダメ男にするために書いた。
(あと快楽落ちするまんばが書きたかったという欲望もある。内容まとめるのに3日くらい悩んだ)

花吐き病⑤(極んばの肴のツマネタ)は、極んばにはお相手がいないと読み手に油断させるための話。