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seika_ashe
2024-07-20 15:38:40
22166文字
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蛇狐の戯れ 【人喰いホテル】
蛇も狐も、全ては疾く闇の内へ──。
スペシャルサンクス
アスナショウコさんの作品「アンシーリーコート」及び「レゾンデートル」の世界観と、最後に少しキャラクターをお借りして書いております。
友人宅創作キャラ、白崎幸葵をお借りしています。ありがとな!!!!
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そんなこんなで現在この2人、嫌々ながらも車を走らせ目的地へ向かっている最中なのである。
「おい、今更だが理事長の嫌がらせの可能性はねぇか?」
「それであれはどれ程良かったか。有名サイトの検索には掛からず、地図アプリでも確認は取れず、しかしどう考えても怪しいマイナーな予約サイトで検索をかけた途端異様に評価の高い件のホテルが引っ掛かったのは双鶴さんも見たでしょう?」
「だよなぁ〜〜〜〜
……
あぁー、クソッ
……
」
片手で前髪をぐしゃ、と掴みながら浅葱は胃と頭が痛そうな顔をした。どうしてただの教員がこんな事を、とでも言いたげである。
助手席に座る幸葵は表情こそ真顔から変わらぬものの、定期的に心底行きたくないと言いたげな溜息を漏らしている。何せどう転んでも面倒くさい案件だ。これが狐狸の類であろうと、悪質誘拐グループの類であろうと、どちらにしたって教員2人で対処しろは無理難題がすぎる。
「なぁ今からでも放棄して箱根あたりに車飛ばして行かないか」
「俺だって行くなら箱根の方がそりゃあ良いですが、後が怖いじゃないですか」
この期に及んでまだ抵抗しようとする浅葱に、幸葵は無慈悲にも言い放った。余程行きたくないらしい浅葱は、ハンドルを握りながら歯軋りをして、ぐぎぎぎぎという謎の呻き声を漏らし始める。
そんな声を聞きながら、幸葵は手元のスマホに視線を落とした。画面上には地図アプリが開かれており、マップ上に立てられたピンは目的地
……
実在すら怪しいホテルの住所を指している。航空写真を見ても目的地一体は山のまま手付かずの筈で、ホテルはおろか民家すら存在するか怪しい筈なのだが
……
「
……………
おい、白崎」
「なんですか、双鶴さん」
浅葱から肩を叩かれ、画面から顔を上げた幸葵は嘘でしょうと言いたげな表情をしたまま固まる。というか、何なら浅葱は絶句したまま動かない。
あるのだ、目の前にホテルが。絶句する2人を差し置いて、カーナビは無慈悲に『目的地周辺です、案内を終了します』という声を響かせた後沈黙した。
「
………
あるな、ホテル」
「ありますねぇ、ホテル」
十数秒の沈黙の後2人がやっと絞り出した言葉は、その一言であった。実在していたという事実を確認しあったところでどうなる訳でもないのだが、取り敢えずホテルはあった。
いやあっても困る、何故ならここは少なくとも航空写真上は山である。旅館なら兎も角、ホテルのようなそこそこ大規模で近代的な建物を見逃すわけもない。しかも見る限り、このホテルどうやら築浅だ。ボロ屋ならまだしもこれだけ綺麗で目立つもの、幾ら2人が日頃の業務ストレスで疲れ切っていたとしても見落とすなんて有り得ない。
「
…………
なぁんであるんだよ馬鹿!!!!」
「双鶴さんお気を確かに!!」
ガン、とハンドルに頭を打ち付けた浅葱の背中を高速で撫でて宥める幸葵。頭を打ち付けた衝撃で、クラクションがプアという何とも情けない音を発しているのが余計にこの状況の哀愁を引き立たせる。
「取り敢えず
………
ホテルはあった、これがガチホテルかは兎も角としてだ
……
」
「えぇはい
……
少なくとも悪質誘拐グループの線は消えました、最悪な事に」
ゲッソリした顔の2人だが、これでまだ本格的に調査した訳では無いのがタチが悪い。何ならまだスタートラインである。
一先ず嘆いていたところでどうにもならない。ホテルが目の前に存在している以上、頼まれた依頼を遂行する他無いのだ。嫌だ嫌だと呻くように嘆きながら車を駐車場に
……
此方は実在を地図でも確認済みのガチ一般駐車場に止め、荷物を引きずるように持ちながらホテルの入口へ向かう。
「
……
それで、双鶴さん。何か感じますか」
「
……
悪意。これが何由来かは入らんとわからんが、少なくとも此方を喰い物にする目的の場所なのは確かだ」
「嫌ですね〜〜〜〜
……
入りたく無い」
「俺だって嫌だよ」
どちらとも無く何度目になるかもわからない溜息。
性質を看破することに関しては幸葵より浅葱に軍杯が上がるが、その浅葱ですら入らないと断定が出来ない時点で相当悪質である。悪質性を悟って幸葵は長く深い、最早深呼吸レベルなのではないかという溜息を吐き出した。
だがしかし、ここでウダウダとくだを巻いても仕方ない。解決しない事には
……
解決は無理でも原因特定をしない事には帰れもしない。螺旋捜査官から詰められるなどど言う面倒くさいこと、怪異調査よりも御免蒙る。
合図をしたわけでも無く、同じタイミングで2人はホテルの中へ足を踏み入れた。
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