Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
xoiox
Public
Clear cache
RONPA HABIT
本編まとめ【
https://x.com/HabitRonpa】
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
❑2章
―――
本能とは、生まれつき持っていると想定される、ある行動へと駆り立てる性質のことを指すらしい。
だから、抗うことは難しいのだと。
そうだとするならば、これは自分の本能なのだろう。
生まれつき備わっていて、しかも制御出来ない厄介な代物なのだ。
後ろ指をさされることになろうとも、こればかりはやめられない。
いくらやめようと藻掻いたところで、無意味なことなのだ。
――――
殺人事件が起こって、犯人を追及する裁判をして、オシオキという名の処刑が行われて。
日常では遭遇しえないことを体験してしまったからでしょうか、みんなどこか疲弊している様子でした。
事件が起こったおかげで全滅は免れましたが、あの一回だけでコロシアイが終わるとは思えません。
次はいつ何を言われるのだろうか、と少々の怯えと共になんとか日常を過ごそうと画策していました。
喜色「おっはよー!今日はなんだかいい天気だね!!」
カミツレ「あー、そうだな。
……
幾らか曇ってはいるけど」
満面ちゃんはカミツレくんに「でもいい天気って思ってもいいでしょ?」とにっこり笑いかけました。
そんな彼らの様子を微笑ましく見守っていると、こちらに気づいた彼らは少しだけ照れくさそうにしていました。
空尾「仲が良いのっていいことですよね!ああいう明るい空気って周りに伝播していきますし」
望月「そうだね。こうした状況だからこそ、団結した方がいいんじゃないかって思うよ」
王「まあ仲良くしておいて損はないですからね。寧さんもそう思いません?」
寧「うん。
……
仲間割れしたら、それこそあの子の思い通りになっちゃうんじゃないかな」
寧ちゃんの言ったあの子、とはちぃちゃんのことでしょう。
コロシアイを強要されている今、お互い疑心暗鬼になってギスギスした雰囲気を蔓延させるのは簡単なことでしょう。
しかし、そんなことをしたらもっと悲惨な結果を招くであろうことは容易に想像できました。
それに、せっかく皆さんと仲良く過ごせているんですから。これを壊したくないという思いもあるのかもしれません。
そんな風に思いを巡らせながら目的もなく歩いていると、食堂から飲食くんが出てくるところに鉢合わせました。
ぱちりと目が合うと、飲食くんは困ったような笑みを浮かべながら話しかけてきました。
飲食「あんた今時間ある?ちょっと、手貸してくれると嬉しいんやけど」
『何かあったんですか?もしかして、また事件とか
……
?』
飲食「や、違うけど
……
」
飲食くんに言われるがままに食堂を通り厨房へ向かいます。
厨房の中は何やら煙で充満していて、何か焦げたようなにおいが漂っていました。
『え、火事
……
!?』
ちぃ「ちがうよ、お肉やいてるの」
『お肉、ですか?』
ちぃ「うん、焼肉だよ」
煙の中から出てきたのは、トングを持ったちぃちゃんでした。
彼女の返答を聞いて、飲食くんは大きなため息をつきました。
「ここだとけむくなるから堪忍して言うたのに、全然聞かなくってなあ」とは飲食くんの言葉です。
ちぃちゃんはどうも今更外へ移動するのが面倒なようでここに留まっているようでした。
ちぃ「あのね、お肉焼けたらみんなにもあげるから。ね」
