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RONPA HABIT
本編まとめ【
https://x.com/HabitRonpa】
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❑4.5章
―――
コロコロと一片の土塊が転がっていく。
はじめはきっと、そんな些細なことだった。
それが災いを引き起こすだなんて、誰が想像できただろうか。
温かみの感じられないその手をぎゅっと握り締めて。
密かに笑って、自身を誤魔化すしか出来なかった。
――――
朝起きて、部屋の中を見回してもわたし以外の気配を感じられなくなってから、数日が経過しました。
一度に4人もいなくなってしまって、残るはわたしたちだけ。最初にここへ来た時よりも随分寂しくなってしまいました。
まだ眠気の残る頭を振って、身支度を済ませます。
その間考えることは、ちぃちゃんの言った「もうすぐ終わる」という言葉の真意でした。
何故彼女はあんなことを言ったのでしょうか。
終わる、とは本当にコロシアイのことなのでしょうか。
いくつも疑問は浮かびましたが、結局のところ良い答えは出ませんでした。
自らに都合良いように考えるしか出来なくて、なんだか怖くなって。それを振り払うように私は食堂へと向かいました。
食事を済ませぼんやりとしていると、「隣、いいですか?」と声をかけられました。
パッと弾かれたように顔を上げると、そこにいたのは翔ちゃんでした。
空尾「何かお悩み事ですか?良ければお話聞かせてください!」
『えっと、大したことじゃあないんですけど
……
』
そうして、ちぃちゃんの言葉の意味を図りかねていて悩んでいることを伝えると、翔ちゃんは考え込むような素振りをしました。
空尾「うーん、ポジティブに考えてみてもいいんじゃないですか?コロシアイは終わる、もうすぐ帰れるって!嫌なことがもうすぐ終わるって思うと元気が出ませんか?」
確かに、彼女の言う通りです。嫌な方へと考えたところで得られるものは警戒心だけ。
それならば良い方向へと考えた方がマシに思えてきました。
氷雅「ねえねえ、何の話してたの~?」
笑顔でひょっこりと現れた氷雅くんと、丁度食堂にやってきた寧ちゃん。コップを手にしている月城くんもこちらへとやってきました。
そういえばちぃちゃんの言葉を皆に話してなかったな、と思い当たったわたしは、せっかくの機会だと思いお話しました。
寧「終わるとして、道は未だに塞がってしまっているよね。ヘリコプターでも来るのかな」
『ちぃちゃんが手配したもの、なんでしょうか?それとも、他の人に気づかれて、とか』
氷雅「ヘリコプターとか、乗ったことないかも!中々乗る機会ないもんねえ」
そのまま少々話は脱線してしまいましたが、一人で悩んでいた時よりは幾分か心が晴れやかです。
どうも考え過ぎてしまっていたのかもしれません。
空尾「そういえば、先ほどお菓子を見つけたんです!豆花さんが作ってくださったものでしょうか」
月城「クッキーだね。彼女が作ったもので間違いないと思うよ」
寧「ずっと
……
病気になっても、作っていたよね」
明るい雰囲気から一転、暗くなりかけたところで翔ちゃんがそれをひょいと口に入れました。
その美味しさは格別だったようで、彼女は顔を綻ばせました。
わたしも少し貰って、おやつの時間にでも食べることにしました。
その後も取り留めのない会話をして、自然に解散する流れになったんです。
その頃には、浮かんでいた疑問ははすっかりどこかへ消え去ってしまっていました。
🐰✊
月城「ねえ、少しいいかな」
月城くんに声を掛けられたのは、日が傾きかけていたくらいの時間でした。
気分転換にお散歩でもしようかと歩いていたところ、呼び止められたんです。
そこにはわたし以外の全員がいたみたいで、話を聞くと彼らもばったり出くわしたのだと教えてくれました。
「やれることが少ないから、みんな同じような行動を取っちゃうんだろうね」とは月城くんの言葉です。
『それで、今は何についてお話してたんですか?』
寧「
……
このコロシアイの、黒幕について」
空尾「やっぱり、どうしても宇佐見さんに聞いたちぃさんの言葉が引っかかってしまって」
氷雅「そうそう、あの子が黒幕だと思ってたけど、ちょっと違いそうだよネ~って話してたの」
そこで出た結論が、「みんなの中に黒幕がいる可能性」なのだそうでした。
その直後にわたしがやってきたみたいで、宇佐見さんはどう思う?と問いかけられて。
このコロシアイの主導者、黒幕が紛れている可能性。
考えられない話ではありません。もしかしたら、亡くなっている人の中にいるかもしれないですし。
目の前にいる、4人の中にいるかもしれません。
月城「黒幕がいるとしたら、この中の誰かなんじゃないかな」
寧「
……
なんでそう思うの?」
月城「ここにいない人たちは、間違いなく亡くなっていたから、かな」
見てきた限り死んだふりをしている人はいなかった、顔も体型も本人に近かった。
もちろん、何か巧妙に細工をされていたら話は別だけど、と月城くんは続けました。
月城「こんなこと言っているけど、俺が黒幕の可能性もあるからね」
存分に疑ってくれてもいい、と言外に伝えるその表情はとても穏やかなものでした。
氷雅「まあ、黒幕が一人しかいないって決まったワケでもないし、分かんないことだらけだもんね~」
ギスギスするより仲よくしようよ、と氷雅くんは笑いました。
一度生まれた疑念は、早々拭い去ることは出来ませんでした。
―
急激に己の体温が下がっていくのを感じて、笑ってしまいたくなった。
腹の中がかき混ぜられるような感覚で、それは到底叶いそうになかったのだけれど。
冷たくなっても人間は人間なのだ。
そこに魂が宿っていなくても、入れ物だけとなってしまっても。等しく愛おしい人間なのだから。
彼らにとっても、そうであってほしいと思う。
神様であると信じて、近づきたくて己を研鑽した。憧れて、失望して、仲良くなった彼らにとっても。
……
キミは輪廻転生を信じるだろうか。
精々”自称体験者”の話くらいしか根拠がないのに、何故それは信じられてきたのだと思う?
きっと、キミには分からない。超高校級という輝きをもったキミたちには何もわからない。
輪廻転生とは、常に何かを見上げ続けてきたものにとっての救済だ。
神様のくせに、只人と同じように異常な癖を持っていたのが許せなかった。
例えそれが才能の代償であったとしても。ボクと、あの子と、みんなは。
きっと羨ましかった。だからこそ憎かった。
キミたちのような輝きを手に入れるには、今世では難しそうだった。
来世はきっと。
ボクも、キミたちも、どうか次は真っ当に輝けますように。
―
ちぃ「あーあ。おにいちゃん死んじゃった」
死体発見の放送を聞いて駆けつけたわたしの目に飛び込んできたのは、倒れた氷雅くんと、それを見つめるちぃちゃんでした。
しばらく微動だにせずにそうしていたちぃちゃんは、突然こちらを向きました。
ちぃ「これで終わりだよ。クロを捜して、見つけて」
『
……
どういう、ことですか?』
わたしの問いかけに、ちぃちゃんは少し瞼を落として答えました。
ちぃ「言葉通りだよ。おにいちゃんを殺したのは黒幕なの」
ちぃ「その人だって、コロシアイを終わらせたがってるってことだよ」
❑4.5章 完
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