seika_ashe
2024-07-20 15:38:40
22166文字
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蛇狐の戯れ 【人喰いホテル】

蛇も狐も、全ては疾く闇の内へ──。


スペシャルサンクス
アスナショウコさんの作品「アンシーリーコート」及び「レゾンデートル」の世界観と、最後に少しキャラクターをお借りして書いております。
友人宅創作キャラ、白崎幸葵をお借りしています。ありがとな!!!!



「2人ともご苦労さま〜!!」
『迅速な解決見事だった。矢張り私の見たては間違っていなかったな』

「そんなこったろうと思ってはいましたが、改めて事の次第がわかると怒りが湧いてきますね。ねぇ、双鶴さん」
「今このタブレットを叩き折ってないだけ感謝して欲しい程度には」

後日再び理事長室へと呼び出された2人は、そんな事を漏らした。
目の前でニコニコしている理事長へは勿論、タブレットでビデオ通話をしている相手……四宮椿へも大層な憤怒と殺意を向け、浅葱の言葉通りタブレットを叩き折っていないだけまだマシと思えるような形相をしている。

今回の事件、螺旋捜査部と陰陽庁がせっついて来ているのは事実であった。しかし、それをより詳しく言うならば『事の大枠を知った四宮椿が、調査人員として浅葱と幸葵を推薦した』という2人からすれば「ふざけるな」と絶叫したくなるような詳細である。

四宮椿という女性は、浅葱と幸葵以上にガチガチに螺旋捜査部から目をつけられており、常に2人の螺旋捜査官の監視の元生活しているような人物である。正直言って己の同僚たちよりも余程関わりを持ちたくないのだが、アチラは度々体良く、螺旋捜査部や陰陽庁を通して此方を使ってくるのであった。

『私は遠出が出来るような身では無いし、あの手の物とは些か相性が宜しくない。適切な人員を適切な場へ派遣する進言をしただけで、それを実行したのは螺旋捜査部や陰陽庁のお偉方だ。私に落ち度があると思うか?』
「あ〜〜〜〜もう!!ほんっっと貴方そういうところですよ!!!!」
「落ち着け白崎お前が先にタブレット叩き折ろうとするんじゃない」

同族嫌悪……つまるところ傲慢かつ天才が嫌いな幸葵が、浅葱を差し置いてタブレットを引っ掴もうとする。こと天才関連の物事になると、幸葵の導火線が恐ろしく短いのは度々浅葱の頭痛の種になっていた。

「四宮さんも!白崎を煽るのやめてください!コイツキレると面倒なんですよ!!」
『何故だ。私の言葉に対して勝手に怒り出したのは其方じゃないか』
「四宮椿ィ!!!!」

大層胃が痛そうな顔をして浅葱は絶叫する。ただでさえ今回の件で胃に数カ所穴が空いてそうなのに、尚も己の胃を痛める存在に目眩がしそうだ。 そしてその存在が何も此方を気にしていない様子なのも余計にダメージが入る。せめて罪悪感の1つでも持っていて欲しい。

『何だ、また胃潰瘍か?一度此方に来て診てもらったらどうだ。良い奴を紹介するぞ』
「行かん!胃が逆に穴だらけになるわ!!もう切る!!!」

おい、とまだ何か言いたげな椿を無視して、浅葱はビデオ通話を切った。
指の力だけでタブレットの画面を割りそうな幸葵と、額に青筋を浮かべた浅葱を見ながら理事長は「あわわ……」などと可愛くもない狼狽声を発する。

「理事長……何か弁明は」
「いやほら僕も上から言われちゃうと……ほら……ね??」
「ほらね?じゃないんですよ貴方ね!!!ただでさえこっちは疲れてるってのに四宮さんの相手なんかさせて!!見てくださいよ双鶴さんを!心労で髪の色がこんなに抜けちゃって!!」
「それは地毛だ馬鹿!!!!!」

隙あらば他者を貶す幸葵へ渾身のツッコミを入れつつ、浅葱は理事長を引っ叩く。いたーい!と抗議の声をあげる理事長へ、まだ余裕そうだな、と拳を構える浅葱の形相はそれこそ狐も尻尾をまいて逃げ出しそうだ。

「君らなら適任だと思ったのは僕もだけどさぁ!」
「理事長テメェ!!」
「だって双鶴くんは元を辿れば似た血筋だし!白崎は神の血筋だから!!大丈夫だったでしょ実際!!」
「ほら見た事か!双鶴さんやってしまいなさい!!」

……その後理事長室からは、断末魔のような悲鳴が聞こえたそうだが、誰も心配しなかったらしい。