頑なな様子のちぃちゃんにわたしたちは折れるしかありませんでした。
🐰🍖
サチア「いやー、お肉焼くの上手だねえ。良い焼き加減じゃない?」
月城「そうだね。焦がしちゃうかなって思ってたけどいらない心配だったみたい」
お昼ご飯を食べに食堂にやってきたのだろう人に声をかけ、ちぃちゃんは焼けたお肉を振る舞ってくれました。
火を扱うのは危ないのでは、と思い手伝いを申し出ましたが、ちぃちゃんは「一人で焼くの」と言ったのでわたしは見守るしか出来ませんでした。
結局火事にはならず、お肉もいい具合に焼き上がりました。
……
杞憂に終わって良かったです。
七星「沙優ちゃん、どうしたの?何か困ってる?」
小花衣「何か取りに行きたいんだけど、その
……
あっち行くと煙のにおいついちゃいそうだから」
沙優ちゃんの返答を聞いた七星くんは、「それなら俺が取ってくるよ!」といいました。
そうして何を食べたいかと聞いたあと、厨房に向かい食べ物を持って戻っていきました。
七星「はい、これ!」
小花衣「
……
ありがとう」
七星「においとかそういうのあんまり気にしたことなかったな。そういうところの管理しっかりしてるの、流石だなって思うよ」
七星くんはニコニコとしながらそう告げていました。
その後も七星くんと沙優ちゃんは数言交わしているようでした。
豆花「花丸、お肉食べない?冷たくなっちゃうよ」
二人をぼんやりと見つめていると、近くにいたカヌレちゃんにそう声を掛けられました。
『あ
……
そうでした。せっかくのお肉が冷めちゃいますね』
豆花「うん、頑張って作ってくれてたから温かいうちに食べたいよね」
カヌレちゃんのその言葉は、料理を作る人ならではの重みがあるように思いました。
……
ちぃちゃんが焼いてくれたお肉はとても美味しくて。
わたしはなんだか複雑な気持ちになりました。
🐰
集会室に集まって、と言われた時、わたしは思わず身構えてしまいました。
しばらく事件は起こっていませんでしたし、いつかまた「殺人の動機」を与えられるのだろうと思ってはいましたけれど。
……
やはり、想像するのと実際に大変するのは違いますね。
ちぃ「今度はね、みんなの大切なひとを人質にとっちゃいました!」
信じてもらえないかもしれないから証拠だすね、といってちぃちゃんが取り出したのは数枚の写真でした。
ちぃ「これはとあるおにいちゃんの家族だよ!ちぃが言えばいつでも殺せちゃう準備はしてあるんだ」
写真にうつる人物に見覚えがあるのか、誰かが息をのみました。
その音はやけにはっきりと聞こえたように思います。
政万「
……
本当に、彼女は一体何がしたいんだ?他人を巻き込んでまで、僕たちを殺し合わせるだなんて」
政万くんは口調こそいつも通りではありますが、憤りを感じているようでした。
……
今回の期限は、5日間らしいです。
それは、覚悟をするにはあまりにも短すぎる時間でした。
わたしは無意識のうちにこぶしを握り締めていました。
🐰✊
朝起きて、ぼんやりと何かをして過ごして、ご飯を食べたりして、眠りにつく。
そうして日常を単純作業化して、コロシアイについてを極力頭から追い出すように生活していたように思います。
今日も昨日と同じような時間に起きて準備をして、まだ髪の毛を整えているカヌレちゃんに声をかけてから外に出ます。
廊下に出ると、ある部屋の前に数人が集まっているのが見えました。
どうやら部屋の主である人が数人を自室へ招き入れているようです。朝早いですが、今からみんなで遊んだりするのでしょうか?
どこか焦っているようにも見えますが、わたしの気のせいですかね?
