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太公望と普賢
トリミング 望普編9
twitterなどに掲載していた極短編のまとめです。望普、伏普、原作軸、現パロなどいろいろ。
「普賢真人、実は崑崙十二仙になりました!」
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【尻尾の動かし方】望普ワンドロ・ワンライ/ハグ
精神から成る魂と、肉体から成る魄、この二つが合わさることで魂魄となる。仙人界でそう教わった、のだけれど。
「どういうことだ、これは?」
なにやら難しい顔で、伏羲は腕組みをした。その隣で普賢が「どういうことだろうねえ」としみじみ呟く。伏羲ほど困惑していないのは、自分自身に起こっている現象として、よくわからないなりに受け止めるしかないからだろうか。
今、伏羲と話をしているのは「魂」の普賢で、目の前で椅子に腰かけた状態で眠りこけているような普賢が「魄」。要するにどういうわけか魂魄が分離して、二人の普賢になっているのだった。こっそり様子を見に行った神界で「普賢を見ている普賢」という、マジックショーみたいな場面を目撃し、内緒で帰るつもりが驚いて声を上げてしまってうっかり見つかった。
「望ちゃんならなんとかできる?」
せっかく来たのだからなんとかしてほしいと普賢は首を傾げた。聞けば、こういうことはたまに起こるらしく、朝起きたと思ったら「魂」だけで、飲み物を取りにいって戻ってきたらまだ自分はそこに寝ていてギョッとするという。それはそうだろう。
「すぐに戻れるときもあるし、なかなか戻れなくて困ることもあるんだ」と、なかなかに苦労しているようだった。
伏羲はうーんと唸りながら、眠る普賢を見つめる。
「もう片方の自分」が来るのを待っているみたいだ。
「ね、望ちゃん」ふと思いついた、というように普賢(魂)が言った。
「ちょっと抱きしめてみてくれない?」
「はっ?」
なにを言っているのかと瞬きをすれば普賢は「実感がないんだよね」と真剣な面持ちで自分を指さす。
「魂魄体をどうすれば動かせるのか、まだよくわからないのかもしれない。子猫が最初から尻尾の動かし方をわかっているわけじゃないのと同じじゃないかな」
「それと、だ、抱きしめるのと、どういう関係が」
「自分自身をそこにあると認識するには、他者に触れてもらうのが一番いいと思うから」
なるほどと思わなくもない。ほかに有効な解決策も思いつかないなら、とりあえず何かやってみるのも悪くない。
歩み寄って膝をつく。規則正しい寝息が聞こえるほどまで近寄って、そっとその背中に腕をまわした。こうしてこの体を抱きしめたのはいつ以来だろう。修行中、一緒に下界に降りたときとか、寒い冬に身を寄せ合ったときとか
――
あのときは、人の体はこんなにあたたかいのかと思ったものだった。髪のやわらかさとか、意外と骨ばった肩とか、そういうものが、あの頃はこんなに近くにあったのだ。
「望ちゃん」
ずいぶん経ってから呼ばれてはっと顔を上げた。さっきまで眠っていた普賢(魄)がうっすら目を開けていた。
「戻れたみたい」
「時間がかかったのう」
やれやれと言いながら腕をほどくと、普賢は起き抜けのとろんとした口調で「ごめん、本当はちょっと前に戻れてた」と照れくさそうに笑った。
「もうすこしこうしているのもいいかなって」
なんだそれなら、もっと黙っておればよかったのに。それは言わないまま、くしゃりと髪を撫でた。
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