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太公望と普賢
トリミング 望普編9
twitterなどに掲載していた極短編のまとめです。望普、伏普、原作軸、現パロなどいろいろ。
「普賢真人、実は崑崙十二仙になりました!」
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【桃の蒸留酒】
部屋までの道をゆっくり歩いていた。
空を仰げば、霞に覆われた青い空が、しだいに橙に染められるのが見えた。長かった春の一日が終わるのだ。足を止め、ずり落ちそうになった同期を背負い直せば、もぞもぞと寝言が聞こえた。
「おぬし、飲みすぎだ」
ため息をひとつつき、また歩き出す。
普賢が仙人になった。彼の努力は知っていたから、まだ道士の自分をかるがる超えたことに驚きはなかったが、そのスピードは崑崙山でも異例だったらしい。
酒宴はささやかながら、名だたる仙人たちが次々に祝い酒を注ぎ、普賢はそれを律儀に飲み干して、気づけばすっかり酔いつぶれていたのだった。
「連れて帰ってやりなよ、太公望」
そう言われてしぶしぶ背負った同期は、思いのほか軽く、甘い桃の香りがした。普段、酒に飲まれることなどないので、普賢もよほどうれしかったのかもしれない。あるいは、断わりかたを知らなかったのか。
空は夜に向かって濃くなっていく。
「望ちゃん、」
掠れた声が耳元に聞こえた。
「なんだ」
「お酒、おいしかったね」
「わしはほとんど飲んでおらんぞ」
「桃の、蒸留酒でさ、」
「そうであろうな。おぬし、桃の香りがするし」
「蒸留酒っていうのはね、醸造酒を熱して気化させたあと、蒸気を冷却して再びアルコールに」
「はいはい、わかったわかった」
「水とアルコールは沸点が異なるのを利用したもので、」
「あー、わかったからもう寝ていろ」
仙人にはなったけれど、こういうところはまったく変わっていない。苦笑して、もう一度普賢を背負い直した。
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