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RONPA HABIT

本編まとめ【https://x.com/HabitRonpa】



❑5章

―――

█████が好きだった。
好きで好きで、堪らなかったはずなのに。

汚い一面を見てしまった。█████も只人と同じなのだと知ってしまった。
途端に許せなくなって、けれど眩しさが羨ましくて。

この手で壊して、自分の目で確かめてみるしかないと思った。

――――

……どういう、ことですか?』

訳がわかりませんでした。氷雅くんが殺されてしまって、その犯人がこのコロシアイの黒幕だと言われて。
ちぃちゃんの言葉を本当に信じていいのかも分からなくて、わたしはただただ混乱するばかりでした。

寧「これで、本当に終わり?解決した後騙し討ちとか……
ちぃ「しないよ。ほんとだよ!ここまで残った人たちにそんなことしたら……何されるか、わかんないもん」

ぎゅっと口を引き結び、俯く彼女はとても嘘を言っているようには思えませんでした。
言っていることの真意は気にかかりますが、この事件の真相を紐解けばわたしたちは日常へと帰れるのでしょう。

この場にいるのは4人。随分と寂しくなってしまいました。
以前月城くんたちと話していたことが本当であるならば、黒幕は必ずこの中にいるはずです。

空尾「どうして、今になって協力的になったんですか?」

翔ちゃんはちぃちゃんにそう尋ねましたが、彼女は答えようとはしませんでした。
気まぐれなのでしょうか、それとも別の理由があるのでしょうか。

月城「これ以上は喋ってくれなさそうだね。まずは黒幕が誰かを突き止めようか」
月城くんの言葉に、わたしはこくりと頷きました。

最後の裁判が始まろうとしています。
しっかりと真実に向き合って、わたしたちは帰らなくてはなりません。

🐰✋

「ネ、これって本当にいいことなのかな?」
氷雅幽は、普段通りの人懐こそうな笑顔を浮かべている。その実、彼の心の中は大荒れだった。

歪な輝きが許せなくて、憎かった。だから審判に踏み切った。
けれど、遠巻きに見て憎んでいた彼らに近づいて、その温かさを理解してしまった。してはならなかったのに。

友達が出来た。一緒に笑って、泣いて、驚いてくれた。
理解出来ぬ天上の人だと思っていたのに、そこにいたのは自分と同じ、只人だった。

分からなければ良かった、と思う。
超高校級とは、常人とは一線を画す存在で、それでいて清廉潔白でなければならないのに。

彼らがただの人ならば、どうしてここまで才能の差が開くのだろうか。

ずっと信じていたものが、いたぶるように折られていった。
氷雅幽は、そのことに気がついてしまった。

「今世でムリでも、望みはあるんだよね~……?」

目の前の影は頷いた。この人は嘘つきだけれど、こういうところは頼りにしてもいいのかもしれない。
嘘を嘘だと思わず、息をするように真実を包み隠す。吐く言葉は信用ならないと言えど、この人は表面だけでも人によりそえる。

ならばそれでいいじゃないか。
今だけは、真実かもわからぬそれを飲み込んでしまおう。

次はきっと、ボクとキミが報われる番だ。



あの、その……ごめんなさい。違うんです。

殺してないです。本当に、本当に違うんですよ?

なんで疑うんですか?一緒に、このコロシアイを終わらせようとしてたじゃないですか。
ここで間違えたら、今までの頑張りが全部無駄になっちゃうんですよ。

……それでもいいんですか?

ああ。その目。哀れむように蔑まないでくださいよ。
分かってますから、私がなんにも持ってないってことくらい。でも、憧れるくらい許してくれたっていいじゃないですか。見つめて、手を伸ばすことがそんなに悪いですか?

