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asa_nohi
2023-12-23 23:51:04
20037文字
Public
カルジュナ
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アドカレワーパレまとめ2
お借りしていたワードパレットを使ってのアドベントカレンダーかるじゅ纏めその2
12/7〜12/16までの10編
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12/13 遠乗り索敵と小さな宿敵
トナカイ「乗り物/それぞれ/鼻」
デア時空、遠乗り、若返りの霊薬
馬が駆けて行く。蹄の音を響かせて、背に乗せた操り手の重さなど感じさせぬほど軽やかに、飛ぶようにぐんぐんと進んで行く。
そうそう経験することのない、随分と懐かしい感覚に、思わずスッと目を細める。ちょうどそのとき、よくよく知っている、けれども聞き馴染みのない声が言った。
「やはり、それぞれ一頭ずつ馬を借りた方がよかったのでは
……
」
声は不服そうに意見した。聞いたカルナは、ふん、と鼻を鳴らした。
「あの村に、馬二頭を貸す余裕はない。仕方がなかろう」
「それはそう、だが
……
」
事実を述べても尚、声の主、アルジュナはもにょもにょと言い募ったが、その大半は、耳元で鳴る風の音でかき消されて届いてこなかった。
それからしばらく、二人はまた無言で馬を走らせた。特異点の只中である以上、聖杯を所持している勢力が、どこから奇襲をかけてくるか分からない。敵情視察をしに行って、今後の作戦に影響するほどの深手を負いました、などあってはならないことだ。
そのため、カルナは馬を走らせながら前方に注意し、アルジュナはその分疎かになる周辺の魔力探知に注力している。無駄口を叩く暇はない。互いにそれは理解している。
「万一のために私を連れて行く、というのは理解できるとして
……
」
やがて、身を隠す茂みなどのない荒野に出た。そのとき、アルジュナが口を開いた。
「それなら、せめて幌馬車でも借りた方が良かったと思うのだが
……
。
……
子供の姿とは言え、私が前にいては、おまえも馬を駆りにくいだろう
……
」
「乗り物を引いていては小回りが利かん。余計な時間をかけるのは、マスターのためにならんぞ」
「
……
」
ちらり、と肩越しにアルジュナがカルナを振り返った。よく見知った輪郭ではなく、子供らしい、丸い頬。普段ほどの鋭さのない、大きな黒目。
そして、目の前に座られても一切視界の邪魔にならない、その小さな背丈と、聞き慣れない高い声。
目の前にいるアルジュナの姿は、この特異点に来た時とは違い、紛うことなく、全盛期の年齢よりもずっと若い子供だ。
霊基の異常や、なんらかの魔術を掛けられたことを疑いたくなる状態だが、そうではない。
この状況の創造主は、マスターだった。
アルジュナを伴い、馬を借りての敵情視察に行く、と言ったカルナに、その姿での二人乗りは難しかろうと言ったマスターが、アルジュナに若返りの霊薬を授けたのだ。
アルジュナにとっては不服がすぎるだろうが、「私達も情報収集頑張るから、向こうの方はお願い!」なんて言われてしまえば、悲しいかな、この男の性格上、霊薬を飲むことを断れはしなかった。
……
とはいえ、作戦を受け入れられても、状況は到底全てを納得しきれていないのは明らかだ。だから、本当はぶつけたかった不満は、こうして全部カルナに回ってきているのだが、マスターの前では決して晒さなかった、この愛らしい姿を独占する権利が与えられるのなら、捌け口になるのも安いものだ。
「しかし、この姿での戦闘経験はないし、動けるにしても、出せる力も限られてしまうのでは
……
」
「ほう? その形だとおまえの腕は衰えるのか?」
「なっ
……
!」
むっ、とむくれたアルジュナが、困ったように自身の手を見つめた。後ろ向きな発言を聞いて、カルナは片眉を持ち上げて言った。
不満ならいくらでも聞こう。けれど、今の言葉は聞き捨てならなかった。姿はどうあれ、アルジュナの腕に変化があろうはずがない。目の前にエネミーが三体いたなら、そのどれもを、瞬時に射抜くに決まっている。
挑発じみた言葉でそれを伝える。すると、アルジュナは眉をつりあげ、勢いよくカルナを振り返った。
「衰えるものか! 見ていろカルナ、貴様に見えぬ敵でも撃ち落としてみせる!」
威勢よく言うと、アルジュナは今の彼の背丈よりも、何倍も大きな愛弓を呼び出した。ああも言われた手前、やってやらねば気が済まないらしい。これでこそ、アルジュナだ。
「それは頼もしいな」
纏う空気の変わった小さな宿敵を前に、カルナは口の端を持ち上げた。
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