そう楽観的に考えていたのは間違いであったと知ったのは、スピーカーから流れてきた死体発見アナウンスを聞いた後でした。
また事件が起こってしまったのだと理解するのにそう時間は掛かりませんでした。
―――――
おやすみなさい、いい夢を見られますように。
温かいおまじないをかけられたのは遠い遠い昔のことで、今はそう願われることだなんてそうそうなくなってしまったのだ。
一目見れば、これがとても温かいおまじないだなんて言えない代物であることは明らかであろう。
これは呪いだ。もう二度と目覚めることのないようにと念を込められた悪質なものだ。
……
尤も、これは第三者から見た印象でしかないことは痛いほどに分かっているのだが。
――――――
氷雅「いつも大抵奏クンの方が早起きなんだけどさ、今日は違ったんだよネ」
珍しいこともあるのだなと思って様子を見てみたら、七星くんは既にこと切れていたとのことでした。
第一発見者で、被害者の七星くんの死体と一晩を過ごした氷雅くんは申し訳ないですが怪しく思えてしまいました。
……
正直、氷雅くんの言葉をどの程度信じたらいいのかは分かりませんが、七星くんは夜のうちに死んだのは間違いないだろうとの見立てに落ち着きました。
田中「うーん、正直氷雅が怪しいかなって思ってたけど、もしクロだったとしたらもっと違う場所で殺すよなあ」
砂糖「私もそう思うよ!わざわざ疑われるようなことしないよね、裁判で不利になっちゃうし」
状況証拠だけで犯人を決めつけるのは、あまりにも早計すぎました。
決定的な証拠を見つけてから誰が犯人だという話をしようと、その場で犯人について言及して争うことはやめようと誰かが言い出し、それにみんなが賛成しました。
七星くんの死因は恐らく毒殺によるものである、と月城くんは言いました。
苦しんだあとがあまり見られないので、眠るように死んでいったのだろう、とも。
小花衣「苦しまないで
……
死んじゃったんだから、苦しいに決まってるのに
……
」
泣くのを堪えているかのような表情を浮かべ、沙優ちゃんはそうぽつりと呟きました。
もうすぐ、2回目となる裁判が行われます。
……
今回の犯人は一体誰なのでしょうか。
証拠を集めるのに少しだけ慣れてしまったことを複雑に思いつつ、わたしたちは裁判に挑みました。
――――――
……
まあ、はなから隠し通せるだなんて思ってなかったよ。
自分では結構完璧に隠せたと思ったんだけど、こんな状況だし、焦ってたのかもな。
結構七星には感謝してたんだよ。色々教えてもらったし、優しくしてもらったし。
だから
……
なるべく苦しまないように配慮したんだぜ。統和も言ってたろ?あんまり苦しんだあとがなかったって。
どこから毒なんて持ってきたんだって
……
それ、聞いちゃうんだ。
オレ、ここに来た時から何種類か毒薬を持ってたんだ。
いやいや、仕事の関係上所持してるわけじゃないよ。
なんといえばいいのか
……
まあ、趣味だって言うのが一番近いのかな?
欲望のまま罪を犯したって思ってくれてもいいよ。許しを乞うつもりなんて、全然ないんだからさ。
喜色「カミツレちゃん
……
」
いつも太陽のような笑顔を浮かべている満面の顔が曇るのを見るのは、少し辛いような気もした。
けど、時間を戻してオレが七星を殺す前に戻れるわけじゃない。
後悔なんてしたところで、無駄なだけなんだ。
ちぃ「何か言い残したことはない?それくらいは待つよ」
カミツレ「そうだな。
……
悪いけど、ちょっと待っててくれよ」
おチビはオレの言葉に対してうん、と返した。
まったく、最後まで全然何考えてるかわかんねぇな、と辟易もしたけれど。
前のあいつ
……
金借はオシオキされて死んだんだっけ。
じゃあオレも死ぬんだな、と今更ながらに実感した。
とある人物の方へとゆっくり歩いていって、名前を呼ぶ。
首に引っ提げていたドッグタグをその手に握らせて、呼び止める声を知らんぷりして背を向けた。
これはエゴだ。オレが死んだ後もオレのことを忘れないでいてほしいという呪いだ。
喜色「待って、お願いだから
……
」
その声に、心の臓がズキズキと痛むような心地がした。
カミツレ「待たせたな、もう心残りはないよ」
ちぃ「
……
そっか、じゃあオシオキしよっか」
そうだ、これが最後なんだよな。
どうせ最後なら、死んでしまうのなら
……
。
ちぃ「えっと
……
なにしてるの?」
カミツレ「
……
毒飲んでるんだよ、さっき何個か持ってるって言っただろ」
心残りがない、だなんて嘘だ。
まだまだ知りたいことはあったし、試せてない毒薬だってあった。
死ぬのに変わりはないんだから、最後に自分で試してみたっていいだろ?
