【カミ東・フィル風・あしゅやよ】セオリー通りなんてつまらない【化菫・ミスライ】

各CP扉一枚隔たれた彼方側にいるのはだぁれ?フラグへし折ってやるよ編。
※クロスオーバーものでは御座いません※
其々前のお話
カミ東🔪🍮→ https://privatter.me/page/6670eec9184f9
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あしゅやよ🖍️💀→ https://privatter.me/page/667a6e8481aae
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【フィル風】




優しく幼い誰かの声に呼ばれ不意に目が覚めた。夢見心地で薄ら目を開けると、私の顔を覗き込んでいるフィルくんの吸い込まれそうな萌える緑の目と目が合う。

──きれい

キラキラ輝く宝石みたいな瞳。鮮やかな翡翠色に見惚れ、彼の小さな手が頬を撫でているのに気が付くのが遅れた。

──だめだよ、不運が来ちゃう

自分の中では叫んだ声が小さな小さな声量になって喉を震わす。切羽詰まった気持ちだけが先走って体が全然追いつかない。
脳から指令を飛ばし続けてるのに体はワンテンポ以上に遅れ動くもどかしさ。制止のために動かした手が何故か手袋を付けていない事に気が付いても咄嗟に戻せなかった。
所なさげに浮いた手に大きさが違う手が重ねられ指同士が絡ませられ折り畳まれる。素肌に直接感じる、人の熱。生きている者の熱に私の口から一音が零れた。

──フィル、くん……

降下してくる彼の端正な顔。程なくして猫っ毛な彼の髪と自分の髪が額同士を合わせた事で挟まり擦れる感触に目を閉じた。
嗚呼、本当は此処は何処なのか訊かないといけないのに意識の糸が解けていっちゃう。額同士が擦りあっている感触が遠のき目を開けると、フィルくんの瞳がぼうっと光を帯びていた。
やわらかであたたかな光。ずっと見ていたくなる光。目を離したくない、光。

『風子お姉さん』

宇宙ステーション以来ぶりの彼の変声期前の声がスッと頭の中に入り込んで来る。
耳触りの良いトレブル。薄くあどけない口の動きを耳で追う。無意識に彼の声を聞きたくて耳をすませ、声が出なくなった口で「声を聞かせて」とお願いした。

『うん、風子お姉さん』
──フィルくん……

『ボクの声聞けて、ボクに触れられて、うれしい?』
──うれしい? そうだね、すっごく嬉しい……

『よかった』

フィルくん笑えるようになったんだ。その顔、とっても素敵。見ている私まで幸せになるくらい、いい笑顔だね。
でも、どうしよう。私とっても眠いんだ。また寝てもいいかな。

『いいよ、ゆっくりたくさん寝て』
──ありがとう

寝かしつけてくれる彼の手の優しさに目を瞼裏に隠した。誰かの気配がこんなに近くにいる事が、触れてくれる感覚が懐かしさを引き連れ私を眠りの底に誘う。
靄が掛かりはじめた思考の端っこ、けたたましく鳴り響く警鐘から意識を逸らした私はフィルくんに抱かれたまま何もない夢の底に沈んでいった。