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太公望と普賢
トリミング 望普編9
twitterなどに掲載していた極短編のまとめです。望普、伏普、原作軸、現パロなどいろいろ。
「普賢真人、実は崑崙十二仙になりました!」
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【友達に会いに】
空は青く澄んで、遠くに目をやれば連なる山々をはるか遠くまで見渡すことができた。三歩ほど後ろをついてくる子供は、肩で息をしつつもあかるい表情で、物珍しそうにきょろきょろとあたりを見まわしている。
いったん足を止め「大丈夫か」と訊ねるとにっこり笑って頷く。そうか、それならよかった。ふたたび踏み出すと、後ろの三歩ほど離れた場所を大人しくついてくるのだった。
崑崙山に来たばかりの、道士見習いということだった。
同じ日に二人、昇山するから、一人を迎えに行けというのが師からの頼みだった。なぜ自分がという内心は隠したまま、指定された場所に赴いた広成子だったが、はたしてそこにいたのは、想像よりもずっと小柄でふわふわした印象の少年だった。
「普賢です。よろしくお願いします」
折り目正しく一礼をした子供が持っていたのは数本の書簡のみ。ほかの荷物はと問うと「ありません」と答える。
「身ひとつで来てよいと元始天尊さまに言われたので」
そういうのは社交辞令というか、そういうものだろうと思うのだが、目の前のこの子供はそれを真に受けたらしい。まあいい。どこかで手配させよう。そうしてつらつらと玉虚宮へと至る道を登りはじめたのだったが、たまに振り返らないと素直についてこない普賢に、広成子は面食らうばかりだった。
「あそこにきれいな蝶が」
「あんなに大きな桃の木ははじめてです」
「この石はなんだろう」
「さっきの雲、変わった形でした」
目についたものすべてを珍しがり、そのたびに立ち止まる。ときにはしゃがみ込んだかと思えば観察しはじめるから、いっこうに進まない。「さあ、早く」と急かしても、いったん興味をもったらいくら声をかけても、腕を取って引っ張り上げようとしてもぴくりとも動こうとしない。広成子は天を仰いだ。
まいった。これは見た目よりずっと面倒な子かもしれない。
さすがにこのペースにつき合っていたら日が暮れてしまう。考えた挙句、しゃがんで普賢と目を合わせ
「友達が待っている。さあ行こう」
「
……
友達?」
ああそうだ、と広成子は頷く。
「お前ともう一人、同時期に道士になる子がいる。その子がきっとお前の到着を待っている」
友達
……
。普賢はぽつりと呟き、そしてふらりと立ち上がった。さっきまで頑として動かなかったのに。
「僕、その子に会ってみたいです」
「そうだろう。では急ごう」
「その子はどんな子なんですか」
「とても明るくて快活だ」
「勉強好きかな」
「当然好きだろう」
「どんな話ができるかな。その子も仙人になるのかな」
「もちろんそうに決まっている」
普賢は次々と質問し、広成子は調子よく応えるがもちろんもう一人には会ったことはない。だから当然、もう一人が明るくて快活で勉強好きかなんて知らないから、その場しのぎに過ぎないのだけれど、広成子はとにかく早く普賢を師のもとへ連れて行かなければならない、そのことで頭がいっぱいだった。
「あの、仙人さま、」
普賢がひときわ弾んだ声で呼びかけた。
「広成子」
「広成子さま、あの」
「なんだ」
「友達って、どんな感じですか」
広成子はきょとんと普賢を見た。普賢もにこにこと見上げる。澄んだ瞳が今日の空みたいだった。
「普賢」
「はい」
「友達がいたことは?」
「ありません」
即答する普賢に、思わず「そうだろうな」と言いかけたひと言を飲み込む。この、そうとうにマイペースなタイプと友達になるには、そうとう我慢強くなければ難しそうだ。願わくば、もう一人の道士見習いには、根気強くこの子と付き合ってやってほしいが。
「きっといい友達になれるだろう」
瞬間、普賢はぱっと目を輝かせる。
「楽しみだな、友達」
スキップでもしそうな足取りだ。広成子はよかったと胸をなでおろし、師の待つ広間へ先を急いだ。
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