ちぃ「
……
やっぱり変だよ、おにいちゃんたちって」
さあ、俺が毒で死ぬのが先か、オシオキとやらによって死ぬのが先か。
ほら、早く連れて行きなよ!早くしないとオレ、死んじまうぜ。
――――――
❑カミツレくんがクロに決まりました。
オシオキを開始いたします。
❑ジジ
……
❑叶守拓実くんがクロに決まりました。
オシオキを開始いたします。
❑オシオキ完了!
――――――
満面ちゃんはカミツレくんから渡されたドッグタグを握りしめ、俯いていました。
裁判場は静寂に包まれているかのようにしんとしています。
今回、ちぃちゃんからは「大切な人を人質にとられた」ことが殺人の動機として言い渡されました。
しかし、カミツレくんは動機に言及せず、あくまでも己の興味から、といったニュアンスで喋っていました。
……
何を信じれば良いのか、わたしは分からなくなっていました。
誰にでも、自らの命に代えても守りたい大切な何かはあるはずです。
それはカミツレくんにも
……
彼に殺されてしまった奏くんにも言えることでしょう。
どうして今回の事件が起きたのか、わたしは想像することしか出来ませんけれど。
こんなところに閉じ込められて、強要されなければ起こらなかった事件なのに。言い換えれば、こんな状況だから起こってしまった事件なのですけれど。
無理やり生み出されてしまった事件へのやりきれなさで、わたしは頭が破裂してしまう様な心地がしました。
―――――――
七星「んで、何について聞きたいの?」
カミツレ「あー、いつも悪いな。今日は
……
」
ここ数日、カミツレさんが俺のところに色々と質問に来ていた。
なんでも知りたいことがあるから、その分野に詳しそうな俺に聞きにきたんだって言ってた。
……
どうして知りたいの?って聞きたかったけど、そこをぼかしたってことはあんまり人に知られたくないことなのかも?
ま、あんまり聞くのも野暮ってものだろうし、深く突っ込まない方が良いかもしれないよな。
七星「えっと、こんなもんかな。なんか分からないところあった?」
カミツレ「凄く分かりやすかったな。オレの知らないことだらけで勉強になったよ」
七星「いや、気にしないでいいよ。役に立てるなら嬉しいし」
ストレートに褒められて、俺はちょっとだけ恥ずかしくて、ちょっとだけ誇らしい気持ちになった。
機械のことについて話すのは苦じゃない。
というか、話している時の方が楽だし、人に何かを教えるのは自分が役立っている気がして尚更楽だった。
これまでならカミツレさんの質問に答えた後は世間話とかして解散してたんだけど、この日は違ったんだ。
カミツレ「
……
ちょっと話しすぎたかもね、何か飲む?持ってくるけど」
七星「え、いいの?」
カミツレさんはそう言って、厨房の方を指差した。
カミツレ「うん、お礼だと思ってよ」
彼の表情から何を考えているのか伺ってみようと思ったけど、すぐにただ善意で言ってくれているだけかもなと考え直した。
食堂の中でも厨房に近い位置にいたし、お礼だっていうなら
……
断らない方がいいよな。
七星「
……
じゃあお願いしようかな」
しばらく待つと、カミツレさんが二つコップを持って戻ってきた。
カミツレ「はい、これ」
七星「あ、ありがとう」
……
うん、ただの水だ。
さっきはちょっとでも疑っちゃってごめん、と心の中であやまった。
そのあと少しだけ話をして、俺たちは解散した。
寝る準備をして、ベッドへ入る。
同室である幽さんは
……
もう寝てるみたいだ。俺もさっさと寝てしまおう。
……
願わくば、いい夢が見れますように。
俺も良い夢を見たいし、ちょっと意地っ張りなあの子にもいい夢を見て欲しい。
なんだか今日はぐっすり眠れる気がするから、柄にもなくそんなことを願ってしまった。
❑2章 完
❑2章
シロ 七星奏様
クロ カミツレ様
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
広告非表示プランのご案内