肯定も否定も、同情も批判も、望んでないです。嫌いな人に何言われたって、イライラするだけじゃないですか。
すみません、良くない言い方してるってことは分かってます。でも。

そうやって見つめられると、どうしたらいいか分からないじゃないですか……

――

ボロボロと涙を流す翔ちゃんに手を伸ばそうとして、辞めました。
涙を拭えるのは、わたしじゃないと思ってしまったから。ただ、どうしたら良いか分からなくって、下を向きました。

寧「氷雅さんを殺したのは、キミ、ってことだよね……?」
寧ちゃんは、一切表情を動かさずにそう呟きました。
寧「つまり、その。キミが……

月城「黒幕、ということだろうね」
言い淀む寧ちゃんの代わりに、月城くんがそう答えます。
ちぃちゃんの言葉を信じるならば、そういうことになってしまいます。

翔ちゃんは、うつむいたまま動きません。
どうしたものか、と伺っていると、唇がわなわなと震えていることに気がつきました。どうやら、何かを話しているようですがよく聞こえません。

『翔ちゃん……
大丈夫ですか、と今度こそは手を伸ばそうとします。
ぱしん、とその手が叩き落とされたことを理解したのは、翔ちゃんの叫びを聞いた後でした。

「私が黒幕?その通りよ!だからなんだっていうの!?」

空尾「心配するふりして、自分の株を上げようとするのやめてくれない?超高校級の素敵で醜い貴方たちには、そんな意図ないのかもしれないけど!」
反吐が出る、と吐き捨てる翔ちゃんは、今まで見てきた彼女とは別人のようでした。
優し気な表情も、柔らかな雰囲気も、言葉遣いでさえ、まるっきり変わってしまったようです。

呆然とするわたしたちの視線に気がついたのか、翔ちゃんは心底可笑しそうに笑い始めます。
全部嘘だった、騙されちゃってバカみたい、と放つ彼女の言葉が理解出来なくって。

月城「一つ、聞いてもいいかな」
空尾「いいよ。尤も、貴方の望む回答を得られる保証はないけど」
月城「どうしてこんなことをしたのかな」
空尾「……分からない?ここに呼ばれた人たちの共通点、超高校級だってこと以外にもう一つあったでしょ」

……わたしたちは、あの招待状によってここに足を運びました。
“誰にも言えない貴方の秘密を知っています”という、脅し文句のようなそれを思い返します。

公に出来ないような異常な習慣を持っていて、超高校級であること。それがこのコロシアイが起こされた答え。
その2点は、最初の方から分かっていました。けれど、それがどうして……という疑問は残されます。

空尾「完璧で、完全で、まるで神様のようだと思っていた存在が……ただの人と同じように、いいえ、それ以上の醜さを抱えているのだと気がついてしまったら、貴方ならどう思う?」

寧「……ボクなら驚くかも。でも、怒る人もいるだろうね」
空尾「私たちは、怒る方の人間だったってだけなの」

翔ちゃんは、先ほどから”超高校級”のことを神聖視するかのような発言をしています。彼女だって”超高校級の小説家”のはずなのに。
……いえ、本当は薄っすらと気がついていたのかもしれません。超高校級の才能を持っているのであれば、あんな言い方をするはずないのですから。

『その、どうしてコロシアイを終わらせる気になったんですか?』

先ほどから疑問をぶつけられ続けている翔ちゃんは、ため息を一つつきました。
気持ちは分からなくもありません。けれど、わたしたちにはあまりにも知りたいことが多すぎて、色々と聞きたくなってしまうのです。

ちぃ「代わりに答えてあげるね。賢いおにいちゃんとおねえちゃんなら、蠱毒くらい知ってるよね?」
今まで静観していたちぃちゃんは、座っていた椅子からぴょんと飛び降りこちらへやってきました。
ちぃ「これはその逆、毒性を高めるのが蠱毒なら、神聖性を高めるのがこのコロシアイだったってわけ!」

ちぃ「ここまで生き残ったみんななら、どんなに汚いことをしてたって本当の”カミサマ”だよねって話!だから、もうコロシアイは終わりでいいの」
どう?わかった?と首を傾げるちぃちゃんの放つ言葉は異常そのものでした。

超高校級とは綺麗でなくてはいけなくて、それが許せないからコロシアイを開いて、生き残ったから汚くても許される?
わたしたちだって、ただの人間なのに。勝手に崇められて、勝手に価値を決めつけられて、どうしてこんなことをするのかが理解できませんでした。

空尾「もう聞きたいことはないですか?何かあれば今みたいにちぃちゃんが答えてくれますよ、数時間後に救助もくるだろうし」
表しようのない怒りに似た感情をどうにか抑えていると、翔ちゃんはそう言って歩いていってしまいました。

空尾「さようなら、超高校級の皆さん」

空尾「次はきっと、輝けたら嬉しいな」



❑空尾翔さんが黒幕に決まりました。
オシオキを開始いたします。

……

❑error!

