【カミ東・フィル風・あしゅやよ】セオリー通りなんてつまらない【化菫・ミスライ】

各CP扉一枚隔たれた彼方側にいるのはだぁれ?フラグへし折ってやるよ編。
※クロスオーバーものでは御座いません※
其々前のお話
カミ東🔪🍮→ https://privatter.me/page/6670eec9184f9
化菫👁️‍🗨️📚→ https://privatter.me/page/6672288d6aaf8
あしゅやよ🖍️💀→ https://privatter.me/page/667a6e8481aae
ミスライ🍽️🧀→ https://privatter.me/page/6697b5883788b
フィル風🚀☄️→ https://privatter.me/page/66a1cb963501a

【ミスライ】




カサついた唇が鎖骨を食み首筋を這うこそばゆさ。華奢と見せかけその実鍛え抜かれた身体の重み。女生とは違う細く間接が骨っぽい指が上着の隙間から入り込み腹部を弄ってくる。
「(おかしい)」
さして、俺は彼とこういう間柄だっただろうか疑問が浮かぶ。閉じていた目を開け、目だけで周囲を見渡す。視界端に映り込む緩く波打った銀髪を手で撫でつけ視界を確保する。何処を如何見ても俺の自室だ。事細かな装飾が施された天蓋に刻まれた獣の爪痕、誰だったか思い出せないが怒られない程度に選りすぐられた魔物関連の書物が収められている本棚。寝比べてみたいと強請ったバジリスクとコカトリスの羽毛枕が置かれた向き。首を仰け反って見た窓から見える風景も普段通り。
しかし、得も言われぬ違和感が蛇のように付き纏う。
「他に現を抜かすとは余裕だな」
低く乾いた声に逆さまの視界を元に戻す。デュラハンが纏う漆黒の鎧以上に昏い隻眼が俺を見下ろしていた。
だらりと垂れ下がる銀色のカーテンに囲まれ影を背負っているお陰で彼の白目が際立ち一層深い黒目を惹き立てる。
「──君は誰だ」
俺の問い掛けが不服なのか、はたまた聞こえなかったのか答えない彼の肩を掴み起き上がった。
「シェイプシフターだったらもう一人いる筈、いやもう既にすり替わっているのか」
……
「もしくはサキュバス、という可能性も無くはないが。そうすると、俺の嗜好が深層心理レベルで変化した可能性が出てくる」
……待て」
「流石にその線は薄いな。だとすればシェイプシフターが妥当か。しかし、困ったな比べられるものが何もない現状は頗る良くない」
「私は本物だ」
「それは俺もそう思う」
「──ッ」
推測や憶測をつらつら上げ、本物だと断言する彼に間髪入れず俺も同意すれば隻眼が瞠られ数回瞬きされた。
いや、実際そうじゃないか。如何見たって目の前にいるミスルンは正真正銘本人そのもの。他に擬態する魔物でドッペルゲンガーもあり得るが会話が成り立っている。サキュバスであれば、こう、もっと胸が苦しくなるような動悸がするはずなので除外。若干のシェイプシフター疑惑が拭えないのならば疑惑を無くせばいい。密室空間で獲物を虎視眈々と狙う場合、何処からが一番効率がいいのか考え──吠えた。
全力で犬たちの鳴き声を真似威嚇する。結局、俺の膝の上に跨り乗っかっているミスルンが目を白黒するだけで姿を現す事は無かった。
「うん、やっぱり君は本物だ」
そうと決まればやる事は一つ。この空間から脱出するのみ。
ミスルンの手を取り俺の寝室であろう部屋の扉を開ける。相も変わらず、廊下の先がぼやけてよく見えない。異様な静けさを称える廊下の左右を確認。この感じ右に行こうと左に行こうと大差ないだろう。大きさの違う彼の手が俺を部屋に戻そうと控えめに引っ張るのを見遣り微笑んだ。
「よし、左から行ってみよう」
彼の目を見て行き先を決め、ずんずん歩いていく。変わり映えのしない光景が徐々に歪み、とある場所から漂う空気感が馴染みのあるものに変わった。
終わりのないぼやけていた廊下の突き当りに辿り着き俺は大きく安堵のため息をついた。戻って来れた、そう共に変な場所に迷い込んだ彼に声を掛けるべく振り返れば俯いていた顔を丁度上げるところだった。
……お前には敵わないな」
「いやいや。俺一人だったらこんな強気な行動は取れない。偏にあなたの戦闘能力の高さ、咄嗟の判断力を見込んでの無謀なものだ」
勿論、俺だって戦うが。一言付け加え申し訳なさと自分の不甲斐なさ情けなさに頬を掻き、元来た場所へ戻るべく踵を返す。
俺の寝室前で警護している警護兵が心底驚いた顔で何度も見てくるが他言無用とばかりに人差し指を口元に寄せる。途端、苦虫を嚙み潰したような面持ちで俺たちを見た後、額を押さえ何も言わずシッシと手で払われた。彼らの無事を確認できたというのに何とも言えない気持ちになる。
いそいそ二人揃ってベッドに潜り込み──、ずっと訊きたかった事を口にする。

「次の迷宮調査同行についてなんだがッ」

興奮気味に問う俺にミスルンはフッと笑い、

「明日、許可を取れるか如何か聞いてくるといい」
「うぅ気が重いな……

唸る俺の唇を乾いた唇で暫し塞いだ後、寝返りを打ち背を向けてしまった。
今悩んでも仕方ないだろう。そう背中で語ってる気がして俺も仰向けに寝直し目を閉じた。
翌朝、それとなくカブルーに聞いた瞬間烈火の如く否、滲み出る威圧感で俺の要望を黙殺したのは言うまでもなく、こっそり迷宮調査に同行後バレる前に部屋に戻るはずが見つかってしまい当面の間、おやつ禁止令も下される綺麗なオチまでついてくる始末に俺は枕を濡らした。