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太公望と普賢
トリミング 望普編9
twitterなどに掲載していた極短編のまとめです。望普、伏普、原作軸、現パロなどいろいろ。
「普賢真人、実は崑崙十二仙になりました!」
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【ふるい】
空を望むいつもの岩場に、いつもの背中を見つけて、太公望はそろりと近づいた。隣に並んで座ると、同期が閉じていた目をうっすら開き、ちらりとこちらを見た。
「
……
遅いよ、望ちゃん」
「
……
おぬしが早いのだ」
口を尖らせて同じように目を閉じる。遅刻したことはわかっているが、遅いといわれるほどではない。走ってきたばかりで切れる呼吸を無理やり抑え込むように深呼吸すれば、雨あがりの土の香りがした。暑すぎず寒すぎず、風はさわやか。きっと今日の瞑想も眠ってしまうだろう。
「望ちゃん、聞いた?」
瞑想のふりをしながら、普賢がぽそりと呟いた。
「とうとうあの子も山を下りるらしいよ」
え、と思わず声を上げ、目を開けかけて慌てて目を閉じる。
「ということは」
「僕たちだけだねえ」
普賢はため息まじりにいって肩をすくめる。
「あんなにいっぱいいたのに
……
」
仙人界に来たばかりの頃、同期だと紹介された道士見習いはたくさんいた。仙人骨がある者しかここには来られない、狭き門だと聞いていたけれど、案外誰にでもあるんじゃないのかと、そう思ってしまうほどには多かったのだ。
それなのに、修行がはじまって以降、一人減り、二人減り、三人脱落しと、みるみるその数は減っていった。
「こんなところでこんな修行に耐えるくらいなら、普通の人間として生きる」
ある者は憤然と言い残し、またある者はすっかり自信を失い下山していった。たしかに修行の厳しさは理解できるけれど、太公望も普賢も、ここから離れるという選択肢をまるっきり持ち合わせていなかったので、なんともいえない心持ちで見送ったのだった。
「まあ、こんなところに平然と残れるやつなど、所詮、変人ばかりであろう」
「わかる。十二仙とか特に」
「だからわしらはなるべく、変人にならぬようにしよう」
ちらりと目を合わせ、深く頷きあう。せめて残った者同士、がんばるしかない。
(こやつは)(望ちゃんは)もう十分変わった人(であるが)(だけど)
交叉した視線の中にそんな本音を隠して、二人はまた瞑想に戻った。
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