asa_nohi
2023-12-23 23:51:04
20037文字
Public カルジュナ
 

アドカレワーパレまとめ2

お借りしていたワードパレットを使ってのアドベントカレンダーかるじゅ纏めその2
12/7〜12/16までの10編


12/9 み つ け た
リボン「いつまでも/目を輝かせて/豪華」
ショタじゅなくんと蝋人形?のナさん。微ホラー。

週末、アシュヴァッターマンとその父に連れられてやってきたのは、街の中心部にほど近い場所にある博物館だった。
元は絢爛豪華な宮殿であり、使われていた当時の面影が今も残るそこには、様々な遺物が展示されている。
大人の背丈ほどあるチャクラムや、真っ白で美しい弓。大人でも持ち上げるのが大変そうな旗槍……など、その大半が武具の類だが、説明書きによれば、なんでも、伝承を元に復元されているらしい。
かつて実際に使われた、という記載が古書に残されているそれらのどれもが、幼いアルジュナの好奇心を掻き立てたが、中でもいっとう興味を引き、それと同時に恐怖を覚えさせたのは、目のような大きな飾りのついた一条の真っ黒な槍と、その隣に立つ、槍と同じく黒い身体をした蝋人形だった。
説明に曰く、槍は神をも殺す槍だったらしい。最高位の神様が、布施の対価に贈った、神具であるという。さらにパネルによると、隣に立つ蝋人形は、それを賜ったカルナという武人を模しているらしい。真っ白な胸元の中心に、赤い宝石のような物が埋め込まれた、鋭い薄青の目を持つ、随分と精巧な人形だった。
ずっと見ていると、なんだか今にも動きだし、伝承に描かれているように、その大槍を振るうのではないか……そんな気がしてきていけない。これらは、武器も人形も全部、過去を紐解き作られたものたちだから、そんなことなんて起こり得ないのに。
「おーい、アルジュナ。次行くぞ、次」
有り得ない想像をして、ふるり、と小さく身震いをしたアルジュナに、遠くから声がかかる。一緒にここを訪れているアシュヴァッターマンの呼ぶ声だ。この博物館には見るものがたくさんある。この部屋だけで時間を使うわけにもいかないのだろう。
「今行きますー」
アルジュナは振り返ってそう返事をしてから、離れる前にもう一度だけ、と槍と蝋人形を振り返った。
そうして、見なければよかった、とすぐに後悔した。
少し前までぼぅっと、どこともない場所を見ていた――そのように見えていた――蝋人形の薄青の目が、確かにこちらを向いていた。切れ長で、鋭い目を輝かせて……まるで、獲物を見つけたとでも言わんばかりの様相で、じぃっとアルジュナを見つめてくるのだ。
試しに立つ位置をあれこれ変えてみても、その視線はずっとついて回る。
え。どういうことですか、これ……
振り向くまでの一瞬の間で、明らかに何かがおかしくなった蝋人形を、アルジュナは皿のように丸くした目で見つめた。そのときだった。

動くはずのない蝋人形の口が、確かに、はくはくと小さく動いた。
ゆっくりとしたその動きに音は伴わない。それなのに、その口の動きを見たアルジュナには、カルナが言わんとしていることが伝わった。
彼は「み つ け た」と、そう言っている……
……ッ!!」
ひやりとしたものが背筋を伝った。さすがに怖くなった。このままここにいてはいけないと、本能が警鐘を鳴らす。
アルジュナはぱっと出口の方を向くと、一切振り返ることなく、一目散に展示室を飛び出した。

その後、アシュヴァッターマンたちと合流したアルジュナは、再び宮殿内を隅々まで見て回った。パネルを見、様々な伝承にも触れた。
けれどそうしている間中、カルナに向けられた鋭い視線は、いつまでもアルジュナについてまわり、離れていくことはなかった。