❑月読美羽さんが黒幕に決まりました。
オシオキを開始いたします。

❑オシオキ完了!



ちぃ「おねえちゃんが言ってたように、もうすぐここにお迎えが来ると思うよ」

ぐちゃぐちゃな気持ちのまま、わたしたち3人は翔ちゃんのオシオキを見つめていました。
彼女の最期を見届けて少しして、ちぃちゃんはわたしたちに次の道を示しました。

ちぃ「帰ってもいいし、ここに残ってもいいよ。カミサマが死ぬまで、ちぃたちが面倒見てあげる」
残念ながらおねえちゃんとおにいちゃんは”次”に行っちゃったけど、ちぃはここにいるよ、と彼女は続けます。
ちぃ「先に進むか、留まるかは自分で決めて」

今までどこに隠れていたのか、と思うほどの人たちがわたしたちを取り囲んでいます。
「ちぃたち」と言っていますし、ここに残るのであればこの人たちが世話をしてくれるのでしょう。

『わたしは……

『わたしは、帰りますね。わたしを待ってくれてる、家族がいますから』

寧「ボクも帰るよ。少しくらいは思い入れがあるけど……ここは、ちょっと窮屈だから」

月城「窮屈なのには同意するよ。ここにずっといるのなら、死んでいるのと変わりない。それじゃあつまんないよね」

全員の答えを聞いて、ちぃちゃんと周りの人は残念そうな顔をしました。けど、わたしたちの邪魔をするつもりはないみたいです。それどころか、決定を祝おう、なんて言い始めたりもして。

ちぃ「それじゃあ、助けがくるまでちぃと遊ぼ」

不気味な少女は、年相応の笑顔を浮かべています。

🐰

寧「これでお別れだね」
月城「生きていればまた会うこともあるんじゃない?」

死体になって再会ってこともあるかも、なんて月城くんは冗談を言っています。
それに寧ちゃんが何か言いたげな表情を以て返すと、月城くんはいつも通り微笑みました。

帰ってきてからは大騒ぎでした。世間では、今回のコロシアイは超高校級集団失踪事件として扱われていたそうです。
事情聴取をされたり、逆に疑われたり。捜査のためにあの教会に人が送られたりもしたそうですが、もぬけの殻だったと聞きました。

ようやく背後にいたらしき宗教団体が摘発されて、そのうちの何人かは捕まったそうですが。
不思議なことに、ちぃちゃんとあの時現れた人たちは見つかっていないようです。

まるで神隠し、噓か誠かあの土砂崩れも撤去作業に取り掛かろうとした瞬間綺麗さっぱり消えてしまったようですし。
まだまだ謎は残されているみたいですが、それの解明はわたしの仕事ではありません。

『それじゃ、またどこかで』
小さく手を振る彼らにそう返して、わたしは帰路につきました。

ずっと保護という名の監視をされていたこともあり、家に帰るのは本当に久しぶりです。
家族の面倒は色んな人が見てくれていたらしいですけれど、大丈夫でしょうか。

それにしても、郵便物が沢山溜まっています。後で整理しなくてはいけません。
パラパラとめくり、少しだけ確認すると随分と色んな種類の書類が届いていたことが分かりました。

怪しい金融業者や質屋のチラシ、何かのカタログに何かの投票所入場券。
雑多な売り文句の中に、それは紛れていました。

”誰にも言えぬ秘密があったとしても、私たちは貴方の味方です”

❑最終章 完

❑4.5章
シロ 氷雅幽様
クロ 空尾翔様

❑最終章
内通者 氷雅幽様
黒幕  空尾翔様
生存  宇佐見花丸様、月城統和様、寧様